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令和2年12月22日
令和2年12月22日
証券取引等監視委員会
株式会社ジャパンディスプレイにおける有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金納付命令勧告について
1.勧告の内容
証券取引等監視委員会は、株式会社ジャパンディスプレイ(法人番号6040001059563)(以下「当社」という。)における金融商品取引法に基づく開示規制の違反について検査した結果、以下のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
2.法令違反の事実関係
(1)継続開示書類
当社は、架空の期末在庫の計上による売上原価の過少計上、販売見込みのない在庫の評価損未計上による売上原価の過少計上、収益の認識基準を満たしていない売上の計上、固定資産の過大計上等、不適正な会計処理を行った。
この結果、当社は、関東財務局長に対し、以下のとおり、金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」がある以下の有価証券報告書及び四半期報告書を提出した(「重要な事項につき虚偽の記載」の内容は別紙1の表の1~7のとおり)。
・平成27年12月第3四半期四半期報告書(平成28年2月9日提出)
・平成28年3月期有価証券報告書(平成28年6月21日提出)
・平成28年6月第1四半期四半期報告書(平成28年8月9日提出)
・平成28年9月第2四半期四半期報告書(平成28年11月9日提出)
・平成28年12月第3四半期四半期報告書(平成29年2月8日提出)
・平成29年3月期有価証券報告書(平成29年6月21日提出)
・平成31年3月期有価証券報告書(令和元年6月19日提出)
(2)発行開示書類
ア 関東財務局長に対し、平成28年12月21日、上記(1)の重要な事項につき虚偽の記載がある平成28年3月期有価証券報告書並びに平成28年6月第1四半期四半期報告書及び平成28年9月第2四半期四半期報告書を参照情報とする有価証券届出書(新株予約権付社債の募集)を提出し、当該有価証券届出書に基づく募集により、平成29年1月11日、新株予約権付社債を45,000,000,000円で取得させ、
イ 関東財務局長に対し、平成30年3月30日、上記(1)の重要な事項につき虚偽の記載がある平成29年3月期有価証券報告書を参照情報とする有価証券届出書(株券の募集)を提出し、当該有価証券届出書に基づく募集により、平成30年4月25日、34,965,000株の株券を4,999,995,000円で取得させた。
これらにより、当社は、関東財務局長に対し、金融商品取引法第172条の2第1項に規定する「重要な事項につき虚偽の記載」がある発行開示書類を提出し、当該発行開示書類に基づく募集により株券等を取得させたものである。
3.課徴金の額の計算
上記の違法行為について金融商品取引法に基づき算定される課徴金の額は、21億6,333万4,996円である(計算方法については別紙2のとおり。)。
【別紙1】有価証券報告書の虚偽記載内容
番号 | 対象書類 | 虚偽記載 | ||||
提出日 | 書類 | 会計期間 | 記載項目 | 主な内容(注) | 主な事由 | |
1 | 平成28年2月9日 | 第14期第3四半期(平成27年10月1日~同年12月31日)に係る四半期報告書 | 平成27年4月1日~同年12月31日の第3四半期連結累計期間 |
四半期連結
損益計算書
|
親会社株主に帰属する四半期純利益が
▲2,192百万円であるところを 4,411百万円と記載 |
・売上原価の過少計上 |
2 | 平成28年6月21日 | 第14期(平成27年4月1日~平成28年3月31日)に係る有価証券報告書 | 平成27年4月1日~平成28年3月31日の連結会計期間 |
連結
損益計算書 |
営業利益が 10,921百万円であるところを 16,710百万円と記載 親会社株主に帰属する当期純利益が ▲42,078百万円であるところを ▲31,840百万円と記載 |
・売上原価の過少計上 |
3 | 平成28年8月9日 | 第15期第1四半期(平成28年4月1日~同年6月30日)に係る四半期報告書 | 平成28年4月1日~同年6月30日の第1四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
営業利益が ▲8,174百万円であるところを ▲3,411百万円と記載 |
・売上原価の過少計上 |
4 | 平成28年11月9日 | 第15期第2四半期(平成28年7月1日~同年9月30日)に係る四半期報告書 | 平成28年4月1日~同年9月30日の第2四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
営業利益が ▲6,258百万円であるところを ▲2,176百万円と記載 |
・売上原価の過少計上 |
5 | 平成29年2月8日 | 第15期第3四半期(平成28年10月1日~同年12月31日)に係る四半期報告書 | 平成28年4月1日~同年12月31日の第3四半期連結累計期間 | 四半期連結 損益計算書 |
営業利益が 5,847百万円であるところを 10,475百万円と記載 |
・売上原価の過少計上 |
6 | 平成29年6月21日 | 第15期(平成28年4月1日~平成29年3月31日)に係る有価証券報告書 | 平成28年4月1日~平成29年3月31日の連結会計期間 | 連結 損益計算書 |
営業利益が 10,677百万円であるところを 18,502百万円と記載 |
・売上の過大計上 ・売上原価の過少計上 ・販管費の過少計上 |
7 | 令和元年6月19日 | 第17期(平成30年4月1日~平成31年3月31日)に係る有価証券報告書 | 平成30年4月1日~平成31年3月31日の連結会計期間 | 連結 貸借対照表 |
連結純資産額が 862百万円であるところを 7,023百万円と記載 |
・固定資産の過大計上による純資産の過大計上 |
8 | 平成28年12月21日 | 有価証券届出書(新株予約権付社債の募集) | 「第三部参照情報」 | 番号2~4に掲げる第14期に係る有価証券報告書並びに第15期第1四半期及び第15期第2四半期に係る四半期報告書を参照 | ・売上原価の過少計上 | |
9 | 平成30年3月30日 | 有価証券届出書(株券の募集) | 「第三部参照情報」 | 番号6に掲げる第15期に係る有価証券報告書を参照 | ・売上の過大計上 |
(注)金額は百万円未満切捨てである。
【別紙2】課徴金の計算方法
(1) 金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、平成27年12月第3四半期四半期報告書及び平成28年3月期有価証券報告書ごとに算出した額(以下(1)において「個別決定ごとの算出額」という。)は、
ア 当社が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た下記の額
平成27年12月第3四半期四半期報告書 13,640,630円
平成28年3月期有価証券報告書 13,785,226円
が、いずれも
イ 6,000,000円
を超えることから、
・平成27年12月第3四半期四半期報告書については、13,640,630円の2分の1に相当する額である6,820,000円(金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨て。以下、この項において同じ。)、
・平成28年3月期有価証券報告書については、13,780,000円、
となる。
ここで、これらの開示書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、13,780,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分(同第30項の規定により1円未満の端数を切り捨て)した下記の金額が、これらの開示書類に係る課徴金の額となる。
・平成27年12月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、4,562,116円
・平成28年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は、9,217,883円
(2) 金融商品取引法第172条の4第1項及び第2項の規定により、平成28年6月第1四半期四半期報告書、平成28年9月第2四半期四半期報告書、平成28年12月第3四半期四半期報告書及び平成29年3月期有価証券報告書ごとに算出した額(以下(2)において「個別決定ごとの算出額」という。)は、
ア 当社が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た下記の額
平成28年6月第1四半期四半期報告書 7,295,015円
平成28年9月第2四半期四半期報告書 5,988,419円
平成28年12月第3四半期四半期報告書 9,064,965円
平成29年3月期有価証券報告書 8,231,356円
が、
平成28年6月第1四半期四半期報告書、平成28年12月第3四半期四半期報告書及び平成29年3月期有価証券報告書については、
イ 6,000,000円
を超えることから、
・平成28年6月第1四半期四半期報告書については、7,295,015円の2分の1に相当する額である3,640,000円(金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨て。以下、この項において同じ。)、
・平成28年12月第3四半期四半期報告書については、9,064,965円の2分の1に相当する額である4,530,000円、
・平成29年3月期有価証券報告書については、8,230,000円、
平成28年9月第2四半期四半期報告書については、
イ 6,000,000円
を超えないことから、
・平成28年9月第2四半期四半期報告書については、6,000,000円の2分の1に相当する額である3,000,000円、
となる。
ここで、これらの開示書類が同一の事業年度に係るものであることから、金融商品取引法第185条の7第6項の規定により、9,060,000円を個別決定ごとの算出額に応じて按分(同第30項の規定により1円未満の端数を切り捨て)した下記の金額が、これらの開示書類に係る課徴金の額となる。
・平成28年6月第1四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、1,699,917円
・平成28年9月第2四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、1,401,030円
・平成28年12月第3四半期四半期報告書に係る課徴金の額は、2,115,556円
・平成29年3月期有価証券報告書に係る課徴金の額は、3,843,494円
(3) 金融商品取引法第172条の4第1項の規定により、平成31年3月期有価証券報告書について算出した課徴金の額は、
当社が発行する算定基準有価証券の市場価額の総額に10万分の6を乗じて得た額5,710,102円が6,000,000円を超えないことから、6,000,000円
となるが、平成31年3月期有価証券報告書については、金融商品取引法第26条第1項の規定による検査等が行われる前に、課徴金の減額に係る報告書が提出されていることから、金融商品取引法第185条の7第14項の規定により、
6,000,000円に100分の50を乗じて得た額に相当する額である3,000,000円
となる。
(4) 金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、当社の平成28年12月21日提出の有価証券届出書(新株予約権付社債の募集)に係る課徴金の額は、
重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた新株予約権付社債の発行価額の総額45,000,000,000円の100分の4.5に相当する額である2,025,000,000円
となる。
(5) 金融商品取引法第172条の2第1項第1号の規定により、当社の平成30年3月30日提出の有価証券届出書(株券の募集)に係る課徴金の額は、
重要な事項につき虚偽の記載がある発行開示書類に基づく募集により取得させた株券の発行価額の総額4,999,995,000円の100分の4.5に相当する額である224,999,775円
に、金融商品取引法第176条第2項の規定により1万円未満の端数を切り捨てて、224,990,000円となるが、平成30年3月30日提出の有価証券届出書(株券の募集)については、金融商品取引法第26条第1項の規定による検査等が行われる前に、課徴金の減額に係る報告書が提出されていることから、金融商品取引法第185条の7第14項の規定により、
224,990,000円に100分の50を乗じて得た額に相当する額である112,495,000円
となる。