平成25年12月17日

証券取引等監視委員会

株式会社Global Arena Capitalに対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長が株式会社Global Arena Capital(東京都中央区、役職員21名、投資運用業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る法令違反の事実が認められたので、平成25年12月11日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    株式会社Global Arena Capital(以下「当社」という。)は、平成23年9月以降、石油関連事業への投資を行う「石油関連商品取引ファンド投資事業組合」(以下「石油ファンド」という。)の業務執行組合員となって、集団投資スキーム持分の私募及び自己運用を行っている。

    石油ファンドは、当該石油関連事業への投資を、当社取締役が設立や業務等に深く関与し適格機関投資家等特例業務届出者でもある東京証券債券監理株式会社(以下「TOSDAC」という。)が発行する社債への投資を通じて行っており、当社とTOSDACは、実質的に一体となって、以下の法令違反行為を行っていた。

    • (1)集団投資スキーム持分の取得勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

      当社は、顧客に対し当社作成のパンフレット及び会社案内を交付するなどにより、石油ファンドの集団投資スキーム持分の取得勧誘を行っているが、以下のとおり、実態と相違した虚偽の説明を行っている状況が認められた。

      • ア投資対象事業についての説明

        当社は、顧客に対し、石油ファンドは石油関連事業のみに投資する旨を説明していたが、実際には、当該事業と何ら関係のない会社の株式及び土地にも投資していた。

      • イ配当の性質についての説明

        当社は、顧客に対し、石油ファンドは石油関連事業への投資で得た利益に基づいて毎月固定利率による分配金を支払う旨を説明していたが、実際には、配当のほとんどに石油ファンドの顧客の出資金がそのまま充当されていた。

      • ウ業務執行組合員である当社の概要に関する説明

        当社は、顧客に対し、「当社は、米国ナスダック市場に上場しているA社傘下の会社の日本支社である。」と説明していたが、実際には、当社とA社及び傘下会社との間には、資本関係はなく、役員の兼任も行われていなかった。

    • (2)顧客出資金の目的外運用及び流用

      石油ファンド契約書及び目論見書兼契約締結前交付書面において、石油ファンドの対象となる事業は、「石油の販売輸出入業、関連金融及びこれに附帯関連する一切の事業」と記載されているが、当社は、実際には顧客の出資金を、当社又は第三者のために、当該事業とは関係のない会社の株式及び土地にも投資していた。

      また、当社は、石油ファンドに係る集団投資スキーム持分の取得勧誘開始以降、石油ファンドへの出資金から約86百万円を当社の運転資金の一部として流用していた。

    • (3)純財産額が法定の基準を下回っている状況等

      当社は、関連会社から受ける土地等の現物出資と、TOSDAC等からの受託業務を履行する対価として受ける約束手形の交付を反映する形で、純資産額の増加に係る会計処理を行っていた。

      しかし、当該土地等の所有権移転登記は行われておらず、また、当社は、当該受託業務を履行していないことから、上記の会計処理は認められず、これらを修正すると、当社の純財産額は、平成23年9月以降、金融商品取引法第29条の4第1項第5号ロの規定に基づく同法施行令第15条の9第1項に定める金額(5千万円)に満たない状況となっている。

      また、当社は、関東財務局に対し、上記の誤った会計処理により、実態と異なる純資産額等を記載した事業報告書を提出していた。

    上記(1)の行為は、金融商品取引法第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。

    上記(2)の行為は、金融商品取引法第42条第1項に定める「金融商品取引業者等は、権利者のため忠実に投資運用業を行わなければならない」ことに違反するものと認められる。

    上記(3)の当社の純財産額が法定の基準に満たない状況は、金融商品取引法第52条第1項第3号(同法第29条の4第1項第5号ロに該当することとなったとき)に該当するものと認められる。また、実態と異なる純資産額等が記載された事業報告書を提出する行為は、金融商品取引法第47条の2に違反するものと認められる。


(参考条文)

金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録の拒否)

第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一~四 (略)

五 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行おうとする場合にあつては、次のいずれかに該当する者

ロ 純財産額(内閣府令で定めるところにより、資産の合計金額から負債の合計金額を控除して算出した額をいう。)が、公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める金額に満たない者

六 (略)

2~5 (略)

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(略)

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

二~七 (略)

(権利者に対する義務)

第四十二条 金融商品取引業者等は、権利者(次の各号に掲げる業務の区分に応じ当該各号に定める者をいう。以下この款において同じ。)のため忠実に投資運用業を行わなければならない。

一~三 (略)

2 (略)

(事業報告書の提出)

第四十七条の二  金融商品取引業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一・二 (略)

三 第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う金融商品取引業者が、第二十九条の四第一項第五号イ又はロに該当することとなつたとき。

四~十一 (略)

2~5 (略)

金融商品取引法施行令(昭和40年政令第321号)(抄)

(金融商品取引業者の最低資本金の額等)

第十五条の七 法第二十九条の四第一項第四号(法第三十一条第五項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める金額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。

一・二 (略)

三 第一種金融商品取引業又は投資運用業(適格投資家向け投資運用業(法第二十九条の五第一項に規定する適格投資家向け投資運用業をいう。以下同じ。)を除く。)を行おうとする場合(前二号に掲げる場合を除く。) 五千万円

四・五 (略)

2 (略)

(金融商品取引業者の最低純財産額)

第十五条の九 法第二十九条の四第一項第五号ロ(法第三十一条第五項において準用する場合を含む。)に規定する政令で定める金額は、第十五条の七第一項各号(第四号を除く。)に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める金額とする。

2 (略)

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