平成28年5月17日

証券取引等監視委員会

トップゲイン株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    関東財務局長がトップゲイン株式会社(東京都中央区、法人番号1010001124688、資本金1000万円、常勤役職員1名、第二種金融商品取引業、適格機関投資家等特例業務)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    トップゲイン株式会社(以下「当社」という。)は、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として、自らを無限責任組合員とするトップマスター投資事業有限責任組合(以下「トップLPS」という。)を組成し、他の特例業務の届出者(以下「届出業者」という。)が運用する匿名組合又は投資事業有限責任組合(以下「ファンド」という。)に適格機関投資家として出資(以下「適格機関投資家出資」という。)して運用を行っているとしている。なお、第二種金融商品取引業は行っていない。

    今回検査において、当社の業務運営の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

    • (1)適格機関投資家出資の外観を仮装し、違法行為に積極的に加担した状況

      当社は、トップLPSについて、届出業者14者が運用する15本のファンドに適格機関投資家出資したとしているところ、このうち少なくとも届出業者である株式会社ファインドエッジ(大阪市北区)及び株式会社ファーストレード(東京都渋谷区)がそれぞれ運用する2本のファンドについて、出資金相当額を当該届出業者2者が負担するとともに、トップLPSの名義の使用に係る対価として当該届出業者2者が一定の金銭を支払うことを条件として出資を行ったものであり、実際に当社が出資した実態がなく、トップLPSからの適格機関投資家出資がなされているかのような外観を仮装したものに過ぎない。したがって、当該出資については、適格機関投資家出資とは到底評価し得ないものである。

      このような中、株式会社ファインドエッジによるファンドに係る取得勧誘は、特例業務の要件を満たさず、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当するものであり、金商法第29条の登録を受けることなく、当該行為を行うことは、同条に違反しているものと認められている。

      そして、当社は、上記のとおり適格機関投資家出資の外観を仮装することにより、上記法令違反行為に積極的に加担していたものである。

      また、上記届出業者2者においては、違法又は不当な行為による投資者被害等の問題が認められており(別紙参照)、当社の行為は、当該届出業者2者による違法又は不当な行為を助長し、投資者被害をもたらす事態等を招いたものと認められる。

      当社が特例業務において適格機関投資家出資を上記のように行っている状況は、金商法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当と認めるとき」に該当するものと認められる。

    • (2)金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況

      当社は、第二種金融商品取引業を行うに当たり当該業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していなければならないところ、一人で業務を行っているA代表取締役は、法令等遵守意識や投資者保護意識が著しく欠如しており、上記(1)の状況や、関東財務局からの連絡に一切応じない状況等が認められている。

      当社は、金商法第29条の4第1項第1号ホに規定する「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当し、このような当社の状況は、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。


(別紙)

当社が適格機関投資家出資を行ったファンドの届出業者のうち問題が認められたもの

  • 1.金融庁の「問題があると認められた届出業者リスト」に掲載されている業者

届出業者名 管轄財務局等 届出日 備考

株式会社ファインドエッジ

近畿財務局

H23.2.3

※警告書(無登録)を発出しました。

※警告書(投資者保護上問題あり)を発出しました。

株式会社ファーストレード

関東財務局

H23.9.13

※報告命令に応じません。

※連絡がとれません。

(金融庁「問題があると認められた届出業者リスト」(平成28年3月末現在)より抜粋)


(参考条文)

○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録)

第二十九条金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(登録の拒否)

第二十九条の四内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一次のいずれかに該当する者

イ~ニ(略)

ホ金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者

(以下、略)

(金融商品取引業者に対する業務改善命令)

第五十一条内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき。

(以下、略)

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