平成25年12月2日
証券取引等監視委員会
ニッセイアセットマネジメント株式会社による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
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1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、ニッセイアセットマネジメント株式会社(以下「ニッセイアセット」という。)による内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
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2.法令違反の事実関係
ニッセイアセットは、その締結する年金投資一任契約又は投資信託契約に基づき、計33件の顧客又はファンド(ニッセイ国内株式アクティブDB、ニッセイ国内株式マザーファンド、ニッセイバランスアクティブ マザーファンド及びニッセイ国内株式リサーチ・バリューマザーファンドを含む。)に係る信託財産の運用権限を有していた会社であるが、同社ファンド・マネジャーとして同信託財産の運用を担当していた社員Xにおいて、平成22年6月28日、国際石油開発帝石株式会社と株式引受契約の締結に向けた交渉を行っていた証券会社の社員甲から、同証券会社の他の社員乙が同契約の交渉に関し知り、その後、甲がその職務に関し知った国際石油開発帝石株式会社の業務執行を決定する機関が株式の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受け、さらに、ニッセイアセットのファンド・マネジャーとして同信託財産の運用を担当していた社員Yにおいて、遅くとも同月30日までに、上記Xから同重要事実の情報提供を受けながら、上記年金投資一任契約又は投資信託契約に基づく運用として、同重要事実が公表された同年7月8日より前の同年6月29日から同年7月1日までの間、国際石油開発帝石株式の売付けを行い、もって、上記顧客又はファンドの計算において、同株式合計1574株を売付価額合計7億8158万5985円で売り付けたものである。
ニッセイアセットが行った上記の行為は、平成24年法律第86号による改正前の金融商品取引法(以下「金融商品取引法」という。)第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
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3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、41万円である。
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
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4.その他
本件については、上記2.の証券会社から、同社が継続的に行っている自主的な点検・調査において問題を把握したとして、証券取引等監視委員会に報告がなされたものである。その後も証券取引等監視委員会の調査において、同社より協力がなされている。
(別紙)
○課徴金の額の計算方法について
(1)金融商品取引法第175条第1項第3号・金融商品取引法第六章の二の規定による課徴金に関する内閣府令第1条の21第1項第1号の規定により、金融商品取引法第175条第1項第3号に規定する売買等をした者(以下「違反者」という。)が、運用財産の運用として当該売買等をした場合、課徴金の額は、(ア)当該売買等が行われた月について違反者に当該運用財産の運用の対価として支払われ、又は支払われるべき金銭その他の財産の価額の総額に、(イ)当該売買等が行われた日からその月の末日までの間の当該運用財産である当該売買等の銘柄の総額のうち最も高い額を乗じた額を、(ウ)当該売買等が行われた月の末日における当該運用財産の総額で除して得た額である。
本件では、対象となる取引が、社員Xにおいて31件の運用財産の運用として、社員Yにおいて2件の運用財産の運用として、それぞれ行われたものであるため、各運用財産について課徴金の額を計算し、それらを合計した金額が本件の課徴金の額となる。
運用財産1について
(ア)577,333円×(イ)11,799,000円÷(ウ)1,942,429,765円
= 3,506円
運用財産2について
(ア)1,796,667円×(イ)29,754,000円÷(ウ)13,438,436,453円
= 3,977円
運用財産3について
(ア)7,179,000円×(イ)115,938,000円÷(ウ)77,101,452,311円
= 10,795円
運用財産4について
(ア)893,167円×(イ)8,208,000円÷(ウ)3,768,797,793円
= 1,945円
運用財産5について
(ア)248,333円×(イ)1,539,000円÷(ウ)948,426,278円
= 402円
運用財産6について
(ア)3,108,500円×(イ)74,385,000円÷(ウ)26,421,557,311円
= 8,751円
運用財産7について
(ア)593,500円×(イ)4,104,000円÷(ウ)2,013,369,140円
= 1,209円
運用財産8について
(ア)387,500円×(イ)3,591,000円÷(ウ)1,767,971,117円
= 787円
運用財産9について
(ア)1,556,500円×(イ)9,747,000円÷(ウ)8,454,120,455円
= 1,794円
運用財産10について
(ア)1,565,500円×(イ)13,851,000円÷(ウ)8,607,151,980円
= 2,519円
運用財産11について
(ア)857,167円×(イ)6,669,000円÷(ウ)3,429,301,579円
= 1,666円
運用財産12について
(ア)1,426,833円×(イ)11,799,000円÷(ウ)6,893,161,986円
= 2,442円
運用財産13について
(ア)966,000円×(イ)6,669,000円÷(ウ)4,071,491,850円
= 1,582円
運用財産14について
(ア)883,833円×(イ)4,104,000円÷(ウ)8,684,150,519円
= 417円
運用財産15について
(ア)564,000円×(イ)4,104,000円÷(ウ)1,871,273,913円
= 1,236円
運用財産16について
(ア)588,333円×(イ)3,078,000円÷(ウ)1,653,341,268円
= 1,095円
運用財産17について
(ア)1,161,833円×(イ)6,156,000円÷(ウ)5,414,500,337円
= 1,320円
運用財産18について
(ア)937,667円×(イ)7,182,000円÷(ウ)3,937,783,273円
= 1,710円
運用財産19について
(ア)941,667円×(イ)6,669,000円÷(ウ)3,899,483,013円
= 1,610円
運用財産20について
(ア)562,500円×(イ)3,591,000円÷(ウ)1,808,588,029円
= 1,116円
運用財産21について
(ア)756,000円×(イ)6,669,000円÷(ウ)2,894,031,164円
= 1,742円
運用財産22について
(ア)308,167円×(イ)3,078,000円÷(ウ)1,230,566,807円
= 770円
運用財産23について
(ア)5,061,833円×(イ)64,125,000円÷(ウ)34,192,577,503円
= 9,492円
運用財産24について
(ア)893,667円×(イ)7,695,000円÷(ウ)3,542,615,451円
= 1,941円
運用財産25について
(ア)197,833円×(イ)3,078,000円÷(ウ)1,385,959,085円
= 439円
運用財産26について
(ア)3,283,500円×(イ)56,430,000円÷(ウ)35,031,570,397円
= 5,289円
運用財産27について
(ア)599,500円×(イ)3,591,000円÷(ウ)2,061,783,142円
= 1,044円
運用財産28について
(ア)1,983,250円×(イ)235,980,000円÷(ウ)24,270,765,308円
= 19,282円
運用財産29について
(ア)284,049円×(イ)63,612,000円÷(ウ)11,922,143,800円
= 1,515円
運用財産30について
(ア)40,370,279円×(イ)130,815,000円÷(ウ)23,676,752,937円
= 223,047円
運用財産31について
(ア)1,621,605円×(イ)26,163,000円÷(ウ)20,819,804,328円
= 2,037円
運用財産32-1について
(ア)505,333円×(イ)19,246,500円÷(ウ)1,344,971,128円
= 7,231円
運用財産32-2について
(ア)505,333円×(イ)34,008,000円÷(ウ)1,359,200,210円
= 12,643円
運用財産33について
(ア)6,887,661円×(イ)26,155,500円÷(ウ)2,339,760,573円
= 76,995円
合計 3,506円+3,977円+10,795円+1,945円+402円+8,751円+1,209円+787円+1,794円+2,519円+1,666円+2,442円+1,582円+417円+1,236円+1,095円+1,320円+1,710円+1,610円+1,116円+1,742円+770円+9,492円+1,941円+439円+5,289円+1,044円+19,282円+1,515円+223,047円+2,037円+7,231円+12,643円+76,995円=413,346円
(2)金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。