平成28年6月3日

証券取引等監視委員会

極東貿易株式外4銘柄に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、極東貿易株式外4銘柄に係る相場操縦について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    課徴金納付命令対象者は、株式の売買を誘引する目的をもって、別表記載のとおり、

    (1)大豊建設株式会社(以下「大豊建設」という。)の株式につき、平成27年3月18日午後2時9分15秒から同日午後2時9分18秒までの間及び同月20日午後0時32分49秒から同日午後0時42分57秒までの間、上値売り注文を大量に入れるなどの方法により、同株式合計7万2000株の売付けの委託を行う一方、同株式合計3万8000株を買い付けるなどし、

    (2)JUKI株式会社(以下「JUKI」という。)の株式につき、同年4月3日午前10時31分44秒から同日午前10時35分14秒までの間、前記同様の方法により、同株式合計7万8000株の売付けの委託を行う一方、同株式合計4万株を買い付けるなどし、

    (3)東洋エンジニアリング株式会社(以下「東洋エンジニアリング」という。)の株式につき、同年5月18日午前9時50分52秒から同日午前9時57分29秒までの間及び同月19日午前9時34分19秒から同日午前9時36分9秒までの間、前記同様の方法により、同株式合計24万8000株の売付けの委託を行う一方、同株式合計10万8000株を買い付けるなどし、

    (4)極東貿易株式会社(以下「極東貿易」という。)の株式につき、同年6月9日午前10時0分33秒から同日午前10時8分54秒までの間、前記同様の方法により、同株式合計13万株の売付けの委託を行うとともに、同株式合計1万2000株を売り付ける一方、同株式合計4万2000株を買い付けるなどし、

    (5)株式会社マツモトキヨシホールディングス(以下「マツモトキヨシホールディングス」という。)の株式につき、同年6月22日午前11時9分46秒から同日午前11時13分41秒までの間、前記同様の方法により、同株式合計7800株の売付けの委託を行う一方、同株式合計6000株を買い付けるなどし、

    もって、自己の計算において、大豊建設、JUKI、東洋エンジニアリング、極東貿易及びマツモトキヨシホールディングス各株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、上記各株式の相場を変動させるべき一連の売買及び委託をしたものである。

    違反行為事実の概要については、別図のとおり。

    課徴金納付命令対象者が行った上記の行為は、金融商品取引法第174条の2第1項に規定する「第159条第2項第1号の規定に違反する一連の有価証券売買等」及び「その委託等」に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為に対し金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、合計121万円である。

    計算方法の詳細については、別紙のとおり。


(別表)

違反行為状況

違反行為状況(大豊建設)
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違反行為状況(JUKI)
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違反行為状況(東洋エンジニアリング)
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違反行為状況(極東貿易)
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違反行為状況(マツモトキヨシホールディングス)
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(別図)

違反行為事実の概要について

違反行為事実の概要について
(クリックすると拡大されます)

(別紙)

課徴金の額の計算方法について

  • 1.金融商品取引法第174条の2第1項に基づき、課徴金の額は、

    (1)売買対当数量(注1)に係るものについて、

    (有価証券の売付価額)-(有価証券の買付価額)

    と、

    (2)当該違反行為に係る有価証券の売付数量が買付数量を超える場合の、当該超える数量に係るものについて、

    (有価証券の売付価額)-(当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の当該有価証券の最低価格×当該超える数量)

    または、

    当該違反行為に係る有価証券の買付数量が売付数量を超える場合の、当該超える数量に係るものについて、

    (当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の当該有価証券の最高価格×当該超える数量)-(有価証券の買付価額)

    との合計額として計算される。

    (注1)売買対当数量:当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量のうち、いずれか少ない数量をいう。

  • 2.課徴金納付命令対象者の各違反行為について、本件における課徴金の額は、下記(1)ないし(7)によりそれぞれ算定される額の合計 1,210,000円

    (1)大豊建設株式(別表の1.ア.)に係る課徴金の額は、下記ア.及びイ.によりそれぞれ算定される額の合計840,000円

    ⇒課徴金の額は、84万円

    ア.当該違反行為に係る売買対当数量は、

    (i)当該違反行為に係る有価証券の売付数量は、金融商品取引法第174条の2第7項及び同法施行令第33条の12第1号により、違反行為の開始時にその時における価格(637円)で売付けをしたものとみなされる当該違反行為の開始時に有価証券を有しないで売付けをしている当該有価証券の数量20,000株であり、

    (ii)当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、0株である

    ことから、0株となる。

    よって、当該売買対当数量に係るものについては、0円

    イ.上記ア.のとおり、当該違反行為に係る有価証券の売付数量が、買付数量を超えることから、当該超える数量20,000株(20,000株-0株)について、当該超える数量に係る有価証券の売付価額から、当該違反行為が終了してから1月を経過するまでの間の当該有価証券の最低価格(595円)に当該超える数量を乗じて得た額を控除した額

    売付価額12,740,000円(注2)-11,900,000円(595円×20,000株)

    =840,000円

    (注2)売付価額は、「637円×20,000株」の額である。

    (2)大豊建設株式(別表の1.イ.)に係る課徴金の額は、下記ア.及びイ.によりそれぞれ算定される額の合計30,000円

    ⇒課徴金の額は、3万円

    ア.当該違反行為に係る売買対当数量は、

    (i)当該違反行為に係る有価証券の売付数量は、金融商品取引法第174条の2第7項及び同法施行令第33条の12第1号により、違反行為の開始時にその時における価格(624円)で売付けをしたものとみなされる当該違反行為の開始時に有価証券を有しないで売付けをしている当該有価証券の数量38,000株であり、

    (ii)当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、38,000株である

    ことから、38,000株となる。

    当該売買対当数量に係るものについて、

    売付価額23,712,000円(注3)- 買付価額23,682,000円(注4)

    =30,000円

    (注3)売付価額は、「624円×38,000株」の額である。

    (注4)買付価額は、「623円×30,000株+624円×8,000株」の額である。

    イ.上記ア.のとおり、当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量が同じであり、当該超える数量は0株となることから0円

    (3)JUKI株式(別表の2.)に係る課徴金の額は、下記ア.及びイ.によりそれぞれ算定される額の合計30,000円

    ⇒課徴金の額は、3万円

    ア.当該違反行為に係る売買対当数量は、

    (i)当該違反行為に係る有価証券の売付数量は、金融商品取引法第174条の2第7項及び同法施行令第33条の12第1号により、違反行為の開始時にその時における価格(379円)で売付けをしたものとみなされる当該違反行為の開始時に有価証券を有しないで売付けをしている当該有価証券の数量40,000株であり、

    (ii)当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、40,000株である

    ことから、40,000株となる。

    当該売買対当数量に係るものについて、

    売付価額15,160,000円(注5)- 買付価額15,130,000円(注6)

    =30,000円

    (注5)売付価額は、「379円×40,000株」の額である。

    (注6)買付価額は、「378円×30,000株+379円×10,000株」の額である。

    イ.上記ア.のとおり、当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量が同じであり、当該超える数量は0株となることから0円

    (4)東洋エンジニアリング株式(別表の3.ア.)に係る課徴金の額は、下記ア.及びイ.によりそれぞれ算定される額の合計80,000円

    ⇒課徴金の額は、8万円

    ア.当該違反行為に係る売買対当数量は、

    (i)当該違反行為に係る有価証券の売付数量は、金融商品取引法第174条の2第7項及び同法施行令第33条の12第1号により、違反行為の開始時にその時における価格(336円)で売付けをしたものとみなされる当該違反行為の開始時に有価証券を有しないで売付けをしている当該有価証券の数量40,000株であり、

    (ii)当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、40,000株である

    ことから、40,000株となる。

    当該売買対当数量に係るものについて、

    売付価額13,440,000円(注7)- 買付価額13,360,000円(注8)

    =80,000円

    (注7)売付価額は、「336円×40,000株」の額である。

    (注8)買付価額は、「334円×40,000株」の額である。

    イ.上記ア.のとおり、当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量が同じであり、当該超える数量は0株となることから0円

    (5)東洋エンジニアリング株式(別表の3.イ.)に係る課徴金の額は、下記ア.及びイ.によりそれぞれ算定される額の合計68,000円

    ⇒課徴金の額は、6万円

    ア.当該違反行為に係る売買対当数量は、

    (i)当該違反行為に係る有価証券の売付数量は、金融商品取引法第174条の2第7項及び同法施行令第33条の12第1号により、違反行為の開始時にその時における価格(320円)で売付けをしたものとみなされる当該違反行為の開始時に有価証券を有しないで売付けをしている当該有価証券の数量68,000株であり、

    (ii)当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、68,000株である

    ことから、68,000株となる。

    当該売買対当数量に係るものについて、

    売付価額21,760,000円(注9)- 買付価額21,692,000円(注10)

    =68,000円

    (注9)売付価額は、「320円×68,000株」の額である。

    (注10)買付価額は、「319円×68,000株」の額である。

    イ.上記ア.のとおり、当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量が同じであり、当該超える数量は0株となることから0円

    (6)極東貿易株式(別表の4.)に係る課徴金の額は、下記ア.及びイ.によりそれぞれ算定される額の合計110,000円

    ⇒課徴金の額は、11万円

    ア.当該違反行為に係る売買対当数量は、

    (i)当該違反行為に係る有価証券の売付数量は、実際の売付け等の数量12,000株に金融商品取引法第174条の2第7項及び同法施行令第33条の12第1号により、違反行為の開始時にその時における価格(350円)で売付けをしたものとみなされる当該違反行為の開始時に有価証券を有しないで売付けをしている当該有価証券の数量30,000株を加えた42,000株であり、

    (ii)当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、42,000株である

    ことから、42,000株となる。

    当該売買対当数量に係るものについて、

    売付価額14,664,000円(注11)- 買付価額14,554,000円(注12)

    =110,000円

    (注11)売付価額は、「347円×12,000株+350円×30,000株」の額である。

    (注12)買付価額は、「346円×20,000株+347円×22,000株」の額である。

    イ.上記ア.のとおり、当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量が同じであり、当該超える数量は0株となることから0円

    (7)マツモトキヨシホールディングス株式(別表の5.)に係る課徴金の額は、下記ア.及びイ.によりそれぞれ算定される額の合計60,000円

    ⇒課徴金の額は、6万円

    ア.当該違反行為に係る売買対当数量は、

    (i)当該違反行為に係る有価証券の売付数量は、金融商品取引法第174条の2第7項及び同法施行令第33条の12第1号により、違反行為の開始時にその時における価格(5,260円)で売付けをしたものとみなされる当該違反行為の開始時に有価証券を有しないで売付けをしている当該有価証券の数量6,000株であり、

    (ii)当該違反行為に係る有価証券の買付数量は、6,000株である

    ことから、6,000株となる。

    当該売買対当数量に係るものについて、

    売付価額31,560,000円(注13)- 買付価額31,500,000円(注14)

    =60,000円

    (注13)売付価額は、「5,260円×6,000株」の額である。

    (注14)買付価額は、「5,250円×6,000株」の額である。

    イ.上記ア.のとおり、当該違反行為に係る有価証券の売付数量と買付数量が同じであり、当該超える数量は0株となることから0円

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