平成28年10月28日

証券取引等監視委員会

日本精密株式会社との契約締結交渉者及び同人からの情報受領者2名による内部者取引違反並びに当該契約締結交渉者による重要事実に係る伝達推奨違反に対する課徴金納付命令の勧告について

  • 1.勧告の内容

    証券取引等監視委員会は、日本精密株式会社との契約締結交渉者及び同人からの情報受領者2名による内部者取引違反並びに当該契約締結交渉者による重要事実に係る伝達推奨違反について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

  • 2.法令違反の事実関係

    (1)課徴金納付命令対象者(1)について

    ア.違反行為事実A

    課徴金納付命令対象者(1)は、日本精密株式会社(以下「日本精密」という。)との間で行っていた、契約締結の交渉に関し、同社の業務執行を決定する機関が、同社の発行する株式を引き受ける者の募集及び募集新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実を知りながら、上記重要事実の公表がされた平成27年7月17日より前の同年6月18日から同年7月9日にかけて、自己の計算において、日本精密株式合計1万株を買付価額合計287万2000円で買い付けたものである。

    イ.違反行為事実B

    課徴金納付命令対象者(1)は、上記重要事実を、課徴金納付命令対象者(2)に対し、上記重要事実の公表がされる前に日本精密株式の買付けをさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。

    課徴金納付命令対象者(2)は、上記重要事実が公表された平成27年7月17日より前の同年5月22日及び同月29日、自己の計算において、日本精密株式合計2000株を買付価額合計55万7000円で買い付けたものである。

    ウ.違反行為事実C

    課徴金納付命令対象者(1)は、上記重要事実を、課徴金納付命令対象者(3)に対し、上記重要事実の公表がされる前に日本精密株式の買付けをさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。

    課徴金納付命令対象者(3)は、上記重要事実が公表された平成27年7月17日より前の同年5月28日から同年6月19日にかけて、自己の計算において、日本精密株式合計1万4000株を買付価額合計405万4000円で買い付けたものである。

    エ.違反行為事実D

    課徴金納付命令対象者(1)は、被推奨者丙に対し、上記重要事実の公表がされる前に日本精密株式の買付けをさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、日本精密株式の買付けを勧めたものである。

    被推奨者丙は、上記重要事実が公表された平成27年7月17日より前の同年5月19日及び同年7月9日、自己の計算において、日本精密株式合計8000株を買付価額合計224万1000円で買い付けたものである。

    違反行為事実の概要については、別図のとおり。

    課徴金納付命令対象者(1)が行った

    上記ア.の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に、

    上記イ.ないしエ.の行為は、金融商品取引法第175条の2第1項に規定する「第167条の2第1項の規定に違反して、同項の伝達をし、又は同項の売買等をすることを勧める」行為に、

    該当すると認められる。

    (2)課徴金納付命令対象者(2)について

    課徴金納付命令対象者(2)は、日本精密との間で、契約締結の交渉を行っていた課徴金納付命令対象者(1)から、同人がその契約締結の交渉に関し知った、日本精密の業務執行を決定する機関が、同社の発行する株式を引き受ける者の募集及び募集新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、上記重要事実の公表がされた平成27年7月17日より前の同年5月22日及び同月29日、自己の計算において、日本精密株式合計2000株を買付価額合計55万7000円で買い付けたものである。

    違反行為事実の概要については、別図のとおり。

    課徴金納付命令対象者(2)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。

    (3)課徴金納付命令対象者(3)について

    課徴金納付命令対象者(3)は、日本精密との間で、契約締結の交渉を行っていた課徴金納付命令対象者(1)から、同人がその契約締結の交渉に関し知った、日本精密の業務執行を決定する機関が、同社の発行する株式を引き受ける者の募集及び募集新株予約権を引き受ける者の募集を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、上記重要事実の公表がされた平成27年7月17日より前の同年5月28日から同年6月19日にかけて、自己の計算において、日本精密株式合計1万4000株を買付価額合計405万4000円で買い付けたものである。

    違反行為事実の概要については、別図のとおり。

    課徴金納付命令対象者(3)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。

  • 3.課徴金の額の計算

    上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、下記のとおりである。

    課徴金納付命令対象者(1)138万円

    課徴金納付命令対象者(2)14万円

    課徴金納付命令対象者(3)84万円

    計算方法の詳細については、別紙のとおり。

  • 4.その他

    本件については、日本取引所自主規制法人より提供された情報を参考として、実態解明を行ったものである。


(別図)

違反行為事実の概要について

違反行為事実の概要について
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(別紙)

課徴金の額の計算方法について

  • 1.課徴金納付命令対象者(1)

    (1)違反行為事実Aに係る課徴金の額

    ア.金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

    (350円×10,000株)-(251円×3,000株+277円×2,000株+313円×5,000株)

    =628,000円

    イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

    (2)違反行為事実Bに係る課徴金の額

    ア.金融商品取引法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。

    利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

    {(350円×2,000株)-(276円×1,000株+281円×1,000株)}×1/2

    =71,500円

    イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

    (3)違反行為事実Cに係る課徴金の額

    ア.金融商品取引法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。

    利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

    {(350円×14,000株)-(275円×1,000株+276円×4,000株+277円×4,000株

    +311円×3,000株+317円×2,000株)}×1/2

    =423,000円

    イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

    (4)違反行為事実Dに係る課徴金の額

    ア.金融商品取引法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。

    利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

    {(350円×8,000株)-(267円×3,000株+288円×5,000株)}×1/2

    =279,500円

    イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

    (5)上記(1)ないし(4)により算定した額の合計

    620,000円+70,000円+420,000円+270,000円=1,380,000円となる。

  • 2.課徴金納付命令対象者(2)

    (1)金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

    (350円×2,000株)-(276円×1,000株+281円×1,000株)

    = 143,000円

    (2)金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

  • 3.課徴金納付命令対象者(3)

    (1)金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

    (350円×14,000株)

    -(275円×1,000株+276円×4,000株+277円×4,000株+311円×3,000株

    +317円×2,000株)

    = 846,000円

    (2)金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

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