平成25年8月30日

証券取引等監視委員会

株式会社ディベックスに対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長が株式会社ディベックス(東京都中央区、資本金484.4百万円、役職員23名、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)業務の運営の状況に関し、公益又は投資者保護上重大な問題が認められる状況

      株式会社ディベックス(以下「当社」という。)は、平成24年1月から同年8月までの間、自らを営業者とする匿名組合(以下「本件ファンド」という。)の出資持分の私募を行い、8名の営業員が、36名の顧客に対し、総額約93百万円の出資持分を取得させている。

      当社の当該取得に係る勧誘等の状況について検証したところ、以下のとおり、不適切な状況が認められた。

      • ア本件ファンドの出資持分の取得勧誘において顧客に対し虚偽のことを告げる行為

        当社は、本件ファンドの出資持分の取得勧誘を行うに当たり、調達した資金を当社の事業に充てることを予定しており、顧客のために運用する意思を一切有しておらず、実際にも、調達した資金について運用を一切行っていなかった。

        こうした状況にもかかわらず、当社営業員は、顧客に対し、本件ファンドの営業者である当社が、本件ファンドの資金を外国為替証拠金取引や国内上場株式取引等により運用する旨を記載した契約書等を交付し、又は本件ファンドの過去の投資による配当が年6%を下回ったことはない旨説明するなど、虚偽の事実を告げて本件ファンドの出資持分の取得勧誘を行った。

      • イ本件ファンドの出資金について分別管理が確保されていないまま本件ファンドの出資持分の取得勧誘を行う行為

        本件ファンドに係る契約書には、出資金の管理方法に関する記載がなく、出資金について分別して管理することが確保されていないにもかかわらず、当社は、本件ファンドの出資持分の取得勧誘を行った。

      • ウ不正又は著しく不当な行為を行っている状況

        • (ア)本件ファンドの出資金を自社の事業に流用し、さらに当該状況を認識しながら本件ファンドの出資持分の取得勧誘を続けている状況

          当社は、本件ファンドの出資金の一切を、当社の固有財産と混同して管理し、本件ファンドの運用目的とは関係のない当社の事業に流用している。さらに当社は、当該状況を認識しながら、本件ファンドの出資持分の取得勧誘を継続していた。

        • (イ)本件ファンドから当社私募債への不適切な乗換え勧誘等を行っている状況

          当社は、本件ファンドの運用目的に沿った出資金の運用を一切行っていないにもかかわらず、毎月、顧客に対し、運用による配当金と称する金銭を支払っていた。このような本件ファンドの運営が不適切であり、配当金の支払いを停止し、本件ファンドを解約して出資金を顧客に返還しなければならないことを当社は平成24年6月に認識したが、上記(ア)のとおり、当社は、本件ファンドの出資金を当社の事業に充てており、顧客に返還することができない状況にあった。

          そこで、当社は、本件ファンドの解約による出資金の返還を免れるため、当社の発行する社債(以下「当社私募債」という。)を販売して本件ファンドから当社私募債へ投資先を移行させることを計画し、当社営業員は、顧客に対し、「解約手数料は出資金の50%相当額である」などと、本件ファンドの契約書上の記載(解約手数料は出資金の10%相当額)と異なる解約条件を説明し、又は当社私募債の発行金利を上乗せする旨を約束し、解約を思いとどまらせ、当社私募債への乗換えを勧誘した。

          なお、当社は、上記のとおり平成24年6月に配当金の支払いを停止しなければならないと認識した後も、本件ファンドの出資持分を保有する顧客に対しては、本件ファンドの運用による配当金と称する金銭の支払いを継続している。

          当社は、本件ファンドの出資金を自社の事業に流用し、さらに当該状況を認識しながら本件ファンドの取得勧誘を継続し、本件ファンドの出資金を返還することができないことから当社私募債へ不適切な乗換え勧誘を行っている。これらの状況は、公益又は投資者保護上著しく不当な行為を行っている状況と認められる。

        当社が行った上記アの行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第38条第1号に規定する「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当し、上記イの行為は、金商法第40条の3(分別管理が確保されていない場合の売買等の禁止)の規定に違反し、上記ウの状況は、金商法第52条第1項第9号に規定する「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」に該当するものと認められる。

    • (2)報告徴取命令に対する虚偽報告

      当社は、平成24年10月に発出された関東財務局長からの報告徴取命令に対して、本件ファンドの出資者数や取得勧誘時期等について、虚偽の報告を行っている。

      上記の行為は、金商法第52条第1項第6号の「金融商品取引業に関し法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき」に該当するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

(以下、略)

(分別管理が確保されていない場合の売買等の禁止)

第四十条の三 金融商品取引業者等は、第二条第二項第五号若しくは第六号に掲げる権利又は同条第一項第二十一号に掲げる有価証券(政令で定めるものに限る。)若しくは同条第二項第七号に掲げる権利(政令で定めるものに限る。)については、当該権利又は有価証券に関し出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)が、当該金銭を充てて行われる事業を行う者の固有財産その他当該者の行う他の事業に係る財産と分別して管理することが当該権利又は有価証券に係る契約その他の法律行為において確保されているものとして内閣府令で定めるものでなければ、第二条第八項第一号、第二号又は第七号から第九号までに掲げる行為を行つてはならない。

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一から五 (略)

六 金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令(第四十六条の六第二項を除く。)又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。

七及び八 (略)

九 金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。

(以下、略)

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