平成27年10月23日

証券取引等監視委員会

オリンパス株式会社に係る虚偽有価証券報告書提出事件の告発について(4)

証券取引等監視委員会は、本日、証券取引法及び金融商品取引法違反幇助(虚偽有価証券報告書提出)の嫌疑で、嫌疑者1名を東京地方検察庁に告発した。告発の対象となった犯則事実については下記のとおり。

  • 1.告発の対象となった犯則事実

    犯則嫌疑者は、オリンパス株式会社(以下「オリンパス」という)の代表取締役社長らが共謀の上、同社の業務及び財産に関し

    • 平成18年4月1日から平成19年3月31日までの連結会計年度につき、同年6月28日、関東財務局において、同財務局長に対し、同社の連結会計年度における連結純資産額が約2324億5900万円であったにもかかわらず、損失を抱えた金融商品を簿外処理するなどの方法により、「純資産合計」欄に3448億7100万円と記載するなどした連結貸借対照表を掲載した有価証券報告書を提出し

    • 平成19年4月1日から平成20年3月31日までの連結会計年度につき、同年6月27日、関東財務局において、同財務局長に対し、同社の連結会計年度における連結純資産額が約2500億2900万円であったにもかかわらず、損失を抱えた金融商品を簿外処理するとともに架空ののれん代を計上するなどの方法により、「純資産合計」欄に3678億7600万円と記載するなどした連結貸借対照表を掲載した有価証券報告書を提出し

    • 平成20年4月1日から平成21年3月31日までの連結会計年度につき、同年6月26日、関東財務局において、同財務局長に対し、同社の連結会計年度における連結純資産額が約1208億5200万円であったにもかかわらず、損失を抱えた金融商品を簿外処理するとともに架空ののれん代を計上するなどの方法により、「純資産合計」欄に1687億8400万円と記載するなどした連結貸借対照表を掲載した有価証券報告書を提出し

    • 平成21年4月1日から平成22年3月31日までの連結会計年度につき、同年6月29日、関東財務局において、同財務局長に対し、同社の連結会計年度における連結純資産額が約1713億7100万円であったにもかかわらず、架空ののれん代を計上するなどの方法により、「純資産合計」欄に2168億9100万円と記載するなどした連結貸借対照表を掲載した有価証券報告書を提出し

    もってそれぞれ重要な事項につき虚偽の記載のある有価証券報告書を提出した際、その情を知りながら、有価証券の売買等を目的とする会社の取締役であった者と共同して

    • 第1前記1の事実について、平成19年6月28日までの間、オリンパスの簿外損失を管理するためのファンド等の維持管理を行うなどして損失を抱えた金融商品を簿外処理することを可能にするなどし

    • 第2前記2の事実について、平成20年6月27日までの間、前記ファンド等の維持管理及びファンド間の送金を行い、オリンパスの企業買収に関する業務の報酬名目で犯則嫌疑者が経営するAxes America LLC(以下「アクシーズアメリカ」という)に対する株式オプションを発行させるなどして、損失を抱えた金融商品を簿外処理することを可能にするとともに同株式オプションの評価額を前記2の有価証券報告書にのれん代として計上することを可能にするなどし

    • 第3前記3の事実について、平成21年6月26日までの間、前記ファンド等の維持管理及びファンド間の送金を行い、オリンパスの企業買収に関する業務の報酬名目でアクシーズアメリカに付与された前記株式オプション及びワラント購入権を、AXAM INVESTMENTS LTD.(以下「AXAM」という。)に買い取らせ、架空ののれん代相当額をオリンパスに還流させる名目を作出するなどする一方、オリンパスに同ワラント購入権を著しく高額で買い取らせるなどして、損失を抱えた金融商品を簿外処理することを可能にするとともに同ワラント購入権の代金額を前記3の有価証券報告書にのれん代として計上することを可能にするなどし

    • 第4前記4の事実について、平成22年3月下旬頃、オリンパスの企業買収に関する業務の報酬名目でアクシーズアメリカに付与された前記株式オプションの譲渡を受けたAXAMに対し同株式オプションに代えて付与されていた配当優先株を、オリンパスに著しく高額で買い取らせるなどして、その買取額と簿価との差額を前記4の有価証券報告書にのれん代として計上することを可能にするなどし

    もってそれぞれ前記1ないし4の各犯行を容易にしてこれを幇助したものである。

  • 2.関連条文

    • 第1平成18年法律第65号第3条による改正前の証券取引法第197条第1項第1号、第24条第1項第1号、第207条第1項第1号、刑法第62条第1項

      法定刑:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科

    • 第2平成20年法律第65号第1条による改正前の金融商品取引法第197条第1項第1号、第24条第1項第1号、現行第207条第1項第1号、刑法第62条第1項

      法定刑:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科

    • 第3、4平成23年法律第49号第1条による改正前の金融商品取引法第197条第1項第1号、現行第24条第1項第1号、第207条第1項第1号、刑法第62条第1項

      法定刑:5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科

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