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令和元年8月2日
証券取引等監視委員会

東郷証券株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容
 関東財務局長が東郷証券株式会社(東京都港区、法人番号3011101037679、代表取締役社長 宇佐美 麻己(うさみ まき)、資本金4億1,000万円、常勤役職員294名、第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業、以下「当社」という。)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
 
2.事実関係
○ 顧客に対し損失を補塡する行為
 当社の取締役であって、その実質的経営者として業務全般を統括するとともに、商品デリバティブ取引等を目的とする株式会社さくらインベスト(大阪府大阪市、法人番号4130001048955)の実質的経営者としてその業務全般を統括していた林泰宏、当社の代表取締役管理本部長として顧客からの苦情の処理等の業務を統括していた野水裕資、当社の顧問として当社の経理業務を担当していた上村昌也らは、平成28年7月下旬から平成31年1月下旬までの間、顧客8名に対して、取引所為替証拠金取引について生じた損失の一部を補塡するため、合計約6,970万円相当の利益を自ら又は第三者をして提供した。
 
(事例1)
 平成28年7月下旬から平成30年12月中旬までの間、当社で取引所為替証拠金取引を行っていた顧客4名に対し、株式会社さくらインベストをして、同顧客らの注文に係る商品差金決済取引を行ったかのように仮装するなどの方法により、合計約760万円相当の利益を自ら又は同社をして提供した。
 
(事例2)
 平成29年10月中旬頃から平成31年1月下旬までの間、当社で取引所為替証拠金取引を行っていた顧客4名との間で、現金による損失補塡の契約をした上、その契約に基づき、各顧客らに合計約6,210万円の現金を提供した。
 
 上記の行為は、経営の中枢を担う当社取締役、代表取締役管理本部長らが共謀して、組織的な指示・判断のもと、長期間にわたって、多数の顧客に対し、損失補塡を実行したもので極めて悪質であり、その背景として、法令遵守を徹底すべき経営陣自らにその意識が欠如している状況のほか、代表取締役社長を含む上記以外の経営陣も、その責務を果たさず、上記の行為を漫然と見過ごすなど、当社において、重大かつ明白な法令違反行為を防止したり、発見し、是正を図る内部管理態勢や、会社の業務を適正に執行するための経営管理態勢が欠如している状況が認められた。
 
 上記事例1の行為は、金融商品取引法第39条第1項第3号に、上記事例2の行為は同項第2号及び第3号に該当するものと認められる。
 
 (上記代表取締役社長等については、検査基準日(平成30年8月22日)時点のものを記載。令和元年6月28日、宇佐美麻己氏は退任し、現代表取締役 吉本 俊二(よしもと しゅんじ)氏が就任。)
 
(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(損失補塡等の禁止)
第三十九条 金融商品取引業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
一(略)
ニ 有価証券売買取引等につき、自己又は第三者が当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため当該顧客又は第三者に財産上の利益を提供する旨を、当該顧客又はその指定した者に対し、申し込み、若しくは約束し、又は第三者に申し込ませ、若しくは約束させる行為
三 有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為
(以下、略)

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