平成27年3月6日

証券取引等監視委員会

Select Vantage Inc.による相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、Select Vantage Inc.(以下「セレクト・バンテイジ」という。)による相場操縦について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    セレクト・バンテイジは、英領アンギラに登記住所を置き、自己資金により株式売買等を行って収益を得ることを業とする会社であるが、同社の株式売買業務に従事していたトレーダーらにおいて、同社の業務に関し、別表1記載のとおり、日本海洋掘削株式会社の株式等、いずれも金融商品取引所が上場する合計45銘柄の株式につき、私設取引システム (Proprietary Trading System。以下「PTS」という。)を利用した上記各株式の売買を誘引する目的をもって、平成26年4月9日から同年5月23日までの間、合計28取引日にわたり、金融商品取引所の午前立会時間終了後から午後立会時間開始前までの注文受付時間に、取引所金融商品市場で成行又は直前の寄前気配値段よりも上値の価格帯に約定させる意思のない大量の買い注文を発注して寄前気配値段を引き上げた上で、PTSで売り注文を発注し、その売り注文の一部に自己の買い注文を対当させて株価を引き上げて残りの売り注文を自己に有利な価格で約定させるなどの方法により、上記各株式合計25万2600株を買い付け、及び合計27万6800株を売り付けるとともに、上記各株式合計153万8200株の買い注文及び合計17万1200株の売り注文を発注し、もって、自己の計算において、上記各株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、取引所金融商品市場における上記各株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託をしたものである。

    セレクト・バンテイジが行った上記の行為は、金融商品取引法第174条の2第1項に規定する「第159条第2項第1号の規定に違反する一連の有価証券売買等」及びその「委託等」に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、2213万2935円である。

    計算方法の詳細については、別紙のとおり。

  • 4.その他

    本件については、英国金融行為規制機構(Financial Conduct Authority)及び日本取引所自主規制法人より支援がなされている。


(別紙)

課徴金の額の計算方法について

  • 1.金融商品取引法第174条の2第1項の規定により、当該違反行為に係る課徴金の額は、

    • (1)当該違反行為に係る有価証券の売買対当数量に係るものについて、自己の計算による当該有価証券の売付け等の価額から、自己の計算による当該有価証券の買付け等の価額を控除した額、

    • (2)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量を超える場合は、当該超える数量に係る有価証券の売付け等の価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券等に係る有価証券の買付け等についての同法第67条の19又は第130条に規定する最低の価格のうち最も低い価格に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額

      及び

    • (3)当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の買付け等の数量が当該違反行為に係る自己の計算による有価証券の売付け等の数量を超える場合は、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の各日における当該違反行為に係る有価証券等に係る有価証券の売付け等についての同法第67条の19又は第130条に規定する最高の価格のうち最も高い価格に当該超える数量を乗じて得た額から、当該超える数量に係る有価証券の買付け等の価額を控除した額

      の合計額として算定。

  • 2.また、同法第174条の2第8項及び金融商品取引法施行令第33条の13第1号の規定により、違反者が違反行為の開始時に当該違反行為に係る有価証券を所有している場合には、上記1.に掲げる額の計算において、当該違反者が、当該違反行為の開始時にその時における価格で当該違反行為に係る有価証券の買付け等を自己の計算においてしたものとみなす。

  • 3.さらに、同法第185条の7第15項の規定により、違反者が、違反行為を開始した日から遡り5年以内に同法第185条の7第1項の決定を受けたことがあるときは、上記1.及び2.により算定した額に代えて、当該額の1.5倍に相当する額を課徴金の額とする。

本件では、課徴金納付命令対象者は平成26年4月9日に違反行為を開始したところ、同者は同日から遡り5年以内に同法第185条の7第1項の決定を受けた。

よって、本文「2.法令違反の事実関係」に掲げる事実につき、別表2に記載のとおりであるから、課徴金の額は、上記1.ないし3.により算定される2,213万2,935円となる。

【参考】課徴金の額の計算に係る考え方の例

別表1(PDF:42KB)

別表2(PDF:161KB)

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