平成26年9月2日
証券取引等監視委員会
インスパイアー株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
-
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、インスパイアー株式会社に係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
-
2.法令違反の事実関係
(1)継続開示書類
インスパイアー株式会社(以下「当社」という。)は、実際は、カード事業に係るソフトウエアの開発を行っていなかったにもかかわらず、同事業のためのソフトウエアを開発するなどとして、「ソフトウエア仮勘定」等の架空の資産を計上していた。
これらの結果、当社は、関東財務局長に対し、別紙1のとおり、金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」以下の有価証券報告書等を提出したものである。
- 平成21年9月第2四半期四半期報告書(平成21年11月16日提出)
- 平成21年12月第3四半期四半期報告書(平成22年2月15日提出)
- 平成22年3月期有価証券報告書(平成22年6月28日提出)
- 平成22年6月第1四半期四半期報告書(平成22年8月16日提出)
- 平成22年9月第2四半期四半期報告書(平成22年11月15日提出)
- 平成22年12月第3四半期四半期報告書(平成23年2月14日提出)
- 平成23年3月期有価証券報告書(平成23年6月28日提出)
- 平成23年6月第1四半期四半期報告書(平成23年8月15日提出)
- 平成23年9月第2四半期四半期報告書(平成23年11月14日提出)
- 平成23年12月第3四半期四半期報告書(平成24年2月14日提出)
- 平成24年3月期有価証券報告書(平成24年6月29日提出)
- 平成24年6月第1四半期四半期報告書(平成24年8月14日提出)
- 平成24年9月第2四半期四半期報告書(平成24年11月22日提出)
-
(2)発行開示書類
当社は、関東財務局長に対し、以下のとおり、金融商品取引法第172条の2第1項第1号に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」発行開示書類を提出し、当該発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させたものである。
ア平成24年2月20日、重要な事項につき虚偽の記載がある平成23年3月期有価証券報告書及び平成23年12月第3四半期四半期報告書(別紙1参照)を組込情報とする有価証券届出書(株式)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年3月30日、307,977株の株式を322,759,896円で取得させた。
イ平成24年2月20日、重要な事項につき虚偽の記載がある平成23年3月期有価証券報告書及び平成23年12月第3四半期四半期報告書(別紙1参照)を組込情報とする有価証券届出書(新株予約権証券)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年3月30日、1,250個の新株予約権証券を107,562,500円(新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させた。
-
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、4,336万円である。(計算方法については別紙2のとおり。)
-
(別紙1)インスパイアー株式会社の有価証券報告書等の虚偽記載内容 番号 開示書類 虚偽記載 提出日 書類 会計期間 財務計算に
関する書類内容(注) 事由 1 平成21年
11月16日第19期事業年度第2四半期会計期間に係る四半期報告書(平成21年9月第2四半期四半期報告書) 平成21年4月1日~平成21年9月30日の第2四半期累計期間 四半期
損益計算書四半期純損益が▲354百万円であるところを▲194百万円と記載 ・ソフトウエア仮勘定の架空計上
等平成21年7月1日~平成21年9月30日の第2四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が216百万円であるところを376百万円と記載 2 平成22年
2月15日第19期事業年度第3四半期会計期間に係る四半期報告書(平成21年12月第3四半期四半期報告書) 平成21年4月1日~平成21年12月31日の第3四半期累計期間 四半期
損益計算書四半期純損益が▲459百万円であるところを▲301百万円と記載 ・ソフトウエア仮勘定の架空計上
等平成21年10月1日~平成21年12月31日の第3四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が192百万円であるところを351百万円と記載 3 平成22年
6月28日第19期事業年度会計期間に係る有価証券報告書
(平成22年3月期有価証券報告書)平成21年4月1日~平成22年3月31日の会計期間 損益計算書 当期純損益が▲698百万円であるところを▲535百万円と記載 ・ソフトウエア仮勘定の架空計上
等貸借対照表 純資産額が97百万円であるところを259百万円と記載 4 平成22年
8月16日第20期事業年度第1四半期会計期間に係る四半期報告書(平成22年6月第1四半期四半期報告書) 平成22年4月1日~平成22年6月30日の第1四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が17百万円であるところを180百万円と記載 ・ソフトウエア仮勘定の架空計上 5 平成22年
11月15日第20期事業年度第2四半期会計期間に係る四半期報告書(平成22年9月第2四半期四半期報告書) 平成22年7月1日~平成22年9月30日の第2四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が▲101百万円であるところを44百万円と記載 ・ソフトウエア仮勘定の架空計上 6 平成23年
2月14日第20期事業年度第3四半期会計期間に係る四半期報告書(平成22年12月第3四半期四半期報告書) 平成22年10月1日~平成22年12月31日の第3四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が▲192百万円であるところを▲46百万円と記載 ・ソフトウエア仮勘定の架空計上 7 平成23年
6月28日第20期事業年度会計期間に係る有価証券報告書(平成23年3月期有価証券報告書) 平成22年4月1日~平成23年3月31日の会計期間 貸借対照表 純資産額が▲276百万円であるところを▲158百万円と記載 ・ソフトウエア仮勘定の架空計上 8 平成23年
8月15日第21期事業年度第1四半期会計期間に係る四半期報告書(平成23年6月第1四半期四半期報告書) 平成23年4月1日~平成23年6月30日の第1四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が▲343百万円であるところを▲228百万円と記載 ・ソフトウエアの架空計上 9 平成23年
11月14日第21期事業年度第2四半期会計期間に係る四半期報告書(平成23年9月第2四半期四半期報告書) 平成23年7月1日~平成23年9月30日の第2四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が▲383百万円であるところを▲275百万円と記載 ・ソフトウエアの架空計上 10 平成24年
2月14日第21期事業年度第3四半期会計期間に係る四半期報告書(平成23年12月第3四半期四半期報告書) 平成23年10月1日~平成23年12月31日の第3四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が▲439百万円であるところを▲337百万円と記載 ・ソフトウエアの架空計上 11 平成24年
6月29日第21期事業年度会計期間に係る有価証券報告書(平成24年3月期有価証券報告書) 平成23年4月1日~平成24年3月31日の会計期間 貸借対照表 純資産額が▲85百万円であるところを10百万円と記載 ・ソフトウエアの架空計上 12 平成24年
8月14日第22期事業年度第1四半期会計期間に係る四半期報告書(平成24年6月第1四半期四半期報告書) 平成24年4月1日~平成24年6月30日の第1四半期会計期間 四半期
貸借対照表純資産額が▲99百万円であるところを▲9百万円と記載 ・ソフトウエアの架空計上 13 平成24年
11月22日第22期事業年度第2四半期会計期間に係る四半期報告書(平成24年9月第2四半期四半期報告書) 平成24年7月1日~平成24年9月30日の第2四半期会計期間 四半期
貸借対照表連純資産額が▲116百万円であるところを▲31百万円と記載 ・ソフトウエアの架空計上 (注)金額は百万円未満切捨てである。▲は損益計算書では損失であることを、貸借対照表では債務超過であることを示す。
(別紙2)課徴金の計算方法
(1)金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、当該法人の平成21年9月第2四半期四半期報告書、平成21年12月第3四半期四半期報告書及び平成22年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
( 平成21年9月第2四半期四半期報告書 31,748円 平成21年12月第3四半期四半期報告書 20,844円 平成22年3月期有価証券報告書 30,455円 ) が
イ6,000,000円
を超えないことから、
平成21年9月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成21年12月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成22年3月期有価証券報告書については、6,000,000円
となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、下記のとおり600万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。
平成21年9月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,500,000円平成21年12月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,500,000円平成22年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は3,000,000円
(2)金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、当該法人の平成22年6月第1四半期四半期報告書、平成22年9月第2四半期四半期報告書、平成22年12月第3四半期四半期報告書及び平成23年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
( 平成22年6月第1四半期四半期報告書 23,697円 平成22年9月第2四半期四半期報告書 19,544円 平成22年12月第3四半期四半期報告書 13,289円 平成23年3月期有価証券報告書 17,019円 ) が
イ6,000,000円
を超えないことから、
平成22年6月第1四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成22年9月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成22年12月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成23年3月期有価証券報告書については、6,000,000円となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、下記のとおり600万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。
平成22年6月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円平成22年9月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額
1,200,000円平成22年12月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円平成23年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
2,400,000円
-
(3)金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、当該法人の平成23年6月第1四半期四半期報告書、平成23年9月第2四半期四半期報告書、平成23年12月第3四半期四半期報告書及び平成24年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
( 平成23年6月第1四半期四半期報告書 6,846円 平成23年9月第2四半期四半期報告書 8,219円 平成23年12月第3四半期四半期報告書 7,537円 平成24年3月期有価証券報告書 7,788円 ) が
イ6,000,000円
を超えないことから、
平成23年6月第1四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成23年9月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成23年12月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成24年3月期有価証券報告書については、6,000,000円
となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、下記のとおり600万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。
平成23年6月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円平成23年9月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円平成23年12月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円平成24年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
2,400,000円
-
(4)金融商品取引法第172条の4第2項の規定により、当該法人の平成24年6月第1四半期四半期報告書及び平成24年9月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
( 平成24年6月第1四半期四半期報告書 24,208円 平成24年9月第2四半期四半期報告書 21,836円 ) が
イ6,000,000円
を超えないことから、
平成24年6月第1四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成24年9月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
となる。
-
(5)金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、
ア平成24年2月20日提出の有価証券届出書(株式)に係る課徴金の額は、
322,759,896円×4.5/100=14,524,195円
について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、14,520,000円イ平成24年2月20日提出の有価証券届出書(新株予約権証券)に係る課徴金の額は、
107,562,500円×4.5/100=4,840,312円
について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、4,840,000円となる。