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令和4年6月17日
証券取引等監視委員会

 

株式会社エスコンアセットマネジメントに対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容

  証券取引等監視委員会が株式会社エスコンアセットマネジメント(東京都港区、法人番号2010001162142、代表取締役社長 鍵山 武治(注1)、資本金1億円、常勤役職員27名、投資運用業、投資助言・代理業、第二種金融商品取引業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
 (注1)令和4年3月24日、前代表取締役社長 大森 利 氏が退任し、同日付で代表取締役社長に就任。
 

2.事実関係

 ○ 投資法人のために忠実に投資運用業を行っていない状況
 株式会社エスコンアセットマネジメント(以下「当社」という。)は、エスコンジャパンリート投資法人(東京都港区、法人番号6010005025721、執行役員 笹木 集(当社のREIT運用部を兼職)(注2)、以下「本投資法人」という。)との間で締結した資産の運用に係る委託契約に基づき行っている本投資法人の資産の運用において、当社の親会社である株式会社日本エスコン(東京都港区、法人番号8010001067609、代表取締役社長 伊藤 貴俊、以下「親会社」という。)からの取得となる不動産の鑑定評価を依頼するに際し、以下のとおり、適切な利益相反管理の観点から問題となる、不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけを行い、また、不適切な不動産鑑定業者選定プロセスをとっていた。
(注2)令和3年10月22日、前執行役員 大森 利 氏が退任し、同日付で執行役員に就任。
 
 ⑴ 不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけ
  当社は、親会社等の利害関係者が保有する不動産を本投資法人に取得させる際には、第三者である不動産鑑定業者に対して、取得させようとする不動産の鑑定評価を依頼し、算定された鑑定評価額を上限として当該不動産の取得価格を決定している。しかしながら、当社は、不動産鑑定業者から提示された鑑定評価額に係る中間報告又は概算額が親会社の売却希望価格に満たなかった3物件の不動産について、親会社の売却希望価格を優先し、親会社の売却希望価格を伝達するなどしたうえで、鑑定評価額が当該売却希望価格を上回るものとなるよう、算定を依頼した不動産鑑定業者に対し、鑑定評価額を引き上げるための働きかけを行っていた。こうした行為は、不動産鑑定業者の独立性を損なう不適切な働きかけであると認められる。
 
 ⑵ 不適切な不動産鑑定業者選定プロセス
  当社は、親会社からの取得となる複数物件の不動産鑑定評価を依頼する際、親会社の売却希望価格を上回る鑑定評価額を得ることを企図して、複数の不動産鑑定業者から不動産鑑定評価に係る概算額を聴取し、そのうち最も高い概算額を提示した不動産鑑定業者(以下「当該不動産鑑定業者」という。)の鑑定報酬額が、概算額を聴取した他の不動産鑑定業者と比して最も廉価になるよう、当該不動産鑑定業者と交渉していた。さらに、当社は、当該不動産鑑定業者による概算額が最も高かったことを伏せたうえで、当該不動産鑑定業者の鑑定報酬額が最も廉価であることを理由に、当該不動産鑑定業者を鑑定評価の依頼先として選定していた。これは、親会社の売却希望価格で本投資法人に取得させることを最優先とした不適切な不動産鑑定業者選定プロセスであると認められる。
 
  このように、当社の利益相反管理態勢は著しく不十分であり、当社は本投資法人のために忠実に投資運用業を行っていないことから、金融商品取引法第42条第1項に定める「忠実義務」に違反するものと認められる。
   
参考資料(PDF:984KB) 

 


(参考条文) 
○ 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
 
  (権利者に対する義務)
第四十二条 金融商品取引業者等は、権利者(次の各号に掲げる業務の区分に応じ当該各号に定める者をいう。以下この款において同じ。)のため忠実に投資運用業を行わなければならない。
一~三 (略)
2 (略)

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