証券取引等監視委員会委員長からのメッセージ

長谷川委員長

このたび、証券取引等監視委員会委員長に就任いたしました。改めて、その責任の重さを痛感し、身が引き締まる思いでございます。

証券取引等監視委員会は、市場の公正性・透明性の確保や投資者の保護を図り、もって経済の健全な発展に寄与することを使命としており、来年には、平成4年の発足時から数えて25周年を迎えることとなります。

少子高齢化で様々な課題を抱えた日本の経済成長にとって、投資の活発化の阻害要因となり得る市場の不公正を排除・防止し、透明性を高めることは極めて重要であり、市場監視を行う証券取引等監視委員会の役割も変革・増大しているところであると認識しております。

また、近年は証券取引や金融商品等の多様化・複雑化・グローバル化が進み、我が国市場を巡る状況は大きく変化しております。具体的には、IT技術の発展に伴いアルゴリズム取引などの新しい手法が増加し、インサイダー取引に関する重要事実も多様化しているほか、上場企業の開示規制違反に関しては、日本を代表するグローバル企業で発覚した大規模な不適正会計事案や、グローバル化に対応した企業の海外子会社の管理態勢の不備等に起因する事例などもみられます。

このような状況に対応するため、マクロ経済情報の収集・分析を踏まえたフォワードルッキングな観点からの市場監視の強化、事案の多様化・複雑化・巧妙化に対応するための検査・調査手法の一層の向上、また、従来型の問題企業の摘発に加えて大規模上場会社における開示の適正性等の検証を実施していく必要があります。

金融商品取引業者等に対する検査においては、多様な業態、顧客及び複雑化・多様化する金融商品・取引それぞれの特性を踏まえ、リスク感度を一層高め、情報の収集・分析能力を強化することが課題と考えております。

加えて、クロスボーダー取引による違反行為に対しては、海外当局と連携して対応するとともに、内外プロ投資家による不公正取引にも引き続き厳正に対処していく必要があります。

証券取引等監視委員会としては、関係当局や自主規制機関等との連携を密にしつつ、より実効性のある効率的な市場監視を行い、公正・透明で信頼される市場の構築や投資者保護の確保に向け、国民の皆様の信頼に応えてまいる所存ですので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

平成28年12月 証券取引等監視委員会委員長 長谷川充弘

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