平成26年10月17日

証券取引等監視委員会

株式会社リアルキャピタルマネジメントに対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長が株式会社リアルキャピタルマネジメント(神奈川県小田原市、資本金10百万円、常勤役職員2名、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業。)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • ○ 不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いと認められる状況等

      • (1)適格機関投資家からの出資が行われたように装う行為

        株式会社リアルキャピタルマネジメント(以下「当社」という。)は、23の適格機関投資家等特例業務を行おうとする者(以下「特例業務届出希望者」という。)から、その組成するファンドに出資を行う適格機関投資家を紹介して欲しいとの依頼を受け、適格機関投資家である海外のA証券の代理人と称する045fund合同会社(以下「045fund社」という。)に当該ファンドへの出資を依頼することにより、A証券から当該ファンドに出資を行わせる旨を約す行為を行っていた。

        そして、当該ファンドには045fund社から出資が行われた。

        しかしながら、実際には、当社及び045fund社は、特例業務届出希望者から受け取った資金の一部を、045fund社を通じて、当該特例業務届出希望者が組成したファンドへの出資に充てていたものである。

        このスキームは、当社及び045fund社が考案したもので、当社は、A証券から出資がされていないこと及び同証券による出資とされていた資金が、当該特例業務届出希望者から拠出されたものであることを認識していた。

        当社において上記の行為が行われている状況は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第52条第1項第9号に掲げる「金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき」に該当するものと認められる。

      • (2)自己の名義をもって、他人にファンド持分の取得勧誘を行わせている状況(名義貸し)

        当社は、平成24年4月1日から同年7月13日までの間に、クリーンコントロールベトナム合同会社(以下「クリーン社」という。)が組成、運用するファンドの出資持分の取得勧誘について、クリーン社に対し、当社の名義を用いてこれを行わせていた。

        当社における上記の行為は、金商法第36条の3(名義貸しの禁止)に違反するものと認められる。

      • (3)法定書面の未交付等

        当社は、契約締結前交付書面などの法定書面の未交付等、多くの法令違反が認められる状況(※法定書面の未交付等の法令違反の該当法令は別添参照)となっている。

      • (4)金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況等

        当社の業務の多くは、代表取締役一人により主体的に処理されているところ、当社代表取締役が行った上記(1)ないし(3)記載の業務において法令違反等の問題が認められ、当社はこれらの業務によって、営業収益のほとんどを上げている。

        したがって、当社代表取締役は、業務運営に当たり、法令等遵守意識が著しく欠如しているものと認められる。

        当社における上記の状況は、金商法第29条の4第1項第1号ニに掲げる「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当するものと認められ、このような当社の状況は、金商法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。

(別添)

  • ※法定書面の未交付等

    • ア 政令で定める使用人の変更届出の未済(金商法第31条第1項に違反)

    • イ 契約締結前交付書面の未交付等(金商法第37条の3第1項に違反)

    • ウ 契約締結時交付書面の未交付等(金商法第37条の4第1項に違反)

    • エ 業務に関する帳簿書類(投資顧問契約に基づく助言の内容を記載した書面)の未作成(金商法第47条に違反)

    • オ 事業報告書の記載不備(金商法第47条の2に違反)

(参考)クリーンコントロールベトナム合同会社に対する検査結果について(関東財務局ウェブサイト)新しいウィンドウで開きます


(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録の拒否)

第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一 次のいずれかに該当する者

イ~ハ(略)

ニ 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者

(以下、略)

(変更登録等)

第三十一条 金融商品取引業者は、第二十九条の二第一項各号(第五号を除く。)に掲げる事項について変更があつたときは、その日から二週間以内に、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

(以下、略)

(名義貸しの禁止)

第三十六条の三 金融商品取引業者等は、自己の名義をもつて、他人に金融商品取引業(登録金融機関にあつては、登録金融機関業務。以下この款において同じ。)を行わせてはならない。

(契約締結前の書面の交付)

第三十七条の三 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約を締結しようとするときは、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、顧客に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。ただし、投資者の保護に支障を生ずることがない場合として内閣府令で定める場合は、この限りでない。

(以下、略)

(契約締結時等の書面の交付)

第三十七条の四 金融商品取引業者等は、金融商品取引契約が成立したときその他内閣府令で定めるときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、書面を作成し、これを顧客に交付しなければならない。ただし、その金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、当該書面を顧客に交付しなくても公益又は投資者保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして内閣府令で定める場合は、この限りでない。

(以下、略)

(業務に関する帳簿書類)

第四十七条 金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者を除く。以下この款において同じ。)は、内閣府令で定めるところにより、その業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

(事業報告書の提出)

第四十七条の二 金融商品取引業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき。

二~八(略)

九 金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合において、その情状が特に重いとき。

(以下、略)

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