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平成30年3月16日
証券取引等監視委員会

株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン役員から情報を受領した者による内部者取引及び当該役員による重要事実に係る伝達違反行為に対する課徴金納付命令の勧告について

1.勧告の内容

証券取引等監視委員会は、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン役員から情報を受領した者による内部者取引及び当該役員による重要事実に係る伝達違反行為について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

2.法令違反の事実関係
(1)課徴金納付命令対象者(1)について 
 課徴金納付命令対象者(1)は、株式会社エスクロー・エージェント・ジャパン(以下「エスクローAJ」という。)の役員であった課徴金納付命令対象者(2)から、同人がその職務に関し知った、
ア.違反行為事実A
 同社の業務執行を決定する機関が株式の分割を行うことについての決定をした旨の重要事実の伝達を受けながら、上記事実の公表がされた平成27年7月14日午後3時頃より前の同日午後2時27分頃、自己の計算において、エスクローAJ株式100株を買付価額81万2000円で買い付け  
イ.違反行為事実B
 ①同社の属する企業集団の平成28年3月1日から平成29年2月28日までの事業年度(以下「平成29年2月期」という。)の売上高について、平成28年6月17日に公表がされた、直近の予想値(売上高23億4200万円)に比較して、同社が新たに算出した予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実、②同社の平成29年2月期の剰余金の配当について、平成28年4月8日に公表がされた前事業年度の実績値(剰余金の配当10円)に比較して、同社が新たに算出した平成29年2月期の予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実の伝達を受けながら、同社において新たに算出した平成29年2月期の予想値(売上高25億7700万円、剰余金の配当15円)の公表がされた平成28年12月14日午後0時30分頃より前の同日午前9時19分頃から午前11時10分頃までの間、自己の計算において、エスクローAJ株式合計2200株を買付価額合計299万400円で買い付け  
たものである。

 違反行為事実の概要については、別図のとおり。

 課徴金納付命令対象者(1)が行った上記の各行為は、金融商品取引法第175条第1項に規定する「第166条第1項又は第3項の規定に違反して、同条第1項に規定する売買等をした」行為に該当すると認められる。  
 
(2)課徴金命令対象者(2)について 
 課徴金納付命令対象者(2)は、エスクローAJの役員であったが、同人がその職務に関し知った、
 ア.違反行為事実C
 同社の業務執行を決定する機関が株式の分割を行うことについての決定をした旨の重要事実を、課徴金納付命令対象者(1)に対し、上記事実の公表がされる前にエスクローAJ株式の買付けをさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。
 課徴金納付命令対象者(1)は、上記重要事実が公表された平成27年7月14日午後3時頃より前の同日午後2時27分頃、自己の計算において、エスクローAJ株式100株を買付価額81万2000円で買い付けたものである。  
 イ.違反行為事実D
 ①同社の属する企業集団の平成29年2月期の売上高について、平成28年6月17日に公表がされた直近の予想値(売上高23億4200万円)に比較して、同社が新たに算出した予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実、②同社の平成29年2月期の剰余金の配当について、平成28年4月8日に公表がされた前事業年度の実績値(剰余金の配当10円)に比較して、同社が新たに算出した平成29年2月期の予想値において、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとなる差異が生じた旨の重要事実を、課徴金納付命令対象者(1)に対し、同社において新たに算出した平成29年2月期の予想値(売上高25億7700万円、剰余金の配当15円)の公表がされる前にエスクローAJ株式の買付けをさせることにより同人に利益を得させる目的をもって、伝達したものである。
 課徴金納付命令対象者(1)は、上記重要事実の公表がされた平成28年12月14日午後0時30分頃より前の同日午前9時19分頃から午前11時10分頃までの間、自己の計算において、エスクローAJ株式合計2200株を買付価額合計299万400円で買い付けたものである。  

 違反行為事実の概要については、別図のとおり。

 課徴金納付命令対象者(2)が行った上記の各行為は、金融商品取引法第175条の2第1項に規定する「第167条の2第1項の規定に違反して、同項の伝達をし、又は同項の売買等をすることを勧める」行為に該当すると認められる。  
 
3.課徴金の額の計算
 上記の違法行為に対し、金融商品取引法に基づき納付を命じられる課徴金の額は、下記のとおりである。
 課徴金納付命令対象者(1)119万円
 課徴金納付命令対象者(2)59万円
 計算方法の詳細については、別紙のとおり。

4.その他
 本件については、日本取引所自主規制法人より提供された情報も参考として、実態解明を行ったものである。
 
 (別図)

○違反行為事実の概要について

違反行為事実の概要について
(クリックすると拡大されます)

 


 (別紙)

○課徴金の額の計算方法について

1. 課徴金納付命令対象者(1)について
(1)違反行為事実Aに係る課徴金の額

 ア.金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格(15,200円)に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

(15,200円×100株)-(8,120円×100株)
=708,000円
 

 イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

(2)違反行為事実Bに係る課徴金の額

 ア.金融商品取引法第175条第1項第2号の規定により、当該有価証券の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格(1,585円)に当該有価証券の買付けの数量を乗じて得た額から当該有価証券の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

(1,585円×2,200株)
-(1,345円×100株+1,348円×200株+1,353円×300株+1,355円×200株
+ 1,363円×200株+1,364円×1,200株)
=496,600円
 

 イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

(3)上記(1)ないし(2)により算定した額の合計
  700,000円+490,000円=1,190,000円となる。

2. 課徴金納付命令対象者(2)について
(1)違反行為事実Cに係る課徴金の額

 ア.金融商品取引法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。
 利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格(15,200円)に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

{(15,200円×100株)-(8,120円×100株)}×1/2
=354,000円
 

 イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

(2)違反行為事実Dに係る課徴金の額

 ア.金融商品取引法第175条の2第1項第3号の規定により、当該違反行為により当該情報受領者等が行った当該買付けによって得た利得相当額に2分の1を乗じて得た額。
 利得相当額とは、同条第3項第2号の規定により、情報受領者等が特定有価証券等の買付けをした場合、当該特定有価証券等の買付けについて業務等に関する重要事実の公表がされた後2週間における最も高い価格(1,585円)に当該特定有価証券等の買付けの数量を乗じて得た額から当該特定有価証券等の買付けをした価格にその数量を乗じて得た額を控除した額。

{(1,585円×2,200株)
-(1,345円×100株+1,348円×200株+1,353円×300株+1,355円×200株
+ 1,363円×200株+1,364円×1,200株)}×1/2
=248,300円
 

 イ.金融商品取引法第176条第2項の規定により、上記ア.で計算した額の1万円未満の端数を切捨て。

(3)上記(1)ないし(2)により算定した額の合計
  350,000円+240,000円=590,000円となる。

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