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平成29年12月12日
証券取引等監視委員会

岩井コスモ証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容

 近畿財務局長が岩井コスモ証券株式会社(大阪市中央区、法人番号5120001077418、資本金135億円、常勤役職員884名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係

○ 公表前のアナリスト・レポートに記載される情報を用いて勧誘する行為及び当該情報の不適切な取扱い

 当社において、当社のアナリストが作成したアナリスト・レポートについて、下記(1)から(4)までの問題が認められた。
 
(1)一部の顧客に対して公表前のアナリスト・レポートに記載される情報を用いて勧誘する行為
  平成29年2月から同年3月までの間に当社が公表したアナリスト・レポートのうち、レーティング情報として新たに最高位のAランクを付与し、当社単独でカバレッジを開始した6銘柄について、勧誘等の状況を検証したところ、複数の営業員(少なくとも6部店、8営業員)が、一部顧客(延べ26名)に対して、アナリスト・レポート公表後には株価が上昇する可能性が高いと強調するなどして、公表前の同レポートに記載される銘柄のレーティングや目標株価等の情報を用いて株式の買付けを勧誘していた。
 
(2)アナリスト・レポートに記載される情報の取扱いが不適切な状況

   上記(1)の背景として、当社では、遅くとも平成18年10月から今回検査基準日(同29年4月3日)に至るまで長期間にわたり、アナリスト・レポートの公表前に、同レポートに記載される銘柄のレーティングや目標株価等の情報を社内放送や社内イントラネット等を通じて全営業員に伝達・周知し、営業員が顧客に当該情報を用いた勧誘を行うことを容認するなど、アナリスト・レポートに記載される情報の取扱いが極めて不適切なものとなっていた。

(3)内部管理態勢が不十分な状況

  アナリスト・レポートの管理の適切性等をチェックすべき関連部署は、上記(1)のような不適切な勧誘が容易に行われる状態であったにもかかわらず、上記(2)の状況について問題認識を有することなく長期間にわたって容認しており、内部管理態勢は著しく杜撰なものとなっていた。

(4)経営陣による不十分な態勢整備

  経営陣は、営業態勢については積極的に整備する一方、法令等遵守態勢や内部管理態勢については規制環境の変化や規制の趣旨を十分に踏まえた実効性のある態勢を整備してこなかった。

 当社における上記のような業務運営状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。


(参考条文)

○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)

(金融商品取引業者に対する業務改善命令)
第五十一条  内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 

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