株式会社エナリスに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社エナリス(法人番号9011801020788)に係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
(1)継続開示書類
株式会社エナリス(以下「当社」という。)は、第三者への太陽光発電施設等の販売を装うなどして、売上を過大に計上するなどした。
この結果、当社は、関東財務局長に対し、別紙1のとおり、金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」以下の有価証券報告書等を提出したものである。
平成25年9月第3四半期四半期報告書(平成25年11月12日提出)
平成25年12月期有価証券報告書(平成26年3月24日提出)
平成26年6月第2四半期四半期報告書(平成26年8月8日提出)
(2)発行開示書類
当社は、関東財務局長に対し、以下のとおり、金融商品取引法第172条の2第1項第1号に規定する「重要な事項につき虚偽の記載がある」発行開示書類を提出し、当該発行開示書類に基づく募集により有価証券を取得させたものである。
ア平成26年5月12日、平成25年1月1日から平成25年12月31日までの連結会計期間につき、売上の過大計上等により、同期間における連結当期純損益が104百万円(百万円未満切捨て。連結当期純損益の金額については以下同じ。)の利益であるところを422百万円の利益と記載するなどした同期間における連結損益計算書を掲載した有価証券届出書(一般募集)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、平成26年6月4日、4,000,000株の株式を4,821,000,000円で取得させた。
イ平成26年5月12日、平成25年1月1日から平成25年12月31日までの連結会計期間につき、売上の過大計上等により、同期間における連結当期純損益が104百万円の利益であるところを422百万円の利益と記載するなどした同期間における連結損益計算書を掲載した有価証券届出書(その他の者に対する割当)を提出し、同有価証券届出書に基づく募集により、平成26年6月25日、600,000株の株式を723,150,000円で取得させた。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、2億5,848万円である。(計算方法については別紙2のとおり。)
番 号 |
開示書類 | 虚偽記載 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成25年 11月12日 |
第10期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成25年9月第3四半期四半期報告書) | 平成25年1月1日~平成25年9月30日の第3四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が55百万円であるところを247百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
2 | 平成26年 3月24日 |
第10期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成25年12月期有価証券報告書) | 平成25年1月1日~平成25年12月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
連結当期純損益が104百万円であるところを422百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
3 | 平成26年 8月8日 |
第11期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成26年6月第2四半期四半期報告書) | 平成26年1月1日~平成26年6月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
連結四半期純損益が▲22百万円であるところを206百万円と記載 | ・売上の過大計上 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損失であることを示す。
(1)金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、平成25年9月第3四半期四半期報告書及び平成25年12月期有価証券報告書に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
( | 平成25年9月第3四半期四半期報告書 | - 円 | |
平成25年12月期有価証券報告書 | 4,273,842円 | ) |
が
イ6,000,000円
を超えないことから、
平成25年9月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成25年12月期有価証券報告書については、6,000,000円
となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、下記のとおり600万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。
平成25年9月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
2,000,000円
平成25年12月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
4,000,000円
(2)金融商品取引法第172条の4第2項の規定により、平成26年6月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(4,289,098円)
が
イ6,000,000円
を超えないことから、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円となる。
(3)金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、
ア平成26年5月12日提出の有価証券届出書(一般募集)に係る課徴金の額は、
4,821,000,000円×4.5/100=216,945,000円
について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、216,940,000円
イ平成26年5月12日提出の有価証券届出書(その他の者に対する割当)に係る課徴金の額は、
723,150,000円×4.5/100=32,541,750円
について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、32,540,000円
となる。