平成26年12月5日

証券取引等監視委員会

Areion Asset Management Company Limitedによる相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、Areion Asset Management Company Limited(以下「アレイオン」という。)による相場操縦について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    アレイオンは、香港法に基づき設立されたリミテッド・カンパニーであり、ケイマン籍ユニット・トラストのハレイオン・ファンド(Hareion Fund)の受託者であるオジエ・トラスティーズ(ケイマン)・リミテッド及びインベストメント・マネージャーであるジリオン・キャピタル・リミテッドとの間で締結したインベストメント・アドバイザリー契約に基づき、同ファンドに出資された資産の運用権限を有していたものである。

    アレイオンは、その代表者らにおいて、アレイオンの業務に関し、日東電工株式会社の株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、別表記載のとおり、平成25年9月25日午後2時59分30秒から同日午後3時までの間、成行又は直前約定値より高指値で大量の買い注文を連続して発注して株価を引き上げたり、下値に大量の買い注文を発注するなどの方法により、同株式合計788万6900株を買い付けるとともに、同株式合計131万1200株の買付けの委託を行い、もって、アレイオンの役員等の同年9月度における同ファンドへの出資割合である7.25パーセント相当については自己の計算において、それ以外については自己以外の者である同ファンドへの出資者の計算において、同株式の売買等が繁盛であると誤解させ、かつ、同市場における同株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託をしたものである。

    アレイオンが行った上記の行為は、平成25年法律第45号による改正前の金融商品取引法第174条の2第1項に規定する「第159条第2項第1号の規定に違反する一連の有価証券売買等」及びその「委託等」の違反行為に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為について上記改正前の金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、4億3074万円である。

    計算方法の詳細については、別紙のとおり。

  • 4.その他

    本件については、香港証券先物取引委員会(Securities and Futures Commission)より支援がなされている。


(別紙)

課徴金の額の計算方法について

  • 1.平成25年法律第45号による改正前の金融商品取引法第174条の2第1項の規定により、課徴金の額は、

    • (1)売買対当数量(注1)に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額

      • (注1)売買対当数量:当該違反行為に係る有価証券の売付け等数量と買付け等数量のうち、いずれか少ない数量をいう。

    • (2)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量を超える場合、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての上記改正前の同法第67条の19に規定する最高の価格のうち最も高い価格に当該超える数量を乗じて得た額から、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額

    • 及び

    • (3)違反者が、自己以外の者の計算において、当該違反行為の開始時から当該違反行為の終了後1月を経過するまでの間に違反行為等をした場合、当該違反行為等に係る手数料、報酬その他の対価の額

    • の合計額として算定される。

  • 2.本件における課徴金の額は、下記(1)ないし(3)によりそれぞれ算定される額の合計430,740,136円について、金融商品取引法第176条第2項の規定により、1万円未満を切り捨てた4億3074万円となる。

    • (1)当該違反行為に係る売買対当数量は、

      • (i)自己の計算による有価証券の売付け等の数量が0株であり、

      • (ii)自己の計算による有価証券の買付け等の数量が1,030,522.25株(注2)である

      • ことから、0株となる。

        • (注2) 実際の買付け等の数量7,886,900株に違反者の役員等のハレイオン・ファンド(Hareion Fund)に対する出資割合7.25パーセントを乗じて得られる571,800.25株に、上記改正前の同法第174条の2第8項及び金融商品取引法施行令第33条の13第1号の規定により、違反行為の開始時にその時における価格(6,690円)で当該違反行為に係る有価証券の買付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の数量6,327,200株に同7.25パーセントを乗じて得られる458,722株を加えた数量。

    • (2)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量を超えることから、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券の売付け等についての上記改正前の同法第67条の19に規定する最高の価格に当該超える数量を乗じて得た額から、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額は、

      (7,300円×1,030,522.25株)

      -{違反行為期間中における有価証券の買付け等の価額のうち上記ファンドに対する違反者の役員等の出資割合相当額(55,617,651,000円(注3)×7.25%)+違反行為の開始時にその時における価格で当該違反行為に係る有価証券の買付け等を自己の計算においてしたものとみなされる当該違反行為の開始時に所有している当該有価証券の価額(6,690円×6,327,200株×7.25%)}

      により算定される421,682,547円となる。

      • (注3)有価証券の買付け等の価額の明細は、別表記載のとおりである。

    • (3)違反者は、自己以外の者の計算において、運用財産の運用として当該違反行為の開始時から当該違反行為の終了後1月を経過するまでの間に違反行為等をしていることから、当該違反行為等に係る手数料、報酬その他の対価の額は、上記改正前の同法第174条の2第1項及び平成26年内閣府令第7号による改正前の金融商品取引法第六章の二による課徴金に関する内閣府令第1条の16の規定により、(ア)算定対象取引が行われた月について違反者に当該運用財産の運用の対価として支払われた運用報酬の価額の総額に、(イ)違反行為の開始時から違反行為の終了後1月を経過するまでの間の当該運用財産である算定対象取引の銘柄の総額のうち最も高い額を乗じた額を、(ウ)算定対象取引が行われた月の末日のうち最も遅い日における当該運用財産の総額で除して得た額のうち、(エ)上記ファンドに対する違反者の役員等以外の者の出資割合相当額

      (ア)13,927,406円×(イ)(7,540円×14,214,100株)

      ÷(ウ)152,832,389,165円×(エ)92.74%

      により算定される9,057,589円となる。

【参考】課徴金の額の計算に係る考え方

自己の計算において有価証券の買付け等をした部分に係る課徴金の額

自己の計算において有価証券の買付け等をした部分に係る課徴金の額

本件において、売買対等数量は0であり、有価証券の買付け等の数量が売付け等の数量を超えることから、

(違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該有価証券の最高の価格×当該超える数量)-(当該有価証券の買付け等の価額)

すなわち、

(7,300円×1,030,522.25株)-(3,068,850,180円+4,032,279,697.5円)

として算定される421,682,547円となる。

自己以外の者の計算において有価証券の買付け等をした部分に係る課徴金の額

当該課徴金の額は、違反者が得た運用報酬をベースとして、運用財産全体に占める違反行為に係る銘柄の総額の割合により計算されるところ、本件において、自己以外の者がハレイオン・ファンドに出資していた割合は92.74%であったことから、当該計算結果に当該割合を乗じ、

{13,927,406円×(7,540円×14,214,100株)÷152,832,389,165円}×92.74%

として算定される9,057,589円となる。

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