平成27年3月6日

証券取引等監視委員会

日本産業復興基金株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長が日本産業復興基金株式会社(東京都千代田区、第二種金融商品取引業、適格機関投資家等特例業務)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    • (1) 不正の手段により金融商品取引業の登録を受けた状況

      日本産業復興基金株式会社(以下「当社」という。)は、A監査役(平成17年3月の設立時から同26年9月までの間、代表取締役。)の下、設立時以降、貸借対照表に資本金1,000万円を計上するとともに、一定額の架空の現金を計上し続け、同21年2月期の貸借対照表においては、「現金及び預金」の額として約921万円を計上していたが、実際に保有していたのは預金残高として計上した約216万円であり、差額の約705万円については架空の金額となっていた。

      こうした中、当社は、第二種金融商品取引業の登録申請書に添付すべき最終の貸借対照表(平成21年2月期)において、「現金及び預金」の額が虚偽の金額であることを認識しながらこれを記載し、登録申請書を関東財務局長宛てに提出することによって、同21年11月16日付けで第二種金融商品取引業の登録を受けたものである。

      当社が行った上記の行為は、金融商品取引法第29条の4第1項柱書きに規定する「登録申請書に添付すべき書類に虚偽の記載があるとき」に該当するものと認められる。このような当社の状況は、金融商品取引法第52条第1項第5号に規定する「不正の手段により第二十九条の登録を受けたとき」に該当するものと認められる。

    • (2) 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況

      当社は、第二種金融商品取引業を行うに当たり当該業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していなければならないところ、実質的に一人で業務を行っているA監査役は、法令等遵守意識が欠如しており、法令等を熟知した役員又は使用人の配置などの必要な整備を怠っている。その結果、当社は、上記(1)のとおり、不正の手段により金融商品取引業の登録を受けたほか、上記(1)と同様に「現金及び預金」等の額に虚偽の金額を記載した貸借対照表を含む事業報告書を関東財務局長宛てに提出している。

      また、当社が当社ウェブサイトで本店所在地と表示している事務所には、当社以外の複数社が入居しており、当社の役員又は使用人を常駐させておらず、当社ウェブサイト等に記載している電話番号に架電をしても応対しない状況が継続し、顧客等は当社との連絡が取れない状況となっている。

      さらに、当社は、当社の使用人以外の者で、金融商品取引業の登録を受けていない者に対し、ファンドの出資持分に係る取得勧誘を行わせている。

      当社の上記の状況は、金融商品取引法第29条の4第1項第1号ニに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当するものと認められ、このような当社の状況は、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。

      さらに、当社が虚偽の金額を記載した貸借対照表を含む事業報告書を関東財務局長宛てに提出する行為は、金融商品取引法第47条の2に違反するものと認められる。


(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録の拒否)

第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一 次のいずれかに該当する者

イ~ハ(略)

ニ 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者

(以下、略)

(事業報告書の提出)

第四十七条の二 金融商品取引業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき。

二~四(略)

五 不正の手段により第二十九条の登録を受けたとき。

(以下、略)

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