株式会社ピクセラ外2社との契約締結交渉者の社員による内部者取引違反行為及び株式会社ピクセラとの契約締結交渉者の役員からの情報受領者2名による内部者取引違反行為並びに当該役員による重要事実に係る伝達違反行為に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社ピクセラ外2社との契約締結交渉者の社員による内部者取引違反行為及び株式会社ピクセラとの契約締結交渉者の役員からの情報受領者2名による内部者取引違反行為並びに当該役員による重要事実に係る伝達違反行為について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
(1)課徴金納付命令対象者(1)について
課徴金納付命令対象者(1)は、Oakキャピタル株式会社(以下「Oak」という。)に勤務していた者である。
課徴金納付命令対象者(1)は、その職務に関し、
イ.Oakの役員等が、株式会社省電舎(以下「省電舎」という。)との新株予約権付社債及び新株予約権引受契約の締結交渉に関し知った、省電舎の業務執行を決定する機関が、省電舎の発行する新株予約権付社債及び新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、上記重要事実の公表がされた平成27年4月3日午後5時30分頃より前の同日午前9時2分頃、自己の計算において、省電舎株式合計500株を買付価額合計47万円で買い付け
ロ.Oakの役員等が、株式会社ガーラ(以下「ガーラ」という。)との新株及び新株予約権引受契約の締結交渉に関し知った、ガーラの業務執行を決定する機関が、ガーラの発行する新株及び新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、上記重要事実の公表がされた平成27年4月23日午後5時頃より前の同月22日及び翌23日午前9時55分頃、自己の計算において、ガーラ株式合計200株を買付価額合計21万2500円で買い付け
ハ.Oakの役員等が、株式会社ピクセラ(以下「ピクセラ」という。)との新株及び新株予約権引受契約の締結交渉に関し知った、ピクセラの業務執行を決定する機関が、ピクセラの発行する新株及び新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、上記重要事実の公表がされた平成27年7月17日午後5時15分頃より前の同日午前9時5分頃から午前9時22分頃までの間、自己の計算において、ピクセラ株式合計4000株を買付価額合計40万3600円で買い付けたものである。
(2)課徴金納付命令対象者(2)について
課徴金納付命令対象者(2)は、ピクセラとの間でフィナンシャルアドバイザリー契約の締結を交渉していた株式会社ユークリッドキャピタル(以下「ユークリッド」という。)の役員である課徴金納付命令対象者(4)から、同人が同契約の締結交渉に関し知った、ピクセラの業務執行を決定する機関が、ピクセラの発行する新株及び新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、上記重要事実の公表がされた平成27年7月17日より前の同年5月7日及び同月18日、自己の計算において、ピクセラ株式合計2万株を買付価額合計207万円で買い付けたものである。
(3)課徴金納付命令対象者(3)について
課徴金納付命令対象者(3)は、ピクセラとの間でフィナンシャルアドバイザリー契約の締結を交渉していたユークリッドの役員である課徴金納付命令対象者(4)から、同人が同契約の締結交渉に関し知った、ピクセラの業務執行を決定する機関が、ピクセラの発行する新株及び新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、上記重要事実の公表がされた平成27年7月17日より前の同年5月15日から同年7月16日までの間、自己の計算において、ピクセラ株式合計7万1100株を買付価額合計735万200円で買い付けたものである。
違反行為事実の概要については、別図のとおり。
課徴金納付命令対象者(1)ないし(3)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
(4)課徴金納付命令対象者(4)について
イ.課徴金納付命令対象者(4)は、ピクセラとの間でフィナンシャルアドバイザリー契約の締結を交渉していたユークリッドの役員であるが、同契約の締結交渉に関し知った、ピクセラの業務執行を決定する機関が、ピクセラの発行する新株及び新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実を、課徴金納付命令対象者(2)に対し、上記重要事実の公表がされる前にピクセラ株式を買い付けさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。
課徴金納付命令対象者(2)は、上記重要事実の公表がされた平成27年7月17日より前の同年5月7日及び同月18日、自己の計算において、ピクセラ株式合計2万株を買付価額合計207万円で買い付けたものである。
ロ.課徴金納付命令対象者(4)は、上記重要事実を、課徴金納付命令対象者(3)に対し、上記重要事実の公表がされる前にピクセラ株式を買い付けさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。
課徴金納付命令対象者(3)は、上記重要事実の公表がされた平成27年7月17日より前の同年5月15日から同年7月16日までの間、自己の計算において、ピクセラ株式合計7万1100株を買付価額合計735万200円で買い付けたものである。
違反行為事実の概要については、別図のとおり。
課徴金納付命令対象者(4)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条の2第1項に規定する「第167の2条第1項の規定に違反して、同項の伝達をし、又は同項の売買等をすることを勧める」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違反行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、下記のとおりである。
課徴金納付命令対象者(1)79万円
課徴金納付命令対象者(2)247万円
課徴金納付命令対象者(3)878万円
課徴金納付命令対象者(4)562万円
計算方法の詳細については、別紙のとおり。
○違反行為事実の概要について
○課徴金の額の計算方法について
1.課徴金納付命令対象者(1)
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、
違反行為イ.について、重要事実の公表後2週間における省電舎の最も高い株価は、1,321円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(1,321円×500株) - 買付価額470,000円(注1)
=190,500円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、19万円
(注1)買付価額は、「940円×500株」の額である。
違反行為ロ.について、重要事実の公表後2週間におけるガーラの最も高い株価は、1,579円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(1,579円×200株) - 買付価額212,500円(注2)
=103,300円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、10万円
(注2)買付価額は、「1,056円×100株+1,069円×100株」の額である。
違反行為ハ.について、重要事実の公表後2週間におけるピクセラの最も高い株価は、227円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(227円×4,000株) - 買付価額403,600円(注3)
=504,400円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、50万円
(注3)買付価額は、「100円×400株+101円×3,600株」の額である。
2.課徴金納付命令対象者(2)について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、
重要事実の公表後2週間におけるピクセラの最も高い株価は、227円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(227円×20,000株) - 買付価額2,070,000円(注4)
=2,470,000円
⇒課徴金の額は、247万円
(注4)買付価額は、「101円×10,000株+106円×10,000株」の額である。
3.課徴金納付命令対象者(3)について
金融商品取引法第175条第1項に基づき、課徴金の額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、
重要事実の公表後2週間におけるピクセラの最も高い株価は、227円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
(227円×71,100株) - 買付価額7,350,200円(注5)
=8,789,500円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、878万円
(注5)買付価額は、
「96円×1,100株+97円×10,700株+98円×6,300株+99円×1,500株+100円×3,600株+101円×3,900株+103円×5,000株+104円×5,500株+105円×12,800株+106円×2,000株+107円×6,700株+110円×5,000株+111円×7,000株」
の額である。
4.課徴金納付命令対象者(4)について
金融商品取引法第175条の2第1項に基づき、課徴金の額は、
(当該違反行為により当該情報受領者が行った当該買付け等によって得た利得相当額)× 1/2
となる。
金融商品取引法第175条の2第3項に基づき、利得相当額は、
(重要事実が公表された後2週間における最も高い価格)×(買付株数)
-(買付価格)×(買付株数)
となる。
したがって、重要事実の公表後2週間におけるピクセラの最も高い株価は、
227円であることから、課徴金の額は下記の金額となる。
課徴金納付命令対象者(2)に対する伝達について、
{(227円×20,000株)-買付価額2,070,000円(注6)}
× 1/2
=1,235,000円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、123万円
(注6)買付価額は、「101円×10,000株+106円×10,000株」の額である。
課徴金納付命令対象者(3)に対する伝達について、
{(227円×71,100株)-買付価額7,350,200円(注7)}
× 1/2
=4,394,750円
⇒課徴金の額は1万円未満を切り捨てるため、439万円
(注7)買付価額は、
「96円×1,100株+97円×10,700株+98円×6,300株+99円×1,500株+100円×3,600株+101円×3,900株+103円×5,000株+104円×5,500株+105円×12,800株+106円×2,000株+107円×6,700株+110円×5,000株+111円×7,000株」
の額である。