INコンサルティング株式会社に対する検査結果及び勧告について
1.検査結果
関東財務局長がINコンサルティング株式会社(東京都中央区、法人番号 7010001121341、資本金1000万円、常勤役職員3名、適格機関投資家等特例業務届出者。金融商品取引業の登録はない。以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該適格機関投資家等特例業務届出者に係る問題が認められた。
2.事実関係
当社は、適格機関投資家等特例業務(以下「特例業務」という。)として、自らを業務執行組合員とする計22本の任意組合(以下「ファンド」という。)の出資金の運用を行っている(出資者:延べ969名、出資総額:約29億9000万円)。
今回検査において、当社の特例業務の運営状況を検証したところ、以下の問題が認められた。
(1)ファンドの運用財産と自己の固有財産の分別管理を行っていない状況
当社は、ファンドの運用財産の一部を代表取締役の自宅で現金保管し、当社の固有財産と分別して管理していない。
また、当社は、上記ファンドの運用財産の一部を渾然一体として管理し、ファンドごとの運用財産の額を正確に把握していない。
当社が行った上記の行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第63条第11項により当社を金融商品取引業者とみなして適用される金商法第42条の4に規定する顧客財産の分別管理義務に違反するものと認められる。
(2)ファンドの運用財産を流用している状況
当社は、ファンドの運用財産の一部を、当社の事務所家賃や従業員給与等の経費に流用した。
当社が行った上記の行為は、金商法第63条第11項により当社を金融商品取引業者とみなして適用される金商法第42条第1項に規定する忠実義務に違反するものと認められる。
(3)投資者保護上問題のある業務運営
当社は、マーベリック株式会社(以下「マーベリック社」という。)により設立され、当社が運営するファンドの出資金を、マーベリック社から譲渡を受けた未公開株式により運用している。
マーベリック社は、金商法の施行前より、自らを業務執行組合員とするファンドの運営を行っており、自社が取得した未公開株式を当該ファンドに譲渡する方法により、当該ファンドの出資金から利益を得ていた。
マーベリック社は、金商法施行後も上記のようなファンド運営の手法を継続する目的で、未公開株式を取得させるファンドを組成するために当社を設立し、当社が組成したファンドの出資持分の取得勧誘を行うなど、当社のファンド運営に関与している。(※)
今回検査において当社のファンドの運営状況を検証したところ、当社は、マーベリック社から未公開株式を取得する際、同社より提示された価格の算定根拠等を何ら確認・検討することなく、結果として、マーベリック社の取得価格の約2から3倍の価格で未公開株式を譲り受けており、ファンドの出資金から、マーベリック社が多額の利益を得ている状況が認められた。
なお、投資先の破綻等によりファンドの出資金の大部分は毀損した状況となっている。
当社の上記の行為は、投資者保護上問題があるものと認められる。
3.勧告の内容
上記事実関係のうち、(1)ファンドの運用財産と自己の固有財産の分別管理を行っていない状況及び(2)ファンドの運用財産を流用している状況については、平成27年法律第32号による改正後の金商法の施行日(平成28年3月1日)以降の行為であることから、当該事実について、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
○ 金融商品取引業等に関する内閣府令 (平成19年内閣府令第52号)(抄)