証券取引等監視委員会委員長からのメッセージ

　証券取引等監視委員会（以下、証券監視委）は、資本市場の公正性・透明性の確保と投資者保護の実現を使命として活動を続けており、今般、設置から30周年を迎えるとともに、第11期の発足に至りました。

　証券監視委では、重大・悪質な事案に対する告発や法令違反事案に対する課徴金納付命令勧告・行政処分勧告等の実績を積み重ねるとともに、調査・検査を通じた市場監視を強化することを通じ、こうした使命を果たすべく取組みを進めています。

　近年、デジタル化や国際化の進展等により市場の動きは速く大きなものとなっており、市場の仕組みや法制度も変化を重ねています。加えて、足下、新型コロナウイルス感染症や地政学リスクの高まり等の環境変化が生じているほか、今後も新たな環境変化が生じる可能性もあります。

　証券監視委としては、こうした変化や未経験の事象にも的確に対処していくため、市場監視の専門機関と呼ばれるにふさわしい力を持ち、その力を発揮していくことが重要であると考えております。

　第11期では、「網羅的な市場監視に向けた情報収集・分析」「効果的・効率的な調査・検査」「市場規律強化に向けた実効的な取組み」の好循環の実現を目指し、資本市場の健全な発展に貢献してまいります。
　これまで蓄積してきた市場監視に関する技法・経験や国内外の関係機関との連携等の取組みを踏まえ、新たな創意工夫も重ねつつ、事象の本質を見極める力を磨いていくとともに、虚心坦懐に広い視野を持ち、市場監視業務に取り組むことで、皆様方の信頼に応えてまいる所存でありますので、ご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 2023（令和５）年２月
証券取引等監視委員会 委員長　中原　亮一