平成25年12月9日

証券取引等監視委員会

ジーク投資顧問株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長がジーク投資顧問株式会社(東京都品川区、資本金10百万円、常勤役職員2名、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業及び適格機関投資家等特例業務)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1)金融商品取引契約の締結の勧誘に関する虚偽告知等

      ジーク投資顧問株式会社(以下「当社」という。)は、顧客に対して外国為替取引等による運用を出資対象事業とする匿名組合(以下「本件ファンド」という。)の出資持分を含む複数の匿名組合等の出資持分の取得勧誘を行っているところ、

      • ア 当社は、本件ファンドについて、顧客からの出資金を会社経費等に流用し、出資対象事業で全く運用していない。こうした状況にもかかわらず、当社は、本件ファンドの出資持分の取得勧誘を行っており、また、本件ファンドの出資持分の取得勧誘の際に、顧客に対して、出資対象事業で運用する旨の虚偽のことを告げている。

      • イ 当社は、顧客からの出資金の分別管理が確保されていない状況で本件ファンドを含む複数の匿名組合の出資持分の取得勧誘を行っている。また、本件ファンドを含む全ての匿名組合等について、会計帳簿等を作成又は保存していない等、運用状況が確認できる資料をほとんど保存していない。

      • ウ 当社は、関東財務局(以下「当局」という。)からのファンドに係る報告徴取命令(平成21年4月及び同22年3月)に基づき平成21年から同24年までに行った報告及び当局に提出した第10期事業報告書(事業年度:平成20年4月1日から同21年3月31日まで)、第11期事業報告書(事業年度:平成21年4月1日から同22年3月31日まで)、第12期事業報告書(事業年度:平成22年4月1日から同23年3月31日まで)及び第13期事業報告書(事業年度:平成23年4月1日から同24年3月31日まで)において、本件ファンドを含む複数の匿名組合等の状況を報告せず、虚偽の報告を行っている。

      上記アの本件ファンドの出資持分の取得勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当すると認められる。また、顧客資産を流用している状況で本件ファンドの出資持分の取得勧誘を行う行為は、金商法第52条第1項第9号に掲げる「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」に該当すると認められる。

      上記イの顧客からの出資金の分別管理が確保されていない状況で匿名組合の出資持分の取得勧誘を行う行為は、金商法第40条の3に違反すると認められる。

      上記ウの当局の報告徴取命令に対して、虚偽の報告を行う行為は、金商法第52条第1項第6号に掲げる「金融商品取引業に関し法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき」に該当し、虚偽の事業報告書を当局に提出する行為は、同法第47条の2に違反すると認められる。

    • (2)検査忌避

      当社代表取締役社長及び当社職員は、臨店検査初日に正当な理由なく、検査官の事務所への立入りを拒んだほか、当社職員は、臨店検査初日の夜間に、本件ファンドに係る複数の電子ファイルを、本件ファンドに係る事実を隠蔽するために消去した。

      上記の行為は、当局の検査を忌避する行為であり、金商法第198条の6第11号に該当すると認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

(以下、略)

(分別管理が確保されていない場合の売買等の禁止)

第四十条の三 金融商品取引業者等は、第二条第二項第五号若しくは第六号に掲げる権利又は同条第一項第二十一号に掲げる有価証券(政令で定めるものに限る。)若しくは同条第二項第七号に掲げる権利(政令で定めるものに限る。)については、当該権利又は有価証券に関し出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)が、当該金銭を充てて行われる事業を行う者の固有財産その他当該者の行う他の事業に係る財産と分別して管理することが当該権利又は有価証券に係る契約その他の法律行為において確保されているものとして内閣府令で定めるものでなければ、第二条第八項第一号、第二号又は第七号から第九号までに掲げる行為を行つてはならない。

(事業報告書の提出)

第四十七条の二  金融商品取引業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一~五 (略)

六 金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令(第四十六条の六第二項を除く。)又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。

七・八 (略)

九 金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。

(以下、略)

第百九十八条の六  次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一~十 (略)

十一  第五十六条の二、第五十七条の十第一項、第五十七条の二十三、第五十七条の二十六第二項、第六十条の十一、第六十三条第八項、第六十六条の二十二、第六十六条の四十五第一項、第七十五条、第七十九条の四、第百三条の四、第百六条の六第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第百六条の十六、第百六条の二十第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)、第百六条の二十七(第百九条において準用する場合を含む。)、第百五十一条(第百五十三条の四において準用する場合を含む。)、第百五十五条の九、第百五十六条の五の四、第百五十六条の五の八、第百五十六条の十五、第百五十六条の二十の十二、第百五十六条の三十四、第百五十六条の八十、第百八十五条の五又は第百八十七条第四号の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

(以下、略)

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