平成25年12月4日
証券取引等監視委員会
株式会社エル・シー・エーホールディングスに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る訂正報告書等の提出命令の勧告について
-
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社エル・シー・エーホールディングスに係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、訂正報告書及び訂正届出書の提出命令を発出するよう勧告を行った。
-
2.法令違反の事実関係
(1)継続開示書類
株式会社エル・シー・エーホールディングス(以下「当社」という。)は、平成21年5月期に、土地及び建物等を現物出資財産とする第三者割当増資を行うに当たり、当該現物出資財産を構成する土地及び建物の一部につき評価額を過大にし、投資不動産及び純資産額を過大に計上するなどしていた。
これらの結果、別紙のとおり、当社が関東財務局長に対して提出した有価証券報告書等のうちに金融商品取引法第24条の2第1項及び第24条の4の7第4項において準用する同法第10条第1項に規定する「重要な事項について虚偽の記載」があると認められたものである。
- 平成21年5月期有価証券報告書(平成21年8月20日提出)
- 平成22年5月期有価証券報告書(平成22年8月18日提出)
- 平成22年11月第2四半期四半期報告書(平成23年1月4日提出)
- 平成23年2月第3四半期四半期報告書(平成23年4月5日提出)
- 平成23年5月期有価証券報告書(平成23年8月19日提出)
- 平成23年8月第1四半期四半期報告書(平成23年10月4日提出)
- 平成23年11月第2四半期四半期報告書(平成23年12月28日提出)
- 平成24年2月第3四半期四半期報告書(平成24年4月4日提出)
- 平成24年5月期有価証券報告書(平成24年8月10日提出)
- 平成24年8月第1四半期四半期報告書(平成24年10月4日提出)
- 平成24年11月第2四半期四半期報告書(平成24年12月28日提出)
- 平成25年2月第3四半期四半期報告書(平成25年4月5日提出)
- 平成25年5月期有価証券報告書(平成25年8月20日提出)
- 平成25年8月第1四半期四半期報告書(平成25年10月4日提出)
(2)発行開示書類
当社が関東財務局長に対して提出した有価証券届出書のうちに、以下のとおり、金融商品取引法第10条第1項に規定する「重要な事項について虚偽の記載」があると認められたものである。
(i)平成21年4月28日に提出した有価証券届出書(株式)には、第一部【証券情報】第1【募集要項】2【株式募集の方法及び条件】(1)【募集の方法】欄の株式会社オナーズヒル軽井沢(以下「オナーズヒル」という。)を割当予定先とする「出資の目的たる財産の種類、その価額」に掲記された「(注)4.」及び同欄の「(注)8.不動産の価額について」において、真実は、出資の目的たるオナーズヒル所有に係る土地及び建物(以下「本件建物等」という。)の価額の合計額として決定された「土地の価額合計1,693,049千円 建物の価額合計211,565千円」が、本件建物等の真実の価額を大幅に上回るものであり、かつ、本件建物等の価額を決定する際に取得した不動産鑑定士の鑑定評価書及び弁護士の証明書は、本件建物等の一部につき大幅に過大な賃料収入を算定の基礎資料として鑑定評価及び相当性の証明がなされたのであるから、それらの事実を記載しなければならなかったのに記載することなく、本件建物等の価額について「土地の価額合計1,693,049千円 建物の価額合計211,565千円」と記載するとともに、当該価額の算定根拠について「当社は,会社法第207条9項4号に基づき、本件不動産の価額が相当である旨の不動産鑑定士の鑑定評価書及び弁護士の証明書を取得しております。当社では、発行価額の公平性を担保するため、会社法の定めに基づき、不動産鑑定士の不動産鑑定評価書及び弁護士の証明書を入手の上、本件不動産の価額を決定いたしました。」と記載し、あたかも本件建物等の価額の合計額として記載された価額が、公平性の担保された過程を経て決定された、本件建物等の真実の価額の合計額として相当な価額であるかのように記載されている。
(ii)平成21年7月15日に提出した有価証券届出書(株式)には、平成20年5月21日から平成21年5月20日までの連結会計期間につき、投資不動産及び純資産額の過大計上等により、同期間における連結純資産額が18百万円の債務超過であったにもかかわらず、これを325百万円の資産超過と記載するなどした同期間における連結貸借対照表が掲載されている。
(iii)平成21年7月15日に提出した有価証券届出書(新株予約権証券)には、平成20年5月21日から平成21年5月20日までの連結会計期間につき、投資不動産及び純資産額の過大計上等により、同期間における連結純資産額が18百万円の債務超過であったにもかかわらず、これを325百万円の資産超過と記載するなどした同期間における連結貸借対照表が掲載されている。
(iv)平成22年3月19日に提出した有価証券届出書(株式)には、重要な事項につき虚偽の記載がある平成21年5月期有価証券報告書(別紙番号欄1参照)及び平成21年11月第2四半期四半期報告書が組込情報とされている。
(v)平成23年11月7日に提出した有価証券届出書(株式)には、重要な事項につき虚偽の記載がある平成23年5月期有価証券報告書(別紙番号欄5参照)及び平成23年8月第1四半期四半期報告書(別紙番号欄6参照)が組込情報とされている。
(vi)平成23年11月7日に提出した有価証券届出書(新株予約権証券)には、重要な事項につき虚偽の記載がある平成23年5月期有価証券報告書(別紙番号欄5参照)及び平成23年8月第1四半期四半期報告書(別紙番号欄6参照)が組込情報とされている。
(vii)平成23年11月7日に提出した有価証券届出書(ストックオプション)には、重要な事項につき虚偽の記載がある平成23年5月期有価証券報告書(別紙番号欄5参照)及び平成23年8月第1四半期四半期報告書(別紙番号欄6参照)が組込情報とされている。
(viii)平成24年6月18日に提出した有価証券届出書(株式)には、重要な事項につき虚偽の記載がある平成23年5月期有価証券報告書(別紙番号欄5参照)及び平成24年2月第3四半期四半期報告書(別紙番号欄8参照)が組込情報とされている。
(ix)平成24年6月18日に提出した有価証券届出書(新株予約権証券)には、重要な事項につき虚偽の記載がある平成23年5月期有価証券報告書(別紙番号欄5参照)及び平成24年2月第3四半期四半期報告書(別紙番号欄8参照)が組込情報とされている。
-
(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損益計算書では損失であることを、貸借対照表では債務超過であることを示す。