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令和2年3月27日
証券取引等監視委員会

イーストスプリング・インベストメンツ株式会社に対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容
  証券取引等監視委員会がイーストスプリング・インベストメンツ株式会社(東京都千代田区、法人番号 2010001066780、代表取締役社長 関﨑  司、資本金6.49億円、常勤役職員46名、投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
 
2.事実関係
  イーストスプリング・インベストメンツ株式会社(以下「当社」という。)を検査した結果、以下の問題が認められた。
 
○ 投資信託の受益者のために忠実に投資運用業を行っていない状況
  当社は、当社が運用する投資信託の基準価額の計算や会計処理等の投信計理業務をA社に業務委託するとともに(平成23年から同27年にかけて行われていたもの。以下「当該業務委託契約」という。)、自らが運用する投資信託のグローバル・カストディアンとしての業務をA社のグループ会社であるB社に集約している。
 
  平成26年8月から9月にかけて、A社において複数の事務過誤(誤った投資信託の基準価額の情報媒体への配信等)が発生したことを踏まえ、当社は、当該業務委託契約を解約することとしたが、当社の都合により解約する場合、A社に対して解約金を支払う契約となっていた。当社は、平成27年の初めごろから、A社との間で、解約金を生じさせない解約合意に向け、交渉(以下「本件交渉」という。)を行っている。
  本件交渉において、当社は、A社から、B社がグローバル・カストディアンとなっている投資信託において、従前のカストディフィーにベースフィー(受託財産の規模や取引件数に関わらず固定額を賦課するもの。)を追加することによる値上げ(以下「当該値上げ」という。)を行うことを条件として提示された。
  これを受け、当社は、特定の投資信託(他の投資信託に取得させることを目的とする投資信託。以下「当該マザーファンド」という。)において当該値上げを行うこととし、平成27年2月、A社に対し、当該値上げを受け入れる旨及び当該マザーファンドの再信託受託会社である信託銀行(以下「受託銀行」という。)から当該値上げについて確認を求められた場合には同意する旨(注)を伝達している。
(注)当該マザーファンドにおけるグローバル・カストディアンとしての業務に係る契約当事者は、B社及び受託銀行であり、契約内容を変更する場合には、受託銀行は当社に確認を行うこととなっていた。
 
  その後、当社は、受託銀行から、当該値上げの可否について確認を受け、これを了承しており、その結果、平成27年3月1日から、当該マザーファンドにおいて、当該値上げが行われることとなった。
  なお、同時期に当社とA社との間で締結された、当該業務委託契約の解約に係る合意書において、今回の解約に伴う解約金は生じないこと等が定められており、解約金の発生は回避されている。
 
  上記のとおり、当社は、A社との本件交渉における条件に当該値上げを含めており、また、当該値上げの合理性について何ら確認することなく当該値上げを受け入れている。これにより、当該マザーファンドの費用が増加する結果となる中で、当社は、自らが運用する投資信託に当該マザーファンドを組み入れて運用を行っている。
 
  当社の上記行為は、投資信託の受益者のために忠実に投資運用業を行っていないものであり、金融商品取引法第42条第1項に違反するものと認められる。
 

参考資料(PDF:482KB)
 


(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(定義)
第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。
一~九 (略)
十 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)に規定する投資信託又は外国投資信託の受益証券
十一~二十一 (略)
2~7 (略)
8 この法律において「金融商品取引業」とは、次に掲げる行為(略)のいずれかを業として行うことをいう。
一~十三 (略)
十四 金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて有価証券又はデリバティブ取引に係る権利に対する投資として、第一項第十号に掲げる有価証券に表示される権利その他の政令で定める権利を有する者から拠出を受けた金銭その他の財産の運用を行うこと(第十二号に掲げる行為に該当するものを除く。)。
十五~十八 (略)
9~42 (略)

(権利者に対する義務)
第四十二条 金融商品取引業者等は、権利者(次の各号に掲げる業務の区分に応じ当該各号に定める者をいう。以下この款において同じ。)のため忠実に投資運用業を行わなければならない。
一 (略)
二 第二条第八項第十四号に掲げる行為を行う業務 同号に規定する有価証券に表示される権利その他の政令で定める権利を有する者
三 (略)
2 (略)

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