平成27年3月27日
証券取引等監視委員会
株式会社三菱ケミカルホールディングスとの契約締結交渉者の役員からの情報受領者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社三菱ケミカルホールディングスとの契約締結交渉者の役員からの情報受領者による内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者(法人)は、同社役員において、大陽日酸株式会社(以下「大陽日酸」という。)の役員から、株式会社三菱ケミカルホールディングス(以下「三菱ケミカルホールディングス」という。)の業務執行を決定する機関が、大陽日酸の発行済株式を取得して子会社化することについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、この事実が公表された平成26年5月13日午後3時より前の同日午後2時26分頃、自己の計算において、三菱ケミカルホールディングス株式合計2万株を買付価額合計830万円で買い付けたものである。
上記重要事実は、三菱ケミカルホールディングスと公開買付けの基本的内容に関する契約の締結交渉をしていた大陽日酸の役員が同契約の交渉に関し知り、その後、上記の大陽日酸の役員がその職務に関し知ったものである。
課徴金納付命令対象者が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、24万円である。
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別紙)
○課徴金の額の計算方法について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、重要事実の公表後2週間における三菱ケミカルホールディングスの最も高い株価は、427円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(427円×20,000株) - 買付価額8,300,000円(注)
=240,000円
⇒課徴金の額は、24万円
(注)買付価額は、「415円×20,000株」の額である。