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令和5年12月8日
証券取引等監視委員会
 

海外に居住する個人による大平洋金属株式会社株式ほか1銘柄に係る相場操縦に対する課徴金納付命令の勧告について

 
1.勧告の内容
 
 証券取引等監視委員会は、海外居住の個人による大平洋金属株式会社株式ほか1銘柄に係る相場操縦について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。
 
2.法令違反の事実関係
 
 課徴金納付命令対象者(中国居住)は、海外銀行甲との間で、日本株式を原資産とする店頭デリバティブ取引である証券CFD取引を行い、同取引の注文を受けた海外銀行甲において、証券会社グループ乙を介して、証券CFD取引に係る注文と同内容の日本株式の売買の注文を即時に株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」という。)が開設する金融商品市場(市場第一部)等に発注していたものであるが、
 

① 東京証券取引所市場第一部に上場されていた大平洋金属株式会社(以下「大平洋金属」という。)の株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、 PDF別表1記載のとおり、令和元年9月4日午前10時16分40秒頃から同月5日午後1時35分27秒頃までの間、合計2取引日にわたり、海外銀行甲に対して大平洋金属株式を原資産とする証券CFD取引の申込みを行い、海外銀行甲等を介して、最良売り気配付近に複数の売り注文を重層的に入れて売り板を厚くした上で、同株式を下値で買い付けた後、最良売り気配付近に発注していた複数の売り注文を取り消して売り板を薄くするとともに、最良買い気配付近に複数の買い注文を重層的に入れて買い板を厚くした上で、同株式を上値で売り付けることを交互に繰り返すなどの方法により、同株式合計4万2500株の買い注文に係る証券CFD取引の申込みを行うとともに、同株式合計4万4900株の売り注文に係る証券CFD取引を行う一方、同株式合計3万8700株の売り注文に係る証券CFD取引の申込みを行うとともに、同株式合計5万5100株の買い注文に係る証券CFD取引を行い、

② 東京証券取引所市場第一部に上場されていたノーリツ鋼機株式会社(以下「ノーリツ鋼機」という。)の株式につき、同株式の売買を誘引する目的をもって、PDF別表1記載のとおり、令和元年9月6日午前9時50分45秒頃から同日午後1時5分17秒頃までの間、海外銀行甲に対してノーリツ鋼機株式を原資産とする証券CFD取引の申込みを行い、海外銀行甲等を介して、最良売り気配付近に複数の売り注文を重層的に入れて売り板を厚くした上で、同株式を下値で買い付けた後、最良売り気配付近に発注していた複数の売り注文を取り消して売り板を薄くするとともに、最良買い気配付近に複数の買い注文を重層的に入れて買い板を厚くした上で、同株式を上値で売り付けることを交互に繰り返すなどの方法により、同株式合計5万9600株の買い注文に係る証券CFD取引の申込みを行うとともに、同株式合計4万5200株の売り注文に係る証券CFD取引を行う一方、同株式合計9000株の売り注文に係る証券CFD取引の申込みを行うとともに、同株式合計4万3200株の買い注文に係る証券CFD取引を行い、

もって、自己の計算において、上記各株式の売買が繁盛であると誤解させ、かつ、上記各株式の相場を変動させるべき一連の店頭デリバティブ取引及びその申込みをしたものである。
 
  違反行為事実の概要については、Chartへジャンプ下記概要図のとおり。
 
 課徴金納付命令対象者が行った上記の行為は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第174条の2第1項に規定する「第159条第2項第1号の規定に違反する一連の有価証券売買等」及び「その申込み」に該当すると認められる。
 
3.課徴金の額の計算
 
 上記の各違法行為に対し金商法に基づき納付を命じられる課徴金の額の合計は、281万円である。
  計算方法の詳細については、PDF別紙のとおり。
  ※ 違反行為に係る売付け等の価額及び買付け等の価額の詳細については、PDF別表2を参照。
 
4.その他
 
 本件については、カナダブリティッシュコロンビア州、ケイマン諸島、中華人民共和国、デンマーク、香港、ハンガリー、カナダオンタリオ州、英国の各金融規制当局(British Columbia Securities Commission、Cayman Islands Monetary Authority、China Securities Regulatory Commission、Danish Financial Supervisory Authority、Hong Kong Securities and Futures Commission、Hungary Magyar Nemzeti Bank、 Ontario Securities Commission、the United Kingdom Financial Conduct Authority)から支援を受けている。
  また、日本取引所自主規制法人から提供された情報等も参考として、実態解明を行ったものである。
 
概要図)
 

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