株式会社メディビックグループに係る有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社メディビックグループ(法人番号8011001064868)に係る有価証券報告書等の虚偽記載について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
(1)継続開示書類
株式会社メディビックグループ(以下「当社」という。)は、当社の連結子会社と他社の間で開発権の譲渡契約が成立したように装い、また、販売代金の回収が困難となった商品売買取引について代金が回収できたように装うことによって売上を過大に計上するなどして、別紙1のとおり、金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」がある以下の有価証券報告書等を関東財務局長に提出したものである。
平成26年12月期有価証券報告書(平成27年3月30日提出)
平成27年3月第1四半期四半期報告書(平成27年5月14日提出)
平成27年6月第2四半期四半期報告書(平成27年8月13日提出)
平成27年9月第3四半期四半期報告書(平成27年11月12日提出)
平成27年12月期有価証券報告書(平成28年3月30日提出)
平成28年3月第1四半期四半期報告書(平成28年5月16日提出)
(2)発行開示書類
当社は、平成27年2月12日、上記(1)の売上の過大計上等により、平成26年1月1日から平成26年12月31日までの連結会計期間における業績の概要として、過大な連結純資産額(392百万円であるところを908百万円と記載。)及び過少な連結当期純損失(872百万円の純損失であるところを356百万円の純損失と記載。)とした連結財務諸表(未監査)を記載することにより、金融商品取引法第172条の2第1項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」がある有価証券届出書(株券及び新株予約権証券)を関東財務局長に提出し、当該有価証券届出書に基づく募集により、同年3月2日、348,200株の株券を84,960,800円で、85,000個の新株予約権証券を2,100,350,000円(新株予約権の行使に際して払い込むべき金額を含む。)で取得させたものである。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、1億1,333万円である。(計算方法については別紙2のとおり。)
(別紙1)株式会社メディビックグループの有価証券報告書等の虚偽記載内容
番 号 |
開示書類 | 虚偽記載 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
提出日 | 書類 | 会計期間 | 財務計算に 関する書類 |
内容(注) | 事由 | |
1 | 平成27年 3月30日 |
第15期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成26年12月期有価証券報告書) | 平成26年1月1日~平成26年12月31日の連結会計期間 | 連結 貸借対照表 |
連結純資産額が392百万円であるところを908百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
連結 損益計算書 |
連結当期純損益が▲872百万円であるところを▲356百万円と記載 | |||||
2 | 平成27年 5月14日 |
第16期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成27年3月第1四半期四半期報告書) | 平成27年1月1日~平成27年3月31日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が381百万円であるところを874百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
3 | 平成27年 8月13日 |
第16期事業年度第2四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成27年6月第2四半期四半期報告書) | 平成27年4月1日~平成27年6月30日の第2四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が275百万円であるところを753百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
4 | 平成27年 11月12日 |
第16期事業年度第3四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成27年9月第3四半期四半期報告書) | 平成27年7月1日~平成27年9月30日の第3四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が90百万円であるところを542百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
5 | 平成28年 3月30日 |
第16期事業年度連結会計期間に係る有価証券報告書(平成27年12月期有価証券報告書) | 平成27年1月1日~平成27年12月31日の連結会計期間 | 連結 貸借対照表 |
連結純資産額が▲43百万円であるところを396百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
連結 損益計算書 |
売上高が89百万円であるところを104百万円と記載 | |||||
6 | 平成28年 5月16日 |
第17期事業年度第1四半期連結会計期間に係る四半期報告書(平成28年3月第1四半期四半期報告書) | 平成28年1月1日~平成28年3月31日の第1四半期連結会計期間 | 四半期連結 貸借対照表 |
連結純資産額が▲118百万円であるところを68百万円と記載 | ・売上の過大計上 等 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。また、▲は損益計算書では損失であることを、貸借対照表では債務超過であることを示す。
(1)金融商品取引法第172条の4第1項の規定により、平成26年12月期有価証券報告書に係る課徴金の額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(547,108円)
が
イ6,000,000円
を超えないことから、6,000,000円となる。
(2)金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、平成27年3月第1四半期四半期報告書、平成27年6月第2四半期四半期報告書、平成27年9月第3四半期四半期報告書及び平成27年12月期有価証券報告書に係る課徴金について、個別決定ごとの算出額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額
( | 平成27年3月第1四半期四半期報告書 | 470,055円 | |
平成27年6月第2四半期四半期報告書 | 432,242円 | ||
平成27年9月第3四半期四半期報告書 | 374,698円 | ||
平成27年12月期有価証券報告書 | 385,340円 | ) |
が
イ6,000,000円
を超えないことから、
平成27年3月第1四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成27年6月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成27年9月第3四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円
平成27年12月期有価証券報告書については、6,000,000円
となる。
ここで、これらの書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、下記のとおり600万円を個別決定ごとの算出額に応じて按分した金額が課徴金の額となる。
平成27年3月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円
平成27年6月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円
平成27年9月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は
1,200,000円
平成27年12月期有価証券報告書に係る課徴金の額は
2,400,000円
(3)金融商品取引法第172条の4第2項の規定により、平成28年3月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、
ア当該法人が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額(292,588円)
が
イ6,000,000円
を超えないことから、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円となる。
(4)金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券等の発行価額の総額の100分の4.5に相当する額が課徴金の額となることから、
平成26年5月12日提出の有価証券届出書(株券及び新株予約権証券)に係る課徴金の額は、
2,185,310,800円(株券84,960,800円、新株予約権証券2,100,350,000円)×4.5/100=98,338,986円
について、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、98,330,000円
となる。