株式会社アールテック・ウエノとの契約締結者の職員による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社アールテック・ウエノとの契約締結者の職員による内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者は、株式会社アールテック・ウエノ(以下「アールテック」という。) との間で網膜色素変性に対するウノプロストン(開発コードUF-021)点眼液の第3相臨床試験(以下「本試験」という。)にかかる治験契約を締結していた法人に勤務し、同治験に従事していた者であるが、平成27年3月9日、同契約の履行に関し、アールテックが本試験を中止することについて決定した旨の、アールテックの運営、業務又は財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす事実を知りながら、上記事実の公表がされた同日午後3時30分頃より前の午後2時11分頃、自己の計算において、アールテック株式合計800株を売付価額合計165万5700円で売り付けたものである。
課徴金納付命令対象者が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、60万円である。
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別紙)
○課徴金の額の計算方法について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(売付価格)×(売付株数)
-(重要事実が公表された後2週間における最も低い価格)×(売付株数)
となる。
したがって、重要事実公表後2週間におけるアールテックの最も低い株価は、
1,314円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
売付価額1,655,700円(注1)-(1,314円×800株)
=604,500円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、60万円
(注1)売付価額は、
「2,065円×100株+2,066円×100株+2,070円×400株+2,071円×100株+2,075円×100株」
の額である。