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平成30年3月2日

証券取引等監視委員会

株式会社JG-company、株式会社Master及び株式会社S&F並びにその役員3名による金融商品取引法違反行為に係る裁判所への禁止及び停止命令発出の申立てについて

1.申立ての内容等

関東財務局が、株式会社JG-company(東京都新宿区、法人番号5011101059597、資本金900万円)、株式会社Master(東京都文京区、法人番号2010901028483、資本金300万円)及び株式会社S&F(東京都新宿区、法人番号3011101072651、資本金500万円)(上記3社はいずれも金融商品取引業の登録等はない。以下、上記3社を併せて「JG社外2社」という。)に対して金融商品取引法(以下「金商法」という。)第187条第1項に基づく調査を行った結果、下記2.の事実が認められたことから、本日、証券取引等監視委員会は、金商法第192条第1項に基づき、東京地方裁判所に対し、JG社外2社並びにそれぞれの代表取締役であるA、B及びC(以下「JG社外2社ら」という。)を被申立人として、金商法違反行為(無登録で、投資助言業務及び第一種金融商品取引業(金商法第2条第22項第1号に掲げる取引の媒介)を行うこと)の禁止及び停止を命ずるよう申立てを行った。

2.事実関係

(1)無登録での投資助言業務について

① JG社外2社らは、その従業員を代表者として設立した複数の実体のない会社の名義で、投資助言に関するウェブサイトを多数開設(注1)し、ウェブサイト上で無料の会員登録を行った一般投資家に対して、電話や電子メールで、投資顧問契約(一契約あたり数万円~数百万円の投資顧問料を支払うことによって、数か月~数年程度、株価の上昇が見込まれる国内株式の銘柄の情報の提供を受けることができる契約)の締結を勧誘している。
 そして、JG社外2社らは、投資顧問契約を締結した一般投資家に対して、同契約に基づき、今後株価の上昇が見込まれる国内株式の銘柄の情報を提供して買い推奨を行っている。
 
(注1) 会社名及びウェブサイト名については、別添資料「JG社外2社らが、投資助言業務のために開設したウェブサイト等一覧」参照。
 
② JG社外2社らは、平成25年5月頃から上記投資助言業務を続けており、これまでに、少なくとも延べ約3,700人の顧客から、約37億5,000万円の投資顧問料を得ている。
 
③ JG社外2社らは、投資顧問契約の勧誘にあたり、以下のような手法を用いている。
 
ア JG社外2社の従業員が、「実績のある投資家」を装って顧客に面会し、虚偽ないし誇張した自らの投資経験等を顧客に説明した上、その「実績のある投資家」が所属する会社から投資助言を受けることができるなどとして、投資顧問契約の締結を勧誘する手法
 
イ 多数の顧客に対して同時に同一銘柄の株式の買い推奨を行うことで、その株価を急騰させ、それをあたかも自らが特別な投資情報を有していることの証拠であるかのように振る舞って、投資顧問契約の締結を勧誘する手法
 
 JG社外2社らが行った上記の行為は、金商法第28条第3項に規定する「投資助言・代理業」に該当するから、JG社外2社らが同法第29条に基づく登録を受けることなく上記の行為を行うことは、同条に違反するものと認められる。
 
(注2) JG社外2社らは、上記のとおり、複数の実体のない会社の名義を用いて無登録で投資助言業務を行っており、その一部の会社に対しては、関東財務局や福岡財務支局から無登録での投資助言業務を止めるように警告書が発出されているが、その都度、警告を受けたウェブサイトを閉鎖するなどし、投資助言業務を止めたと装う一方、新たな会社を設立したり、新たなウェブサイトを開設したりするなどして、無登録での投資助言業務を継続している。
 

(2)無登録での第一種金融商品取引業(金商法第2条第22項第1号に掲げる取引の媒介)について

① JG社外2社らは、その従業員を代表者として設立した実体のない会社(株式会社Installation又は株式会社トランジット)の名義により、外国為替証拠金取引(以下「FX取引」という。)の自動売買ソフトを販売しているところ、その購入者に対して、海外のFX取引業者として「FXNoah証券」を紹介し、同社との取引資金を預かるとして上記実体のない会社名義の口座に送金させている。
 しかし、実際には、「FXNoah証券」は実在する法人ではなく、全く名称の異なる海外のFX取引業者に顧客から預かった金銭を送金してFX取引を行わせており、JG社外2社らは、顧客が行うFX取引の量に応じて、当該業者から手数料を得ている。
 
②  JG社外2社らは、平成28年3月頃から上記FX取引の媒介業務を続けており、平成30年2月時点で、少なくとも延べ約1,100人の顧客について海外のFX取引業者とのFX取引を媒介し、当該業者から約3,200万円の手数料を得ている。
 
 JG社外2社らが行った上記の行為は、金商法第2条第22項第1号に規定する店頭デリバティブ取引の媒介に該当し、同法第28条第1項第2号に規定する「第一種金融商品取引業」に該当するから、JG社外2社らが同法第29条に基づく登録を受けることなく上記の行為を行うことは、同条に違反するものと認められる。
 

(注3) JG社外2社らは、上記のとおり、無登録で第一種金融商品取引業(金商法第2条第22項第1号に掲げる取引の媒介)を行っており、「FXNoah」のウェブサイトの運営主体とされている海外法人に対しては、関東財務局から警告メールが発出されているが、「FXNoah」のウェブサイトを一旦閉鎖した後、再び開設するなどして、無登録での第一種金融商品取引業を継続している。

以上によれば、JG社外2社らは金商法違反行為を今後も行う蓋然性が高く、JG社外2社らが行っている行為を可及的速やかに禁止・停止させる必要がある。

参考資料(PDF:269KB)


金融商品取引法違反行為に係る裁判所への申立て
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参考条文

○第一種金融商品取引業及び投資助言業

金融商品取引法(抄)

(定義)
第二条 (略)
2~7 (略)
8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(略)のいずれかを業として行うことをいう。
一~三 (略)
四 店頭デリバティブ取引又はその媒介、取次ぎ(有価証券等清算取次ぎを除く。)若しくは代理(以下「店頭デリバティブ取引等」という。)
五~十 (略)
十一 当事者の一方が相手方に対して次に掲げるものに関し、口頭、文書(新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもので、不特定多数の者により随時に購入可能なものを除く。)その他の方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対し報酬を支払うことを約する契約(以下「投資顧問契約」という。)を締結し、当該投資顧問契約に基づき、助言を行うこと。
イ 有価証券の価値等(有価証券の価値、有価証券関連オプション(金融商品市場において金融商品市場を開設する者の定める基準及び方法に従い行う第二十八条第八項第三号ハに掲げる取引に係る権利、外国金融商品市場において行う取引であって同号ハに掲げる取引と類似の取引に係る権利又は金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う同項第四号ハ若しくはニに掲げる取引に係る権利をいう。)の対価の額又は有価証券指標(有価証券の価格若しくは利率その他これに準ずるものとして内閣府令で定めるもの又はこれらに基づいて算出した数値をいう。)の動向をいう。)
ロ (略)
十二~十八 (略)
9~21 (略)
22 この法律において「店頭デリバティブ取引」とは、金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う次に掲げる取引(略)をいう。
一 売買の当事者が将来の一定の時期において金融商品(略)及びその対価の授受を約する売買であつて、当該売買の目的となつている金融商品の売戻し又は買戻しその他政令で定める行為をしたときは差金の授受によつて決済することができる取引
二~七 (略)
23~40 (略)
 
第二十八条 この章において「第一種金融商品取引業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。
一 ・一の二 (略)
二 第二条第八項第四号に掲げる行為又は店頭デリバティブ取引についての同項第五号に掲げる行為
三~五 (略)
2 (略)
3 この章において「投資助言・代理業」とは、金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう。
一 第二条第八項第十一号に掲げる行為
二 第二条第八項第十三号に掲げる行為
4・5 (略)
6 この章において「投資助言業務」とは、投資助言・代理業に係る業務のうち、第三項第一号に掲げる行為に係る業務をいう。
7・8 (略)
 
(登録)
第二十九条 金融商品取引業は、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ、行うことができない。
 

○緊急差止命令に係る申立て

金融商品取引法(抄)

(審問等に関する調査のための処分)
第百八十七条 内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣は、この法律の規定による審問、この法律の規定による処分に係る聴聞又は第百九十二条の規定による申立てについて、必要な調査をするため、当該職員に、次に掲げる処分をさせることができる。
一 関係人若しくは参考人に出頭を命じて意見を聴取し、又はこれらの者から意見書若しくは報告書を提出させること。
二 鑑定人に出頭を命じて鑑定させること。
三 関係人に対し帳簿書類その他の物件の提出を命じ、又は提出物件を留めて置くこと。
四 関係人の業務若しくは財産の状況又は帳簿書類その他の物件を検査すること。

2 (略)

(裁判所の禁止又は停止命令)
第百九十二条 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、内閣総理大臣又は内閣総理大臣及び財務大臣の申立てにより、当該各号に定める行為を行い、又は行おうとする者に対し、その行為の禁止又は停止を命ずることができる。
一 緊急の必要があり、かつ、公益及び投資者保護のため必要かつ適当であるとき この法律又はこの法律に基づく命令に違反する行為
二 第二条第二項第五号若しくは第六号に掲げる権利又は同項第七号に掲げる権利(同項第五号又は第六号に掲げる権利と同様の経済的性質を有するものとして政令で定める権利に限る。)に関し出資され、又は拠出された金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行われる事業に係る業務執行が著しく適正を欠き、かつ、現に投資者の利益が著しく害されており、又は害されることが明白である場合において、投資者の損害の拡大を防止する緊急の必要があるとき これらの権利に係る同条第八項第七号から第九号までに掲げる行為
2~4 (略)
 
第百九十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一~七 (略)
八 第百九十二条第一項又は第二項の規定による裁判所の命令に違反した者
 
第二百七条 法人(中略)の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。
一・二 (略)
三 第百九十八条(略)又は第百九十八条の三から第百九十八条の五まで三億円以下の罰金刑
四~六 (略)
2・3 (略)

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