パイオニア株式会社社員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、パイオニア株式会社社員による内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者は、パイオニア株式会社(以下「パイオニア」という。)の社員であったが、その職務に関し、
(1)平成25年8月6日、パイオニアの属する企業集団の平成25年4月1日から平成26年3月31日までの会計期間の業績予想における経常利益及び当期純利益について、平成25年5月13日に公表がされた直近の予想値に比較して、同社が新たに算出した同会計期間の予想値において投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実を知りながら、同社において新たに算出した同会計期間の予想値が、経常利益50億円及び当期純利益5億円として公表がされた平成25年8月6日午後3時頃より前の同日午後2時10分頃、自己の計算において、パイオニア株式合計5000株を売付価額合計96万5000円で売り付け
(2)平成26年6月24日、パイオニアの業務執行を決定する機関が、オンキヨー株式会社(以下「オンキヨー」という。)と業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、上記重要事実の公表前の同日午後0時35分頃、自己の計算において、パイオニア株式合計1万株を買付価額合計221万円で買い付け
(3)平成26年6月24日、パイオニアの役員等が、オンキヨーとの業務提携契約の交渉に関し知った、オンキヨーの業務執行を決定する機関が、パイオニアと業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、上記重要事実の公表前の同日午後0時33分頃、自己の計算において、オンキヨー株式合計1万株を買付価額合計149万円で買い付け
たものである。
課徴金納付命令対象者が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、96万円である。
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別紙)
○課徴金の額の計算方法について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(売付価格)×(売付株数)
-(重要事実が公表された後2週間における最も低い価格)×(売付株数)
及び
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、違反行為(1)について、
重要事実公表後2週間におけるパイオニアの最も低い株価は、172円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
売付価額965,000円(注1) - (172円×5,000株)
=105,000円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、10万円
(注1)売付価額は、「193円×5,000株」の額である。
違反行為(2)について、
重要事実公表後2週間におけるパイオニアの最も高い株価は、262円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(262円×10,000株) ― 買付価格2,210,000円(注2)
=410,000円
⇒課徴金の額は、41万円
(注2)買付価額は、「221円×10,000株」の額である。
違反行為(3)について、
重要事実公表後2週間におけるオンキヨーの最も高い株価は、194円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(194円×10,000株) ― 買付価格1,490,000円(注3)
=450,000円
⇒課徴金の額は、45万円
(注3)買付価額は、「149円×10,000株」の額である。