平成27年9月18日

証券取引等監視委員会

株式会社オプトロムに係る四半期報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、株式会社オプトロムに係る四半期報告書等の虚偽記載について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    • (1)継続開示書類

      株式会社オプトロム(以下「当社」という。)は、平成26年6月第1四半期から同年12月第3四半期において、衛星放送送信事業の譲受のための預託金の支払を装うなどして、新株予約権の割当先である合同会社会社コンシェルジュ(以下「コンシェルジュ」という。)のグループ会社ないしその実質的経営者等に資金を流出させていたが、同流出資金について適切な貸倒引当金繰入額の計上等をしなかったほか、インターネット広告事業にかかる提携先に対する長期貸付金について適切な貸倒引当金繰入額の計上等をしなかった。

      これらの結果、当社は、東北財務局長に対し、別紙1のとおり、金融商品取引法第172条の4第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」以下の四半期報告書を提出したものである。

      • 平成26年6月第1四半期四半期報告書(平成26年8月13日提出)

      • 平成26年9月第2四半期四半期報告書(平成26年11月14日提出)

      • 平成26年12月第3四半期四半期報告書(平成27年2月13日提出)

    • (2)発行開示書類

      当社は、東北財務局長に対し、以下のとおり、金融商品取引法第172条の2第1項第1号に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」発行開示書類を提出し、当該発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させたものである。

      • 平成26年2月27日、第一部【証券情報】第3【第三者割当の場合の特記事項】1【割当予定先の状況】「(6)割当予定先の実態」の欄において、割当予定先であるコンシェルジュについて、信用調査会社から、コンシェルジュの親会社に反社会的勢力等や違法行為との関わりに懸念がある人物との関係が指摘され、コンシェルジュが増資引受先として適格な相手方と言うことはできない旨の調査結果を得ていたにもかかわらず、その事実を記載することなく、当該欄に調査結果として「当該割当予定先の…主要株主が反社会的勢力等や違法行為に関わりを示す情報に該当はありませんでした。」と記載し、あたかもコンシェルジュの上記親会社が反社会的勢力等や違法行為と何らの関係も有していないことが確認されたかのように記載するとともに、第一部【証券情報】第1【募集要項】2【新規発行による手取金の使途】「(1)【新規発行による手取金の額】」の欄の「発行諸費用の概算額」に掲記された「(注)3.」において、割当予定先の新株予約権の行使に際して払い込まれた金額の5.5%相当額(消費税別)のファイナンシャル・アドバイザリー費用のうち、同払込金額の5%相当額(消費税別)は、ファーストメイク・リミテッド株式会社を通じて、上記反社会的勢力等や違法行為との関わりに懸念がある人物が預金口座や会社印を管理、利用することができる立場にあった株式会社ヴォロンテに支払うことを企図していたが、その事実を記載することなく、「本件新株予約権の行使に比例し、割当予定先の当該行使額の5.5%(消費税別)が株式会社ファーストメイク・リミテッドに対するアドバイザリー費用となっております。」と記載した有価証券届出書(新株予約権証券)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、平成26年3月31日、29,500個の新株予約権証券を503,535,500円(新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させた。

      • 平成27年3月9日、重要な事項につき虚偽の記載がある平成26年12月第3四半期四半期報告書(別紙1参照)を組込情報とする有価証券届出書(株式)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年3月27日、50,360,000株の株式を815,832,000円で取得させた。

      • 平成27年3月9日、重要な事項につき虚偽の記載がある平成26年12月第3四半期四半期報告書(別紙1参照)を組込情報とする有価証券届出書(新株予約権証券)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、同年3月27日、44,532個の新株予約権証券を761,497,200円(新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させた。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、9,962万円である。(計算方法については別紙2のとおり。)


(別紙1)株式会社オプトロムの四半期報告書の虚偽記載内容

(別紙1)株式会社オプトロムの四半期報告書の虚偽記載内容

開示書類 虚偽記載
提出日 書類 会計期間 財務計算に
関する書類
内容(注) 事由
平成26年
8月13日
第29期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成26年6月第1四半期四半期報告書) 平成26年4月1日~平成26年6月30日の第1四半期連結累計期間 四半期連結
損益計算書
連結四半期純損益が▲249百万円であるところを▲170百万円と記載 ・貸倒引当金繰入額の過少計上
平成26年4月1日~平成26年6月30日の第1四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が▲348百万円であるところを▲269百万円と記載
平成26年
11月14日
第29期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成26年9月第2四半期四半期報告書) 平成26年4月1日~平成26年9月30日の第2四半期連結累計期間 四半期連結
損益計算書
連結四半期純損益が▲519百万円であるところを▲424百万円と記載 ・貸倒引当金繰入額の過少計上
平成26年7月1日~平成26年9月30日の第2四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が▲521百万円であるところを▲426百万円と記載
平成27年
2月13日
第29期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成26年12月第3四半期四半期報告書) 平成26年4月1日~平成26年12月31日の第3四半期連結累計期間 四半期連結
損益計算書
連結四半期純損益が▲754百万円であるところを▲646百万円と記載 ・貸倒引当金繰入額の過少計上
平成26年10月1日~平成26年12月31日の第3四半期連結会計期間 四半期連結
貸借対照表
連結純資産額が▲646百万円であるところを▲538百万円と記載

(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損益計算書では損失であることを、貸借対照表では債務超過であることを示す。

(別紙2)課徴金の計算方法

  • (1)金融商品取引法第172条の4第2項の規定により、平成26年6月第1四半期四半期報告書、平成26年9月第2四半期四半期報告書及び平成26年12月第3四半期四半期報告書に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、

    • 当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額

      平成26年6月第1四半期四半期報告書 72,764円
      平成26年9月第2四半期四半期報告書 62,649円
      平成26年12月第3四半期四半期報告書 112,586円

    • 6,000,000円

    を超えないことから、

    平成26年6月第1四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円

    平成26年9月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円

    平成26年12月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円

    となる。

    ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、下記のとおり600万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。

    平成26年6月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は

    2,000,000円

    平成26年9月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は

    2,000,000円

    平成26年12月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は

    2,000,000円

  • (2)金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、

    • 平成26年2月27日提出の有価証券届出書(新株予約権証券)に係る課徴金の額は、

      503,535,500円×4.5/100=22,659,097円

      について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、22,650,000円

    • 平成27年3月9日提出の有価証券届出書(株式)に係る課徴金の額は、

      815,832,000円×4.5/100=36,712,440円

      について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、36,710,000円

    • 平成27年3月9日提出の有価証券届出書(新株予約権証券)に係る課徴金の額は、

      761,497,200円×4.5/100=34,267,374円

      について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、34,260,000円

    となる。

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