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平成29年6月6日
証券取引等監視委員会

株式会社FIPパートナーズに対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容

 関東財務局長が株式会社FIPパートナーズ(東京都中央区、法人番号3010001144949、資本金5000万円、常勤役職員27名、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係

 株式会社FIPパートナーズ(以下「当社」という。)は、平成25年4月以降、自らを営業者とする匿名組合(以下「ファンド」という。)の出資持分の取得勧誘を行い、出資金全額を大韓民国(以下「韓国」という。)に所在する金融業者(当社が議決権の40%を出資する会社。当該出資金のみを原資として貸付事業を行う。以下「甲社」という。)に対して貸し付けている。なお、検査基準日(平成28年11月18日)現在、償還期限が到来していないファンドは、9本、出資総額は約10億2000万円である。
 今回検査において、当社の業務運営の状況を検証したところ、下記(1)及び(2)のとおり、出資金の回収可能性等を的確に把握する態勢を構築しないまま、ファンドの出資持分の取得勧誘を継続している状況が認められた。

(1)出資金の回収可能性について把握・対応していない状況
ア 甲社の貸付事業について
 当社は、毎営業日、甲社から銀行預金の入出金データの提出を受けて、甲社の貸付事業の実態を把握することとしているが、甲社の利息受領額及び貸付額を確認するにとどまり、貸付金の使途や利息の原資等について精査をしていない。そのため、甲社が韓国に所在する貸付先(以下「韓国貸付先」という。)に対して、追加で貸付けを行った日と同日に、複数の韓国貸付先から追加貸付金額とおおむね同額の利息(総額)を受領している状況が繰り返し生じており、追加貸付資金が利息の原資に充てられている可能性があることを見過ごしている。
イ 甲社が韓国貸付先から徴求した担保の実態について
 当社は、甲社が韓国貸付先から徴求している担保につき、定期的に保全状況を検証することとしているが、甲社から提出される報告資料において、3年以上にわたり、担保評価額が記載されていない状況が継続しているにもかかわらず、その理由を甲社に確認していない。
 また、今回検査において、主な担保物である動産担保の評価額等を検証したところ、当社は、甲社に対して、動産担保の鑑定評価に係る算出方法等の調査・確認を行っていないほか、甲社から当社に鑑定業者名を偽った鑑定書が提出されるなど、鑑定評価の内容に疑義が認められる状況を見過ごしている。
ウ 韓国貸付先の財務状況について
 甲社による貸付金の回収可能性を的確に把握するため、韓国貸付先の財務状況を把握しておくことが重要であるところ、当社は、遅くとも平成26年6月には、甲社が韓国貸付先の財務状況等について確認していないことを把握していたにもかかわらず、甲社が韓国貸付先から財務諸表等を入手していない状況を改善させていない。
 
(2)甲社に対する監査が不十分な状況
 当社は、甲社との契約において、甲社の全ての業務に係る財務内容等の監査を行うことができるとしているものの、当該監査においては、甲社の貸付事業の実態等に対する検証を行っていないため、甲社と韓国貸付先との間で締結した貸付契約書や、甲社と韓国貸付先との資金授受の状況等に係る当社の確認は不十分なものとなっており、当社は、上記(1)で認められた甲社のずさんな業務運営の状況を見過ごしている。
 
 当社における上記の業務運営状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
 

(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(金融商品取引業者に対する業務改善命令)
第五十一条  内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 

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