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平成31年4月19日
証券取引等監視委員会

シティグループ証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容
  証券取引等監視委員会がシティグループ証券株式会社(東京都千代田区、法人番号 7010001113388、代表取締役社長 リー・ロバート・ウェイト、資本金963億円、常勤役職員797名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
 
2.事実関係
  シティグループ証券株式会社(以下「当社」という。)における売買管理態勢等について検証した結果、以下の問題が認められた。
 
○ 市場デリバティブ取引に係る売買管理態勢に不備がある状況
 (1)取引システムに係る不備
 当社は、市場デリバティブ取引について、米国本社シティグループ・インクと外部ベンダーが共同開発した取引システムを使用しているところ、プログラム上の不備により、当該システムを利用した取引の一部(手動での一括取消注文、アルゴリズム取引における分割注文)について、取引データが売買審査システムへ送信されておらず、売買審査の対象となっていない状況が認められた。
 
 (2)売買審査システムに係る不備
 当社の使用する売買審査システムにおいて、見せ玉形態の取引に係る抽出閾値について、取引規模等を踏まえた合理的な閾値等について何ら検討が行われないまま、担当者が発注から注文取消しまでの時間を短い時間に設定変更しており、不適切に売買審査の対象を絞り込んでいる状況が認められた。
また、売買審査システムに係る設定上の不備により、休日前日の夜間取引が売買審査の対象となっていない状況が認められた。
 
 (3)売買管理態勢等に係る不備
 当社の売買審査において、不公正取引の疑いがあるとしてアラートが集中して発生しているトレーダーがいるにもかかわらず、当該トレーダーに対する取引意図の確認や取引内容の分析など、深度ある対応が行われていない状況が認められた。
 
  上記のような売買管理態勢の下、当社においては、平成31年3月26日に課徴金納付命令勧告を行ったシティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッドによる長期国債先物に係る相場操縦取引を受託・執行し、当該不公正取引を看過している状況が認められている。
 
  当社の上記の状況は、金融商品取引法第40条第2号の規定に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第123条第1項第12号に該当するものと認められる。
  
 
(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(適合性の原則等)
第四十条 金融商品取引業者等は、業務の運営の状況が次の各号のいずれかに該当することのないように、その業務を行わなければならない。
一 (略)
二 前号に掲げるもののほか、業務に関して取得した顧客に関する情報の適正な取扱いを確保するための措置を講じていないと認められる状況、その他業務の運営の状況が公益に反し、又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるものとして内閣府令で定める状況にあること。
 
○ 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)
(業務の運営の状況が公益に反し又は投資者の保護に支障を生ずるおそれがあるもの)
第百二十三条 法第四十条第二号に規定する内閣府令で定める状況は、次に掲げる状況とする。
一 ~ 十一 (略)
十二 取引所金融商品市場における上場金融商品等又は店頭売買有価証券市場における店頭売買有価証券の相場若しくは相場若しくは取引高に基づいて算出した数値を変動させ、若しくはくぎ付けし、固定し、若しくは安定させ、又は取引高を増加させることにより実勢を反映しない作為的なものを形成させるべき当該上場金融商品等若しくは当該店頭売買有価証券に係る買付け若しくは売付け若しくはデリバティブ取引又はこれらの申込み若しくは委託等若しくは受託等をする行為を防止するための売買管理が十分でないと認められる状況
    (以下、略)

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