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平成29年3月31日
証券取引等監視委員会

株式会社フュートレック役員からの情報受領者3名による内部者取引違反行為及び同社役員2名による重要事実に係る伝達違反行為に対する課徴金納付命令の勧告について

1.勧告の内容

証券取引等監視委員会は、株式会社フュートレック役員からの情報受領者3名による内部者取引及び同社役員2名による重要事実に係る伝達について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

 

2.法令違反の事実関係

(1)課徴金納付命令対象者(1)について

ア.違反行為事実A

課徴金納付命令対象者(1)は、株式会社フュートレック(以下「フュートレック」という。)の役員である課徴金納付命令対象者(2)から、同人がその職務に関し知った、フュートレックの業務執行を決定する機関が、同社と株式会社NTTドコモ及びSYSTRAN INTERNATIONAL CO., LTDと業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、上記重要事実の公表がされた平成26年9月29日午後3時頃より前の同年7月14日から同年9月29日午後2時29分頃までの間、自己の計算において、フュートレック株式合計1万6700株を買付価額合計939万2300円で買い付けたものである。

 

イ.違反行為事実B

課徴金納付命令対象者(1)は、フュートレックの役員に就任後、同人がその職務に関し知った、同社の属する企業集団の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度(平成28年3月期)の売上高、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益(以下「当期純利益」という。)の予想値について、平成27年5月8日に公表された直近の予想値(売上高34億3000万円、経常利益マイナス1億4000万円、当期純利益マイナス1億6000万円)に比較して、同社が新たに算出した予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実を、課徴金納付命令対象者(3)に対し、同社において新たに算出した平成28年3月期の予想値(売上高38億4000万円、経常利益4億1000万円、当期純利益3億円)の公表がされる前にフュートレック株式の買付けをさせることにより課徴金納付命令対象者(3)に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。
 課徴金納付命令対象者(3)は、上記重要事実の公表がされた平成28年2月1日午後3時30分頃より前の同日午前9時8分頃から午後2時31分頃までの間、自己の計算において、フュートレック株式合計1500株を買付価額合計74万8600円で買い付けたものである。

 

 ウ.違反行為事実C

課徴金納付命令対象者(1)は、上記イ.の重要事実を、課徴金納付命令対象者(4)対し、上記重要事実の公表がされる前にフュートレック株式の買付けをさせることにより課徴金納付命令対象者(4)に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。
 課徴金納付命令対象者(4)は、上記重要事実の公表がされた平成28年2月1日午後3時30分頃より前の同日午後0時30分頃、自己の計算において、フュートレック株式合計2000株を買付価額合計100万6000円で買い付けたものである。
 

違反行為事実の概要については、別図のとおり。
 

課徴金納付命令対象者(1)が行った
 上記ア.の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に、
 上記イ.及びウ.の行為は、金融商品取引法第175条の2第1項に規定する「第167条の2第1項の規定に違反して、同項の伝達をし、又は同項の売買等をすることを勧める」行為に該当すると認められる。

 

(2)課徴金納付命令対象者(2)について

課徴金納付命令対象者(2)は、フュートレックの役員であるが、同人がその職務に関し知った、フュートレックの業務執行を決定する機関が、同社と株式会社NTTドコモ及びSYSTRAN INTERNATIONAL CO., LTDと業務上の提携を行うことについての決定をした旨の重要事実を、課徴金納付命令対象者(1)に対し、上記重要事実の公表がされる前にフュートレック株式の買付けをさせることにより課徴金納付命令対象者(1)に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。
 課徴金納付命令対象者(1)は、上記重要事実の公表がされた平成26年9月29日午後3時頃より前の同年7月14日から同年9月29日午後2時29分頃までの間、自己の計算において、フュートレック株式合計1万6700株を買付価額合計939万2300円で買い付けたものである。
 

 違反行為事実の概要については、別図のとおり。
 

 課徴金納付命令対象者(2)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条の2第1項に規定する「第167条の2第1項の規定に違反して、同項の伝達をし、又は同項の売買等をすることを勧める」行為に該当すると認められる。

 

(3)課徴金納付命令対象者(3)について

課徴金納付命令対象者(3)は、フュートレックの役員である課徴金納付命令対象者(1)から、同人がその職務に関し知った、同社の属する企業集団の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度(平成28年3月期)の売上高、経常利益及び当期純利益の予想値について、平成27年5月8日に公表された直近の予想値(売上高34億3000万円、経常利益マイナス1億4000万円、当期純利益マイナス1億6000万円)に比較して、同社が新たに算出した予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実の伝達を受けながら、同社において新たに算出した平成28年3月期の予想値(売上高38億4000万円、経常利益4億1000万円、当期純利益3億円)の公表がされた平成28年2月1日午後3時30分頃より前の同日午前9時8分頃から午後2時31分頃までの間、自己の計算において、フュートレック株式合計1500株を買付価額合計74万8600円で買い付けたものである。
 

 違反行為事実の概要については、別図のとおり。
 

 課徴金納付命令対象者(3)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。

 

(4)課徴金納付命令対象者(4)について

課徴金納付命令対象者(4)は、フュートレックの役員である課徴金納付命令対象者(1)から、同人がその職務に関し知った、同社の属する企業集団の平成27年4月1日から平成28年3月31日までの事業年度(平成28年3月期)の売上高、経常利益及び当期純利益の予想値について、平成27年5月8日に公表がされた直近の予想値(売上高34億3000万円、経常利益マイナス1億4000万円、当期純利益マイナス1億6000万円)に比較して、同社が新たに算出した予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実の伝達を受けながら、同社において新たに算出した平成28年3月期の予想値(売上高38億4000万円、経常利益4億1000万円、当期純利益3億円)の公表がされた平成28年2月1日午後3時30分頃より前の同日午後0時30分頃、自己の計算において、フュートレック株式合計2000株を買付価額合計100万6000円で買い付けたものである。
 

違反行為事実の概要については、別図のとおり。
 

課徴金納付命令対象者(4)が行った上記の行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。

 

3.課徴金の額の計算

上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、下記のとおりである。

課徴金納付命令対象者(1)547万円
課徴金納付命令対象者(2)247万円
課徴金納付命令対象者(3) 45万円
課徴金納付命令対象者(4) 60万円
 

計算方法の詳細については、別紙のとおり。


 (別図)

○違反行為事実の概要について

違反行為事実の概要について
(クリックすると拡大されます)

 


(別紙)

○課徴金の額の計算方法について
 

1.課徴金納付命令対象者(1)について

(1)違反行為事実Aに係る課徴金の額

ア.金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

  (859円×16,700株)
-(480円×500株+500円×800株+505円×300株+513円×300株
+518円×300株+525円×300株+528円×300株+530円×900株
+535円×100株+540円×300株+550円×300株+551円×200株
+555円×600株+556円×500株+560円×300株+562円×500株
+563円×400株+564円×300株+565円×300株+566円×1,000株
+567円×800株+570円×100株+572円×400株+575円×600株
+580円×300株+581円×1,000株+583円×500株+590円×1,500株
+595円×1,000株+600円×1,000株+605円×300株+608円×700株)
= 4,953,000円
 

 イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

 

(2)違反行為事実Bに係る課徴金の額

ア.金融商品取引法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。
 利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

{(804円×1,500株)-(495円×500株+497円×100株+499円×500株
+504円×100株+505円×300株)}×1/2
=228,700円
 

イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

 

(3)違反行為事実Cに係る課徴金の額

ア.金融商品取引法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。
 利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

{(804円×2,000株)-(503円×2,000株)}×1/2
=301,000円

 

イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

 

(4)上記(1)ないし(3)により算定した額の合計

4,950,000円+220,000円+300,000円=5,470,000円となる。

 

2.課徴金納付命令対象者(2)について

(1)金融商品取引法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。
 利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

{(859円×16,700株)
-(480円×500株+500円×800株+505円×300株+513円×300株
+518円×300株+525円×300株+528円×300株+530円×900株
+535円×100株+540円×300株+550円×300株+551円×200株
+555円×600株+556円×500株+560円×300株+562円×500株
+563円×400株+564円×300株+565円×300株+566円×1,000株
+567円×800株+570円×100株+572円×400株+575円×600株
+580円×300株+581円×1,000株+583円×500株+590円×1,500株
+595円×1,000株+600円×1,000株+605円×300株+608円×700株)}×1/2
=2,476,500円

 

(2)金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。
 

 3.課徴金納付命令対象者(3)について

(1)金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

(804円×1,500株)
-(495円×500株+497円×100株+499円×500株+504円×100株+505円×300株)
=457,400円
 

(2)金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。
 

 4.課徴金納付命令対象者(4)について

(1)金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

(804円×2,000株)-(503円×2,000株)
=602,000円
 

(2)金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記(1)で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

 

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