平成28年9月2日

証券取引等監視委員会

グランド・ウィン・パートナーズ株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

  • 1.勧告の内容

    近畿財務局長がグランド・ウィン・パートナーズ株式会社(大阪市西区、法人番号2120001146134、資本金7300万円、常勤役職員9名、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

  • 2.事実関係

    グランド・ウィン・パートナーズ株式会社(以下「当社」という。)は、平成25年6月以降、合同会社バズビズを営業者として、ビジネスフォンに関する新システムの開発・製造・販売等の事業へ投資するとした4つの匿名組合契約に基づく権利(以下「ビジネスフォンファンド」という。)と、同26年6月以降、阿弗利加資源開発推進機構株式会社を営業者として、金採掘用機材等のリース事業等へ投資するとした3つの匿名組合契約に基づく権利(以下「金採掘ファンド」といい、ビジネスフォンファンドと合わせて「本件ファンド」という。)の私募の取扱いを行っている。なお、平成28年4月末現在、償還期限の到来していないビジネスフォンファンドは、21本、出資総額は約5.1億円、同金採掘ファンドは、23本、出資総額は約3.8億円である。

    今回検査において、当社の業務運営の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

    • (1)出資金の流用を知りながら匿名組合契約に基づく権利の私募の取扱いを行っている状況

      当社は、本件ファンドのそれぞれのファンド関係者間で、本件ファンドの組成を計画した際に、当該組成を主導していたA社(平成27年12月以降は、主たる人員構成がA社と同様のB社に変更)に対し、顧客から集めた出資金のうち約40%を販売協力金名目で支払うことを取り決めた(以下「本件合意」という。)。なお、A社又はB社は、本件ファンドの出資対象事業に一切関与していない。

      当社は、本件合意に基づき、本件ファンドの営業者等に対して、顧客から集めた出資金のうち約40%をA社又はB社に送金するよう指示し、A社又はB社に送金させていた。

      また、当社は、平成26年10月以降、本件ファンドのそれぞれのファンド関係者間で、A社又はB社に送金する出資金等の一部を本件ファンドの組成費等として当社に支払うことを取り決め、正当な費用であるかのような名目で、これを受領し、当社社員の給与の支払い等に費消している。

      当社は、このように本件ファンドの私募の取扱い開始以降、出資金が流用されているにもかかわらず、本件ファンドの私募の取扱いを継続していた。

    当社が行った上記の行為のうち、同27年5月29日の改正金融商品取引法(平成26年5月30日法律第44号)施行以降の行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第2条第2項第5号に掲げる権利に関し出資された金銭が、当該金銭を充てて行われる事業に充てられていないことを知りながら、金商法第2条第8項第9号に掲げる行為を行うもので、金商法第40条の3の2に違反するものと認められる。

    • (2)金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

      当社は、(1)に記載のとおり、出資金をA社又はB社へ送金させるとともに、当社社員の給与の支払い等に費消しているにもかかわらず、本件ファンドについて、これを秘して出資金を出資対象事業に投資するなどと顧客に説明し、本件ファンドの私募の取扱いを継続していた。

    当社が行った上記の行為は、金商法第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に該当するものと認められる。

    • (3)報告徴取命令に対する虚偽報告

      当社は、近畿財務局長が平成28年3月30日付けで発出した報告徴取命令に対して、金採掘ファンドの投資先事業者の口座に、あたかも多額の預金が存在するかのように偽造した口座残高証明書の写し等を資料として添付した報告書を提出していた。

    当社が行った上記の行為は、金商法第52条第1項第6号に掲げる「金融商品取引業に関し法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき」に該当するものと認められる。

    • (4)金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない状況

      当社は、第二種金融商品取引業を行うに当たり、当該業務に関する十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していなければならないところ、α代表取締役は、主体となって、上記の法令違反行為を行っていたほか、不適切な検査対応を行うなど、法令等遵守意識及び投資者保護意識は皆無である。

      また、当社の業務運営態勢は、形式的な内部管理及び内部監査にとどまるなど、適切に業務を運営するための人的基盤は整っていない。

      以上のことから、当社は、金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有していないものと認められる。

    当社における上記の状況は、金商法第29条の4第1項第1号ホに掲げる「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当するものと認められ、このような当社の状況は、金商法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。

参考資料(PDF:55.2KB)


(参考条文)

○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録の拒否)

第二十九条の四内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一次のいずれかに該当する者

イ~ニ(略)

ホ金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者

(以下、略)

(禁止行為)

第三十八条金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。(略)

一金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

(以下、略)

(金銭の流用が行われている場合の募集等の禁止)

第四十条の三の二金融商品取引業者等は、第二条第二項第五号若しくは第六号に掲げる権利又は同項第七号に掲げる権利(同項第五号又は第六号に掲げる権利と同様の経済的性質を有するものとして政令で定める権利に限る。)については、これらの権利に関し出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)が、当該金銭を充てて行われる事業に充てられていないことを知りながら、第二条第八項第七号から第九号までに掲げる行為をしてはならない。

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)

第五十二条内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき。

二~五(略)

六金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令(第四十六条の六第二項を除く。)又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。

(以下、略)

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