公開買付者との契約締結交渉者の役員からの情報受領者による東京鋼鐵株式に係る内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、公開買付者との契約締結交渉者の役員からの情報受領者による東京鋼鐵株式に係る内部者取引について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
課徴金納付命令対象者(A社)は、同社役員において、大阪製鐵株式会社(以下「大阪製鐵」という。)と公開買付けに関する契約の締結交渉をしていた、B社の役員から、同人がその契約の締結交渉に関し知った、大阪製鐵の業務執行を決定する機関が、東京鋼鐵株式会社(以下「東京鋼鐵」という。平成28年7月14日上場廃止。)の株式の公開買付けを行うことについての決定をした旨の公開買付けの実施に関する事実の伝達を受けながら、同社の業務として、上記事実の公表がされた平成27年9月18日より前の同年8月3日から同月24日までの間、自己の計算において、東京鋼鐵株式合計2万5600株を買付価額合計1009万7200円で買い付けたものである。
違反行為事実の概要については、別図のとおり。
課徴金納付命令対象者が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第2項に規定する「第167条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、577万円である(計算方法の詳細については、別紙のとおり。)。
4.その他
本件については、日本取引所自主規制法人より提供された情報も参考として、実態解明を行ったものである。
○違反行為事実の概要について
○課徴金の額の計算方法について
(1)金融商品取引法第175条第2項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて、公開買付け等の実施に関する事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。
(620円×25,600株)
-(390円×5,000株+395円×10,400株+396円×10,200株)
= 5,774,800円
(2)金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。