平成25年4月5日

証券取引等監視委員会

アール・ビー・エス・セキュリティーズ・ジャパン・リミテッド(アール・ビー・エス証券会社東京支店)に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会が、アール・ビー・エス・セキュリティーズ・ジャパン・リミテッド(アール・ビー・エス証券会社東京支店 東京都千代田区、持込資本金649億円、常勤役職員154名。第一種金融商品取引業。以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)円LIBORに係る不適切な行為

      当社短期金利商品部のトレーダー(当時。以下「Aトレーダー」という。)等は、平成18年半ば頃から同22年初め頃までの間ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・ピーエルシー銀行が呈示する円LIBORについて、同銀行のトレーダーに指図するなどして、円LIBOR呈示担当者(以下「呈示者」という。)に対し、Aトレーダー等が行っていた円金利に係るデリバティブ取引に有利になるよう、LIBORを変動させることを目的として、呈示レートの変更を要請するなどの働きかけを継続的に行っていた。

      Aトレーダー等が行った当該行為は、円LIBORが金融機関による資金の調達・運用をするときの基準金利となるなど極めて重要な金融指標であることなどに鑑みれば、市場の公正性を損なうおそれがあり、公益及び投資者保護上、著しく不当かつ悪質であり、重大な問題があると認められる。

      さらに、こうした働きかけを長期間にわたり看過し、当該行為を放置し適切な対応を行っていないなど、当社の内部管理態勢には重大な不備が認められた。

    • (2)親法人等からの顧客に関する非公開情報を受領する行為

      ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・ピーエルシー銀行がエービーエヌ・アムロ・バンク・エヌ・ブイ銀行を合併したことに伴い、平成21年6月末に両銀行の東京支店は統合した。

      当該統合に先立ち、当社チーフ・オペレーティング・オフィサー(以下「COO」という。)は、銀行統合業務を自らの主要業務と位置づけ、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・ピーエルシー銀行東京支店(以下「RBS銀行東京」という。)の職員も参加する当該統合に関する会議を複数回招集するなど、日常的に統合会議に参加しており、銀行業務に関与している状況にあった。このような状況において、平成20年5月から同22年2月にかけて、RBS銀行東京及びエービーエヌ・アムロ・バンク・エヌ・ブイ銀行東京支店の顧客に関する非公開情報をCOOは複数回、当社チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(当時)は1回受領している。

      また、当社コンプライアンス部は、COOが銀行統合に関する会議へ参加していたこと及びRBS銀行東京からの情報を入手していたことについて社内から報告を受けていたが、事実関係を何ら調査していないなど、当社の内部管理態勢には不備が認められた。

上記(1)の行為は、(i)当該行為は当社における業務に関し行ったものと認められること、(ii)また、当該行為は市場の公正性を損なうおそれがあること、などに鑑みれば、公益及び投資者保護上、著しく不当かつ悪質であり、重大な問題があると認められる。さらに、当社の内部管理態勢には重大な不備が認められる。以上から、当社の業務運営の状況は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第51条に規定する「業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当すると認められる。

上記(2)の親法人等からの顧客に関する非公開情報を受領する行為は、金商法第44条の3第1項第4号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第153条第1項第7号に該当すると認められる。


  • 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

    (親法人等又は子法人等が関与する行為の制限)

    第四十四条の三 金融商品取引業者又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、公益又は投資者保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

    一~三(略)

    前三号に掲げるもののほか、当該金融商品取引業者の親法人等又は子法人等が関与する行為であつて投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのあるものとして内閣府令で定める行為

    2 (略)

    (金融商品取引業者に対する業務改善命令)

    第五十一条内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

  • 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)

    (金融商品取引業者の親法人等又は子法人等が関与する行為の制限)

    第百五十三条法第四十四条の三第一項第四号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。

    一~六(略)

    有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限る。)が発行者等に関する非公開情報を当該金融商品取引業者の親法人等若しくは子法人等から受領し、又は当該親法人等若しくは子法人等に提供すること(次に掲げる場合において行うものを除く。)。

    イ~リ(略)

    八~十四(略)

    2~4(略)

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