令和8年5月19日
証券取引等監視委員会

株式会社クロサイに対する検査結果に基づく勧告について

1.勧告の内容

 近畿財務局長が株式会社クロサイ(奈良県生駒市、法人番号8150001023721、代表取締役 後田 泰孝、資本金900万円、常勤役職員3名、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。

2.事実関係

(1) 顧客のため忠実に投資助言業務が行われていない状況
ア デイトレ銘柄の投資助言前に当該銘柄を買い付け、投資助言後に売り付ける行為
  株式会社クロサイ(以下「当社」という。)は、月曜日から木曜日の株式市場の取引終了後、翌日のデイトレード(同一の取引者が、ある銘柄を買い、その銘柄をその日のうちに売却するような売買)で利益が見込めるとする銘柄(国内上場株式、以下「デイトレ銘柄」という。)の買付けを推奨する投資助言を行っており、自社ウェブサイトにおいて顧客に配信している。
  こうした中、当社における投資助言者である甲(以下「甲助言者」という。)は、令和6年6月から同7年9月までの間に自己名義の証券口座を利用し、自己の計算において行った取引のうち、投資助言を行ったデイトレ銘柄の29銘柄について、顧客への助言前に同銘柄を買い付け、自身が保有している銘柄であることを顧客に隠して買いを助言し、助言後に売り付ける取引を31件行っていた事実が認められた。
  なお、上記取引による利益は、上記31件のうち22件で計約100万円(損失は9件で計約98万円)となっている。
 
イ 上記の行為を防止する態勢を構築していない状況
  当社は、社内規程において、利益相反取引を防止するため、役職員が自己の計算により国内上場株式等の取引(以下「自己取引」という。)をする際、コンプライアンス部長に申請を行い、承認を得なければならないと定めている。
  しかしながら、甲助言者は、自己取引を行っているにもかかわらず、申請を一切行っていない。また、コンプライアンス部長は、当社代表取締役から上記社内規程に係る業務に関する指示を受けておらず、自身の担当業務との認識がなかったことから、当該業務を一切行っていない。
  さらに、当社代表取締役は、甲助言者の自己取引を認識していたにもかかわらず、取引内容の確認及び上記社内規程に基づく申請をするよう指示していないほか、当該事実の隠蔽を図っており、法令等遵守意識が欠如している。
  このように、当社においては、当社代表取締役の法令等遵守意識が欠如しており、役職員の自己取引に係る利益相反取引を防止するためのけん制機能が全く発揮されていないなど、上記アの行為を防止するための内部管理態勢を構築していない状況であった。
 
  上記(1)アの行為は、顧客に推奨したデイトレ銘柄の情報を利用して顧客の利益よりも自身の利益を図るために行われたものであり、利益相反の観点から問題があるほか、上記(1)イのとおり、当該行為を防止する態勢を構築していない上、当社代表取締役が甲助言者の自己取引の隠蔽を図っている状況は、当社の顧客をないがしろにし、顧客の信認を裏切るものである。
  このような当社の状況は、顧客のため忠実に投資助言業務を行っていない状況と認められ、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第41条第1項に規定する「忠実義務」に違反するものと認められる。
 
(2) 著しく事実に相違する表示のある広告をする行為
 当社は、自社ウェブサイトの広告において、実際は顧客に銘柄名を紹介したのみであるにもかかわらず、事実に反して、当社が買付日や買付価格等を助言し、顧客が利益を得たかのように表示した(別紙参照)。
  これは、広告の作成等を行う当社代表取締役自身の法令等遵守意識が欠如しており、当社代表取締役が広告審査態勢を十分に整備しておらず、法令等諸規則を遵守する観点から、自社ウェブサイト等の広告について審査を行っていないことに起因して発生したものと認められる。
 
  上記(2)の行為は、投資助言業に関する広告において、助言実績に関する事項について、著しく事実に相違する表示を行うものであり、金商法第37条第2項に違反するものと認められる。
 
   
   pdf参考資料(PDF:403KB)

 


(別紙) 

 〇 当社が行った著しく事実に相違する表示のある広告をする行為の例

・ 「2月19日に会員様へ1800円以下でご案内」、「3月24日に2500円達成!」
・ 「1カ月で72万円の利確も達成」
・ 「年払いプラン限定の入会特典でご案内したあなた専用の投資銘柄で会費以上の大きな成果が出ています!」
・ 「見事に短期間で年払いの会費以上の利確!会員様には大変喜んでいただけました。」
・ 「1210円付近でエントリー」、「1360円で利確」、「150円幅(12%)の利確達成」、「10月8日のデイトレ銘柄。」、「1000株購入で15万円の利益!」
 

(参考条文)
 
 〇 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
 
(広告等の規制)
第三十七条 (略)
 2 金融商品取引業者等は、その行う金融商品取引業に関して広告その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をするときは、金融商品取引行為を行うことによる利益の見込みその他内閣府令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。
 
(顧客に対する義務)
第四十一条 金融商品取引業者等は、顧客のため忠実に投資助言業務を行わなければならない。
2 (略)
 
〇 金融商品取引業等に関する内閣府令(平成19年内閣府令第52号)(抄)
 
(誇大広告をしてはならない事項)
第七十八条 法第三十七条第二項に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一~五 (略)
六 金融商品取引業者等の金融商品取引業(登録金融機関にあっては、登録金融機関業務)の実績に関する事項
七~十四 (略)

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