令和8年4月17日
証券取引等監視委員会
株式会社バディキャピタルに対する検査結果に基づく勧告について
1.勧告の内容
関東財務局長が株式会社バディキャピタル(東京都渋谷区、法人番号6011001137238、代表取締役 鈴木 惠、資本金300万円、常勤役職員38名、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
2.事実関係
(1) 投資助言・代理業に係る業務につき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していない状況及び投資助言・代理業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
株式会社バディキャピタル(以下「当社」という。)は、検査基準日現在、当社の唯一の取締役である鈴木惠代表取締役(以下「鈴木代表」という。)が営業・投資助言業務部門の責任者かつ助言部長を務め、また、法令等遵守指導部門の責任者としてコンプライアンス部長を、内部監査部門の責任者として内部監査部長を、本社に各1名配置している。なお、これらの部署に他の役職員は配置されていない。
また、当社は、投資助言業以外の事業は行っておらず、当社の営業・投資助言業務部門の機能は、令和6年1月に渋谷区内に設置したとする神泉営業所(以下「営業所」という。)に集約されているところ、鈴木代表は、営業所の営業所長を兼務している。
こうした中、今回検査において、以下のとおり、当社の経営管理態勢及び内部管理態勢に重大な不備が認められた。
ア 当社役職員ではない者が代表取締役と同等以上の支配力を有している状況
当社は、令和6年1月に営業所を設置して以降、事業拡大に伴う人件費の増加により恒常的な赤字経営にあり、業務運営に当たり、当社役職員ではない角田顕一(以下「角田氏」という。)からの資金に依存している状況にあるところ、角田氏は、当社との間に業務委託等に係る契約等が一切存在しないにもかかわらず、当社の営業所に無制約かつ頻繁に出入りし、実質的な営業責任者として当社の営業員に対して営業の指導等を行っているなど、当社の営業に深く関与し、さらに、経営管理の観点では、当社の投資助言業務を一手に担う営業所の設置・運営において主導的な役割を果たしているほか、赤字経営により支払原資を確保できない当社に代わり、本社役職員の給与や交通費・飲食代も支給しているなど、当社の経営にも深く関与していることが認められた。
そして、その反面、鈴木代表は、角田氏の営業所に関する方針や指導を追認するにとどまり、営業所の基本的な業務実態すら適切に把握できていない状況であったほか、営業所の業務実態を把握するための態勢構築をするなどの対応も全く行わなかった。
このように、角田氏は、当社の経営及び業務運営に深く影響を与えており、鈴木代表と同等以上の支配力を有している状況が認められる。
イ 営業員による営業活動を統制できていない状況
当社では暗号資産に関する取引の推奨は行わないとしていたところ、多くの営業員において、見込み顧客との投資顧問契約の締結に際し、暗号資産を推奨している状況が認められた。加えて、投資顧問契約を締結した顧客に対し、資産のポートフォリオの提案として、国内株式の売却を助言すると同時に、暗号資産または暗号資産と称される商品(以下「暗号資産等」という。)の購入を助言する状況や、一部の顧客について、実際に暗号資産等の取引を行うため、国内外の暗号資産交換業者が開設するサイト上の画面を当該顧客と共有し、必要な情報の入力を指図するなど、当該顧客による暗号資産等の取引をサポートしている状況が認められた。
また、一部の営業員において、暗号資産等について、確実に高配当を受け取れるかのような説明を行う一方で、損失が生じる可能性や流動性の有無等の重要なリスクに関する説明を行っていない状況や、当社が関東財務局(以下「当局」という。)の登録を受けた金融商品取引業者であることを過度に強調した説明を行っている状況、資金決済に関する法律の登録を受けずに暗号資産交換業を行っているとして警告が発出されている者での口座開設案内を行っている状況が認められた。
そうした中、金融庁等には、令和6年2月から同8年1月にかけて、当社の暗号資産等の営業活動に関して延べ100件を超える苦情(例えば、暗号資産等に係る商品について、顧客から出金したい旨の要請を受けた場合、顧客が出金しないよう誘導していた等)が寄せられていたところ、鈴木代表及びコンプライアンス部長は、当局からの問合せにより初めて苦情の対象となるべき営業活動の実態を知ったほか、当局から当社に対して苦情内容に係る再発防止策をとるよう要請したにもかかわらず、当社は、内部管理態勢を強化するなどの再発防止策をとることなく、当該苦情内容と同様の営業方法を継続している状況が確認された。
このように、鈴木代表は、営業員の顧客対応を本社で適切に把握・検証できる態勢を整えておらず、これらの行為を看過していたほか、鈴木代表及びコンプライアンス部長は、今回検査を契機として、営業員に対して暗号資産等の推奨を止めるよう指導したものの、その後も上記状況が継続し、当該状況の改善を断念する旨述べているなど、営業員の営業活動を全く統制できない状況に陥っている。
ウ 鈴木代表が投資助言業務に全く関与していない状況
鈴木代表は、当社における唯一の「分析者・投資判断者」で、かつ「助言者」であるところ、遅くとも令和6年10月頃からは、鈴木代表が銘柄の分析等を行うことはなくなり、以降、当社として推奨する銘柄を選定することも行っておらず、銘柄分析や推奨銘柄の選定は完全に営業所の営業員に行わせており、当該分析等に基づき営業員が顧客に助言を行っていた。
このように、遅くとも令和6年10月頃からは、鈴木代表は銘柄の分析等を含む具体的な投資助言業務に全く関与していない。
エ 本社役職員が営業所における業務運営の実態を把握できていない状況
営業所設置以降、本社に勤務する鈴木代表を含めた本社役職員は、営業所で管理している顧客との通話録音や業務関連資料へのアクセス権がなく、営業員が、日々、営業所においてどのような業務運営を行っているかを全く把握できていなかった。
また、本社役職員は、営業所に勤務する社員の採用に関与しておらず、採用後に営業所の責任者から報告を受けて社員が採用されたことを初めて知る状況であり、営業員の管理ができていないほか、顧客への営業行為や顧客管理といった営業に関する業務は全て、営業所に任せきりになっており、何ら管理を行っていない状況が認められた。
オ 内部監査態勢が機能していない状況
当社が金融商品取引業者として登録して以降、内部監査部長は一度も内部監査を実施しておらず、当社の内部監査態勢は全く機能していない状況が認められた。
カ 法令等違反行為
上記アからオまでのとおり、当社では、経営管理態勢及び内部管理態勢が機能しておらず、鈴木代表を含めた本社役職員が、金融商品取引法(以下「金商法」という。)等に基づく検証や確認を怠っていたことに起因して、例えば、顧客との契約締結時に提供すべき情報として、営業所の情報を提供していないなど、多数の法令等違反行為が看過されている状況も認められた。
上記のとおり、当社唯一の役員の法令等遵守意識が著しく欠如していることに加え、下記(2)の点も含め、営業員による不適切な行為が認められるなど、内部管理部門が機能しておらず、法令等違反行為をけん制・防止する態勢が構築されていない状況であり、金融商品取引業を適確に遂行するための人員確保及び体制整備が行われていないものと認められる。
当社における上記の状況は、金商法第29条の4第1項第1号の2に規定する「金融商品取引業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していないと認められる者」及び同項第1号ヘに定める「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当し、同法第52条第1項第1号に該当すると認められる。
(2) 検査忌避
当社営業員は、今回検査において、営業行為の内容を検証するために必要となる重要な証拠を削除するなど、正常な検査の実行を阻害する行為を行った。これらの行為は、事実確認を困難にさせる悪質な行為と認められる。
鈴木代表は、上記一連の行為を看過しており、何ら防止できていない。
上記のとおり、当社は、金商法第56条の2第1項の規定による検査の執行の妨げになる行為に及んだものであり、同法第52条第1項第7号に規定する「金融商品取引業に関し法令に違反したとき」に該当するものと認められる。
(参考条文)
〇 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(登録の拒否)
第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 次のいずれかに該当する者
イ~ホ (略)
ヘ 金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者
一の二 法人である場合においては、登録申請の対象となる金融商品取引業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員(相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該法人に対し取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号及び次号、第三十三条の五第一項第三号イ、第五十二条第二項、第五十二条の二第二項、第五十七条の二十第一項第一号及び第三項、第六十三条第七項第一号ハ、第六十三条の九第六項第二号ト、第六十六条の五十三第五号イ、第六十六条の六十三第二項、第六十六条の七十四第七号イ及びハ並びに第六十六条の八十五第二項において同じ。)又は使用人を確保していないと認められる者。ただし、登録申請者が投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けている者に限る。)に委託する場合における当該投資運用関係業務については、その業務の監督を適切に行う能力を有する役員又は使用人を確保していれば足りるものとする。
二~七 (略)
2~6 (略)
(金融商品取引業者に対する監督上の処分)
第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第二十九条の四第一項第一号から第三号までのいずれかに該当することとなつたとき。
二~六 (略)
七 金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令(第四十六条の六第二項を除く。)又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。
八~十二 (略)
2~5 (略)
(報告の徴取及び検査)
第五十六条の二 内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、金融商品取引業者等、これと取引をする者、当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)がその総株主等の議決権の過半数を保有する銀行等(以下この項において「子特定法人」という。)、当該金融商品取引業者等を子会社(第二十九条の四第四項に規定する子会社をいう。以下この条において同じ。)とする持株会社若しくは当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者(その者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下この項において同じ。)に対し当該金融商品取引業者等の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料(当該子特定法人にあつては、当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)の財産に関し参考となるべき報告又は資料に限る。)の提出を命じ、又は当該職員に当該金融商品取引業者等、当該子特定法人、当該金融商品取引業者等を子会社とする持株会社若しくは当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者の業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件の検査(当該子特定法人にあつては当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)の財産に関し必要な検査に、当該金融商品取引業者等を子会社とする持株会社又は当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者にあつては当該金融商品取引業者等の業務又は財産に関し必要な検査に限る。)をさせることができる。
2~4 (略)