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平成31年3月12日
証券取引等監視委員会

FIP投資顧問株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容
  関東財務局長がFIP投資顧問株式会社(東京都中央区、法人番号3010001127433、代表取締役A、資本金2000万円、常勤役職員5名、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
 
2.事実関係
 (1) 金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
 FIP投資顧問株式会社(以下「当社」という。)は、無料のメールマガジンの配信を申し込んだ者約2万名に対し、平成30年9月から同年11月までの間、買い推奨の実績のある銘柄に関し、投資助言後の一部期間における株価上昇率を取り出し、これをあたかも助言後、短期間で急騰したかのような表示等を行って、投資顧問契約の締結の勧誘を行った。
 
   このように、当社は、投資顧問契約の締結の勧誘に関して、投資助言の実績という重要な事項に関し、誤解を生ぜしめるべき表示により勧誘を行っていたものと認められる。
 
   当社の上記行為は、金融商品取引法第38条第9号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。
 
   このような法令違反行為が行われた背景として、A代表取締役やB管理本部責任者(平成28年9月1日から同30年7月1日まで当社代表取締役、同日から同31年2月22日まで当社取締役を兼務。以下「B前代表」という。)の営業推進を最優先し、法令等遵守意識が欠如していることにあるものと認められる。
 
 (2) 前代表による会社資産の私的費消等について
 当社のB前代表は、平成28年9月の代表取締役就任時から、経理業務全般も兼任し、当社の預金管理、支払業務全般、決算書類の作成等の業務を一人で行っていた。
 このような状況下、B前代表は、代表取締役に就任以降、当社の預金口座から毎月多額の出金をし、これを私的な遊興費等に費消しており、その額は少なくとも3400万円にのぼっている。
 また、当社は、B前代表が私的に費消した現金について、その事実を隠蔽した虚偽の決算書類を作成し、当該決算書類を含む事業報告書を関東財務局長に提出した。
 
 上記のとおり、当社では、役職員による不正行為を未然に防止するための業務運営態勢が構築されていないため、代表取締役等の地位にある者が、今回検査において発覚するまでの2年3ケ月間にわたって会社資産を費消していた。その結果、当社の財務に多大な影響を及ぼす状況となっており、ひいては、安定的な業務運営を困難ならしめ、投資顧問契約を締結した顧客に影響を及ぼしかねない状況となっている。
 
 このような当社の業務運営の状況は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当すると認められる。
 また、虚偽の事業報告書を関東財務局長に提出した行為は、同法第47条の2に違反するものと認められる。
 
(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(禁止行為)
第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
一 ~ 八(略)
九 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為
 
(事業報告書の提出)
第四十七条の二 金融商品取引業者は、事業年度ごとに、内閣府令で定めるところにより、事業報告書を作成し、毎事業年度経過後三月以内に、これを内閣総理大臣に提出しなければならない。
 
(金融商品取引業者に対する業務改善命令)
第五十一条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者の業務の運営又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
 
○ 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)
(禁止行為)
第百十七条 法第三十八条第九号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。
一 (略)
二 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
(以下、略)

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