株式会社アイロムホールディングス社員からの情報受領者による内部者取引違反行為及び当該社員による重要事実に係る伝達違反行為に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社アイロムホールディングス社員からの情報受領者による内部者取引違反行為及び当該社員による重要事実に係る伝達違反行為について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
(1)課徴金納付命令対象者(1)について
課徴金納付命令対象者(1)は、株式会社アイロムホールディングス(平成27年7月1日商号変更で株式会社アイロムグループ。以下「アイロム」という。)の社員であった課徴金納付命令対象者(2)から、同人がその職務に関し知った、同社の子会社であるディナベック株式会社(平成27年4月1日商号変更で株式会社IDファーマ。)の業務執行を決定する機関が、大日本住友製薬株式会社と業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、当該事実の公表がされた平成26年9月30日より前の同月24日、自己の計算において、アイロム株式合計2000株を買付価額合計158万円で買い付けたものである。
違反行為事実の概要については、別図のとおり。
課徴金納付命令対象者(1)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
(2)課徴金納付命令対象者(2)について
課徴金納付命令対象者(2)は、株式会社アイロムホールディングス(平成27年7月1日商号変更で株式会社アイロムグループ。以下「アイロム」という。)の社員であったが、その職務に関し知った、同社の子会社であるディナベック株式会社(平成27年4月1日商号変更で株式会社IDファーマ。)の業務執行を決定する機関が、大日本住友製薬株式会社と業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実を、課徴金納付命令対象者(1)に対し、上記事実が公表される前にアイロム株式の買付けをさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。
課徴金納付命令対象者(1)は、上記事実の公表がされた平成26年9月30日より前の同月24日、自己の計算において、アイロム株式合計2000株を買付価額合計158万円で買い付けたものである。
違反行為事実の概要については、別図のとおり。
課徴金納付命令対象者(2)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条の2第1項に規定する「第167条の2第1項の規定に違反して、同項の伝達をし、又は同項の売買等をすることを勧める」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、下記のとおりである。
課徴金納付命令対象者(1)102万円
課徴金納付命令対象者(2)51万円
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
(別図)
○違反行為事実の概要について
(別紙)
○課徴金の額の計算方法について
1.課徴金納付命令対象者(1)
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、重要事実の公表後2週間におけるアイロムの最も高い株価は、1,300円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(1,300円×2,000株) - 買付価額1,580,000円(注1)
=1,020,000円
⇒課徴金の額は、102万円
(注1)買付価額は、「790円×2,000株」の額である。
2.課徴金納付命令対象者(2)
金融商品取引法第175条の2第1項に基づき、課徴金の額は、
(当該違反行為により当該情報受領者が行った当該買付け等によって得た利得相当額)× 1/2
となる。
金融商品取引法第175条の2第3項に基づき、利得相当額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、重要事実の公表後2週間におけるアイロムの最も高い株価は、1,300円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
{(1,300円×2,000株) - 買付価額1,580,000円(注2)}
× 1/2
=510,000円
⇒課徴金の額は、51万円
(注2)買付価額は、「790円×2,000株」の額である。