株式会社フィスコ役員からの情報受領者による同社株式ほか1銘柄に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社フィスコ役員からの情報受領者による同社株式ほか1銘柄に係る内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者は、株式会社ネクス(現株式会社ネクスグループ。以下、「ネクス」という。)の親会社である株式会社フィスコ(以下「フィスコ」という。)の役員から、同人がその職務に関し知った、(ア)ネクスの属する企業集団の平成26年11月期の業績予想における売上高について、平成26年2月14日に公表がされた直近の予想値に比較して、同社が新たに算出した同会計期間の予想値において投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす差異が生じた旨の重要事実、(イ)フィスコの属する企業集団の平成26年12月期の業績予想における売上高について、平成26年2月14日に公表がされた直近の予想値に比較して、同社が新たに算出した同会計期間の予想値において投資者の投資判断に重要な影響を及ぼす差異が生じた旨の重要事実のいずれも伝達を受けながら、
(1)ネクスにおいて新たに算出した平成26年11月期の予想値が売上高64億7300万円として公表がされた平成26年10月10日より前の同年9月25日、自己の計算において、ネクス株式合計4000株を売付価額合計281万7300円で売り付け
(2)フィスコにおいて新たに算出した平成26年12月期の予想値が売上高85億3900万円として公表がされた平成26年10月10日より前の同年9月25日、自己の計算において、フィスコ株式合計7000株を売付価額合計287万7900円で売り付け
たものである。
課徴金納付命令対象者が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、225万円である。
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別紙)
○課徴金の額の計算方法について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(売付価格)×(売付株数)
-(重要事実が公表された後2週間における最も低い価格)×(売付株数)
となる。
したがって、重要事実の公表後2週間におけるネクスの最も低い株価は、383円であり、フィスコの最も低い株価は、272円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
ネクス株式の売付けに係る課徴金の額
売付価額2,817,300円(注1) - (383円×4,000株)
=1,285,300円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、128万円
(注1)売付価額は、「701円×200株+702円×1,300株+703円×700株+705円×400株+706円×400株 +708円×1,000株」の合計額である。
フィスコ株式の売付けに係る課徴金の額
売付価額2,877,900円(注2) - (272円×7,000株)
=973,900円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、97万円
(注2)売付価額は、「411円×6,100株+412円×900株」の合計額である。