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令和2年4月14日
証券取引等監視委員会

株式会社IGMフィナンシャルグループに対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容
  関東財務局長が株式会社IGMフィナンシャルグループ(東京都渋谷区、法人番号7011101043839、代表取締役 梶川 雄一(かじかわ ゆういち)、資本金2000万円、常勤役職員3名、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係
(1)  金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為及び重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
  株式会社IGMフィナンシャルグループ(以下「当社」という。)は、メールアドレスを把握している見込顧客に対して、過去の助言実績等の情報を記載したメールマガジンを配信するほか、当該メールマガジンに当社ウェブサイト内の専用ページのURLを記載することにより、それらのページに掲載した過去の助言実績等を閲覧するように誘導し、投資顧問契約の締結の勧誘を行っているが、平成28年11月から令和元年10月までの間の勧誘状況を確認したところ、以下の法令違反行為が認められた。
 
ア.金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
  当社は、専用ページにおいて、日経225先物取引等に係る助言実績に関して、損失が発生していたにもかかわらず利益と記載したり、実際には助言を行っていない銘柄を、助言を行った銘柄であると記載したりするなど、虚偽の内容を告げて投資顧問契約の締結の勧誘を行った(別紙参照)。
 
イ.金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
  当社は、専用ページにおいて、日経225先物取引の助言を行う「225プロフェッショナルライン」に関し、外部の者が提供するAI分析ソフトによる過去の収支等のシミュレーション結果であって、当社の助言実績とは無関係なものをあたかも当社の助言実績であるかのように表示し、投資顧問契約の締結の勧誘を行った。
 
  当社の上記アの行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第38条第1号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」に、上記イの行為は、金商法第38条第9号(平成29年法律第37号による改正前は同条第8号)に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる。
 
(2)  投資助言・代理業を適確に遂行するに足りる人的構成が確保されていない状況及び投資助言・代理業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
  当社の役職員は計3名のところ、梶川雄一代表取締役は、社内規程上、同人の担当業務とされている顧客管理を含め、当社の業務に一切関与せず、また、上川原圭輔取締役(令和元年5月12日まで当社代表取締役。)は、他の法人(金融商品取引業者等ではない。)の常勤職員として勤務し、当社の業務への関与は当該業務に従事した後のわずかな時間にとどまり、さらに、Aコンプライアンス室長は、自らが担当する投資顧問契約を締結した顧客への対応を行うだけで、コンプライアンス業務を全く行っていない。
  このように、当社の人的構成は極めて脆弱であるところ、契約締結時交付書面や事業報告書の記載不備等の基本的な業務運営に係る動作不備が多数認められているほか、今回検査において日計表や総勘定元帳等の会計帳簿すら提出できておらず、投資助言・代理業を適確に遂行する状況とはなっていない。
  さらに、当社においては、業務運営に係る社内規程に沿った業務運営態勢が整備されていないほか、当該規程を遵守するための役職員に対する研修その他の措置も講じられておらず、投資助言・代理業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない。
  当社における上記の状況は、金商法第29条の4第1項第1号ホに定める「金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者」に該当し、また、同号ヘに定める「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当することから、このような当社の状況は、同法第52条第1項第1号に該当するものと認められる。

 

(別紙)
 
 上川原圭輔取締役が行った投資助言における虚偽の告知
○ 日経225先物取引の助言を行う「寄り引けマスター」及び「オーバーナイトJET」の助言実績に関して、実際には平成29年の月別収支及び年累計は損失(1月▲122万円、同2月▲137万円、年累計▲280万円)となっていたにもかかわらず、事実に反して、月別収支及び年累計を利益(1月+138万円、2月+178.5万円、年累計+295.5万円)となったと記載。
○ 日本株の助言を行う「KABU PREMIUM」において、株式の助言実績のない銘柄であるにもかかわらず、事実に反して「当サイト公開銘柄も急騰」と記載。
 
 Aコンプライアンス室長が行った投資助言における虚偽の告知
○ 日経225先物取引の助言を行う「225戦略マガジンGOLD」の令和元年7月から9月までの各月の助言実績に関して、実際の助言実績(7月13万円、8月17万円、9月33万円)ではなく、事実に反する過大な助言実績(7月68万円、8月66万円、9月59万円)を記載。

 

(参考条文)
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(登録の拒否)
第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 次のいずれかに該当する者
イ~ニ (略)
ホ 金融商品取引業を適確に遂行するに足りる人的構成を有しない者
ヘ 金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者
(以下、略)

(禁止行為)
第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。
一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為
二~八 (略)
九 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

(金融商品取引業者に対する監督上の処分)
第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第二十九条の四第一項第一号、第二号又は第三号に該当することとなつたとき。
(以下、略)
 

○ 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)
(誇大広告をしてはならない事項)
第七十八条 法第三十七条第二項に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一~五 (略)
六 金融商品取引業者等の金融商品取引業(登録金融機関にあっては、登録金融機関業務)の実績に関する事項
(以下、略)

(禁止行為)
第百十七条 法第三十八条第八号に規定する内閣府令で定める行為は、次に掲げる行為とする。
一 (略)
二 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示をし、又は重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
(以下、略)

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