平成29年2月10日

証券取引等監視委員会

合同会社インフォシップに対する検査結果及び勧告について

  • 1.検査結果

    関東財務局長が合同会社インフォシップ(東京都中央区、法人番号 4010003016542、資本金29万5千円、常勤役職員1名、適格機関投資家等特例業務届出者。金融商品取引業の登録はない。以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該適格機関投資家等特例業務届出者に係る問題が認められた。

  • 2.事実関係

    当社は、複数の適格機関投資家等特例業務届出者(以下「届出業者」という。)により構成される「合同会社FCスキーム」と称する投資グループ(以下「合同会社FCスキーム」という。)に所属し、平成23年4月から平成24年6月までの間、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として、自らを業務執行組合員とするSBAインフォシップ投資事業組合(以下「SBAファンド」という。)、1・2セントラルシルバーインフォシップ投資事業組合(以下「1・2セントラルファンド」という。)、IOD投資事業組合(以下「IODファンド」という。)及びSCインフォシップMOON投資事業組合(以下「SCファンド」といい、SBAファンド、1・2セントラルファンド及びIODファンドと併せて「本件4ファンド」という。)の出資持分の取得勧誘を行っている(出資者:延べ120名、出資総額:約3.5億円)。

    合同会社FCスキームにおいては、各届出業者が、出資対象事業や契約内容等が共通する投資事業組合等(以下「ファンド」という。)をそれぞれ組成し、出資持分の取得勧誘を行っている。当社は、各届出業者が組成するファンドの出資対象事業や契約内容等を決定するなど、合同会社FCスキームにおいて中心的な役割を果たしている。

    今回検査において、当社の特例業務の運営状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

    • (1)無登録で第二種金融商品取引業を行っている状況

      • ア適格機関投資家からの出資が認められないファンドの私募

        当社は、本件4ファンドについて、シルバーステイ合同会社(以下「ステイ社」という。)が無限責任組合員を務めるインフォビークル投資事業有限責任組合(以下「インフォビークルLPS」という。)から、適格機関投資家として出資(以下「適格機関投資家出資」という。)を受けたとしている。

        今回検査において当該出資の状況等を検証したところ、1・2セントラルファンド、IODファンド及びSCファンドについては、インフォビークルLPSから出資額に相当する金銭(以下「出資相当額」という。)を受領していないことが認められた。

        また、SBAファンドについては、当社が、当該出資に先立ち、ステイ社と一体となって業務運営を行っているWolk Huren Japan株式会社に出資相当額を支払い、これを原資としてインフォビークルLPSによる出資が行われるなど、適格機関投資家出資がなされているかのような外観を仮装したものに過ぎないことが認められた(※)。

        したがって、本件4ファンドは適格機関投資家出資を受けたとは評価できず、平成27年法律第32号による改正前の金融商品取引法(以下「金商法」という。)第63条第1項第1号に規定する特例業務の要件を満たしていない。

      • イ他の届出業者が組成したファンドの私募の取扱い

        当社は、平成25年2月から平成26年12月までの間、合同会社FCスキームに所属する他の届出業者が組成した7ファンドの出資持分の取得勧誘を行った。

      上記ア及びイの当社の行為は、金商法第28条第2項に規定する「第二種金融商品取引業」に該当するものであり、当社が同法第29条に基づく登録を受けることなく当該行為を行うことは、同条に違反するものと認められる。

    • (2)投資者保護上問題のある業務運営

      当社が組成した本件4ファンドの出資金は、当社が出資金の管理・運用を委託する複数の海外法人(以下「運用委託先」という。)を経由して、各ファンドの募集目的に応じた事業に投資されるとしている。当社の本件4ファンドに係る業務運営の状況を検証したところ、以下の問題が認められた。

      • ア配当金から不当に報酬を控除している状況等

        当社は、IODファンドについて、運用委託先と協議し、出資者に支払うべき配当金の中から、組合契約に規定のない報酬を、当社代表を含む一部の関係者に支払うことで合意し、当該金額相当を控除した。

      • イ出資金が目的外の事業に投資されていることを報告していない状況等

        当社は、1・2セントラルファンド及びSCファンドについて、運用委託先における出資金の管理・運用状況をほとんど把握していなかった。このような中、上記の2ファンドについて、運用委託先において出資金が出資対象事業に充てられず、目的外の事業に投資されている状況が認められた。

        当社は、運用委託先からの報告を受けて上記の状況を認識した後も、これを是正するための特段の措置を講じることなく黙認したほか、当該状況について、出資者への報告を行わなかった。

      • ウ虚偽の説明による勧誘行為

        当社は、IODファンドの出資持分の取得勧誘を行う際、上記アの状況を説明することなく、組合契約に規定された報酬等のみが配当原資から控除される旨の虚偽の説明を行った。

        当社は、上記イの状況を認識した後も、1・2セントラルファンド及びSCファンドの出資持分の取得勧誘を行う際、出資金は出資対象事業に充てられる旨の虚偽の説明を行った。

      当社が行った上記アからウの行為は、投資者保護上問題がある。

      また、当社は、平成27年法律第32号による改正後の金融商品取引法の施行日(平成28年3月1日)以降においても、出資金が目的外の事業に投資されている状況等について出資者への報告を一切行っていないなど、著しく不適切な業務運営を継続している。

      以上のことから、当社の業務運営は、金融商品取引法第63条の5第1項に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

  • 3.勧告の内容

    上記事実関係のうち、(2)の投資者保護上問題のある業務運営については、平成27年法律第32号による改正後の金融商品取引法の施行日(平成28年3月1日)以降も継続していることから、当該事実について、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

参考資料(PDF:313.5KB)


(参考条文)

○金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(登録)

第二十九条金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。

(適格機関投資家等特例業務)

第六十三条次の各号に掲げる行為については、第二十九条及び第三十三条の二の規定は、適用しない。

一適格機関投資家等(適格機関投資家以外の者で政令で定めるもの(その数が政令で定める数以下の場合に限る。)及び適格機関投資家をいう。以下この条において同じ。)で次のいずれにも該当しない者を相手方として行う第二条第二項第五号又は第六号に掲げる権利に係る私募(適格機関投資家等(次のいずれにも該当しないものに限る。)以外の者が当該権利を取得するおそれが少ないものとして政令で定めるものに限る。)

イ~ハ(略)

(以下、略)

(特例業務届出者に対する監督上の処分等)

第六十三条の五内閣総理大臣は、特例業務届出者の業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該特例業務届出者に対し、業務の運営の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

(以下、略)

(注)第六十三条の条文は、平成28年3月1日に施行された平成27年法律第32号による改正前のものである。

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