平成27年1月14日

証券取引等監視委員会

MASTERS DPB LIMITED及びその役員1名の金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立てについて

  • 1.申立ての内容等

    証券取引等監視委員会が、MASTERS DPB LIMITED(本店 ニュージーランド・オークランド市、日本支店 東京都港区、資本金100ニュージーランドドル、役職員1名、金融商品取引業の登録等はない。以下「当社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条第1項に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項の規定に基づき、東京地方裁判所に対し、当社及び当社の代表取締役兼日本における代表者A(以下、当社及びAを併せて「当社ら」という。)を被申立人として金商法違反行為(無登録で、投資一任契約を締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券等に対する投資として、金銭等の運用を業として行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。

    なお、本申立ては、今後契約の解約等を希望する既存投資家に対し、当社らにおいて契約の解約等に必要な手続き(返金手続きを含む。)を行うことの禁止及び停止を求めるものではない。

  • 2.事実関係

    当社らは、平成25年3月以降、多数の日本の一般投資家に対し、「ビジネスパック」という名称の商品(以下「ビジネスパック」という。)を販売しており、その内容は、(1)資産形成に関するメールマガジンの配信等、(2)アフィリエイト・プログラム(顧客紹介と報酬支払)への参加権、(3)資産運用を行うための口座の提供などである。

    さらに、当社らは、ビジネスパックを購入した顧客のうち資産運用を希望する者がいた場合、ウェブサイト上に表示される投資一任契約基本約款に同意させる方法により、投資判断の委任及び当該顧客から預託を受けた口座内の資金の操作等に必要な権限の委任を受けた上で、当社が運用を行う「セパレートリーマネージドアカウント」という名称の口座(以下「SMA口座」という。)において顧客から預託を受けた運用資金を受け入れており、これにより当該顧客との間で投資一任契約を締結している。

    また、当社らは、平成26年10月以降、「MASTERS DPB LIMITED ADVANCE」という新たな名称のサービス(以下「アドバンス」という。)の取扱いを開始し、顧客からSMA口座における運用を委任する旨の申し出を受けた上で同口座に運用資金を受け入れている。

    そして、当社らは、投資一任契約に基づき、少なくともSMA口座の資金の一部を国内株式等に投資して運用を行っている。

    以上の結果、当社らは、平成25年3月頃から平成26年12月頃までの間、少なくとも延べ940名の一般投資家から約7億円の資金の預託を受けている。

    当社らの上記行為は、金商法第28条第4項第1号に規定する「投資運用業」に該当し、無登録でこれを行うことは同法第29条に違反するものである。

    そして、当社らは、上記のとおり、平成26年10月に新たなサービスとしてアドバンスの取扱いを開始したばかりであり、また、平成25年3月以降長期にわたり無登録投資運用業を継続して行ってきたものである。

    また、当社らは、本来運用のみに用いられるべきSMA口座内に入金された資金を、上記アフィリエイト・プログラムにおける顧客紹介に対する報酬等の会社事業のための支払いにも充当しているほか、運用益が全く生じていないにもかかわらず運用資金等を原資に配当を行うなど、運用資金について極めて杜撰な管理を行っている。

    以上に加え、Aは、平成24年9月頃から当社が設立されるまでの間、国内法人である株式会社マスターズを用いて同様の無登録投資運用業を行っていた。

    以上からすれば、当社らは上記違法行為を今後も行う蓋然性が高く、これを可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。

PDF参考資料(PDF:46KB)


金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立て
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参考条文

○投資運用業

金融商品取引法(抄)

(定義)

第二条 (略)

2~7 (略)

8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(略)のいずれかを業として行うことをいう。

一~十一(略)

十二 次に掲げる契約を締結し、当該契約に基づき、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、金銭その他の財産の運用(その指図を含む。以下同じ。)を行うこと

イ (略)

ロ イに掲げるもののほか、当事者の一方が、相手方から、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断の全部又は一部を一任されるとともに、当該投資判断に基づき当該相手方のため投資を行うのに必要な権限を委任されることを内容とする契約(以下「投資一任契約」という。)

十三~十八(略)

9~39 (略)

第二十八条 (略)

2~3 (略)

4 この章において「投資運用業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいい、(略)。

一 第二条第八項第十二号に掲げる行為

二 (略)

三 (略)

5~8 (略)

(登録)

第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

○緊急差止命令に係る申立て

金融商品取引法(抄)

(審問等に関する調査のための処分)

第百八十七条 内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる

一 関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。

二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。

三 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。

四 関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。

 (略)

(裁判所の禁止又は停止命令)

第百九十二条 裁判所は、緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。

2 裁判所は、前項の規定により発した命令を取り消し、又は変更することができる。

3 前二項の事件は、被申立人の住所地又は第一項に規定する行為が行われ、若しくは行われようとする地の地方裁判所の管轄とする。

4 第一項及び第二項の裁判については、非訟事件手続法 (平成二十三年法律第五十一号)の定めるところによる。

第百九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一~七 (略)

 第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反した者

第二百七条 法人(中略)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

一・二 (略)

三 第百九十八条(中略)又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで 三億円以下の罰金刑

四~六 (略)

2・3 (略)

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