令和8年6月2日
証券取引等監視委員会
ドゥラックアセットマネジメント株式会社に対する検査結果に基づく勧告について
1.勧告の内容
関東財務局長がドゥラックアセットマネジメント株式会社(東京都港区、法人番号3010901023211、代表取締役 髙橋 俊秀、資本金5000万円、常勤役職員29名、第二種金融商品取引業、投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、行政処分を行うよう勧告した。
2.事実関係
(1) 金融商品取引業に係る業務につき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していない状況及び金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
ドゥラックアセットマネジメント株式会社(以下「当社」という。)は、検査基準日現在、髙橋俊秀代表取締役(以下「髙橋代表」という。)を含めて4名の役員(非常勤監査役1名含む。)が在籍しているほか、法令遵守に係る統括者としてコンプライアンス室長、投資助言業務の統括者として投資運用部長、内部監査を担当する内部監査室長(以下、役員及びこれら業務の統括者等を総称して「管理役職員」という。)などを配置している。
当社は、令和3年5月の金融商品取引業の登録以降、第二種金融商品取引業及び投資助言・代理業(以下「助言業」という。)ともに取扱実績がなかったが、同6年1月より、新たに目黒営業所(以下「営業所」という。)を新設するとともに営業員を大幅に増員し、国内株式等に関する助言業を開始している。
こうした中、今回検査において、以下のとおり、当社の経営管理態勢及び内部管理態勢に重大な不備が認められた。
ア 経営管理態勢が機能していない状況
当社では、取締役会以外に、重要な経営事項等を機関決定する会議体は存在しないところ、令和5年4月以降は、本店移転に係る決議のために1回のみ取締役会が開催されたのを除き、同6年1月の営業所設置及び助言業の開始時も含め、取締役会が開催されていなかった。加えて、役員の実働状況についてみても、少なくとも令和6年1月以降、髙橋代表以外の役員3名のうち、2名は業務自体を行っておらず、残りの1名についても、業務状況に照らし、経営管理にほとんど関与していないことが認められた。
また、営業所での助言業を開始以降、髙橋代表は、金融商品取引業に関する知識や経験を全く備えていない者に営業所における業務管理全般を一任したまま、本来、営業所の業務を統括すべき投資運用部長には、顧客勧誘などの業務管理、営業員管理や顧客管理に一切携わらせなかったほか、業務上及び組織上の重要事項について報告を受ける十分な管理態勢も構築していなかった。
さらに、当社は、助言業の運転資金につき、髙橋代表からの借入に大きく依存している状況にある中、直近決算期において4期連続の赤字が継続しているなど、大幅な債務超過の状況に陥っているにもかかわらず、経営改善のための方策の検討すら行われていない状況にあった。
イ 管理役職員において営業所の管理ができていない状況
(ア) 当社役職員でない者による営業活動を看過している状況
当社は、助言業の拠点として同事業を拡大することを目的に、令和6年1月に営業所を新たに設置し、それ以降、同所では助言業のみを行っているところ、当社と雇用契約のない7名が、同年2月から同8年2月までの間、見込み顧客に対し、当社との投資顧問契約の締結に向けた勧誘行為を行い、同契約を締結した顧客計100名に対して、国内株式の買いの助言等を行うなど、当社の助言業務の一部を行っていた事実が認められた。
上記状況について、髙橋代表を含む管理役職員は、関東財務局(以下「当局」という。)検査官らの指摘によって初めてこれを認識したとしており、当社は、約2年間という長期間にわたって、営業所の職員数の約2割に該当する7名が、当社役職員でないにもかかわらず、当社の助言業務の一部を実施していたことを看過していた。
(イ) 営業員による営業実態を把握できていない状況
当社については、金融庁等の窓口宛てに、当社営業員が、金融庁等に登録がない暗号資産交換業者を通じて顧客に暗号資産を取引させている、又は、遠隔操作によって顧客に暗号資産交換業者で口座開設させているなどとして、令和6年2月から同8年1月までにかけて、当社による暗号資産取引等の営業活動に関して延べ48件の苦情が寄せられていたところ、当社の営業実態は以下のとおりとなっていた。
当社においては、投資運用部長は顧客へ投資助言を行う営業所の業務を統括すべき立場にあるところ、実際には自らが作成した国内株式の推奨銘柄を記したレポートを髙橋代表へ配付するにとどまり、当該レポートが社内でどのように活用されているかなど、営業員による投資助言の具体的な状況を全く把握していないほか、助言記録の作成に一切関与しておらず、助言記録の保管状況も把握していなかった。このように、当社は、本来投資運用部長が行うべき顧客勧誘などの業務管理、営業員管理や顧客管理を全て営業所任せにしており、投資運用部長には一切携わらせなかった。
また、当社においては、コンプライアンス室長に営業所が使用している業務用端末で保存したデータへのアクセス権限が付与されていないため、日々、営業員が作成している助言記録の検証を行っていないほか、営業所における顧客勧誘の方法や苦情対応の状況などについて、営業所から報告を受ける態勢も構築されていないことから、管理役職員が営業現場における業務実態を把握できておらず、当社営業員に対するけん制が全く機能していない状況となっていた。
加えて、コンプライアンス室長は、法令遵守に係る統括者の立場から本来行うべき、営業員に対する金融商品取引法(以下「金商法」という。)等に関する研修の実施状況の把握や営業所における雇用状況の確認なども一切行っていなかった。
ウ 内部監査態勢が機能していない状況
当社は、少なくとも1年に1度以上は内部監査を実施するとしているが、令和4年1月以降、一度も内部監査を実施しておらず、当社の内部監査態勢は全く機能していない状況が認められた。
エ 法令等違反行為
上記アからウまでのとおり、当社では、経営管理態勢及び内部管理態勢が機能しておらず、髙橋代表を含めた管理役職員が、金商法等に基づく検証や確認を怠っていたことに起因して、例えば、顧客との契約締結時に提供すべき情報として、営業所の情報を提供していないなど、多数の法令等違反行為が看過されている状況も認められた。
上記のとおり、当社においては、経営管理態勢及び内部管理態勢が機能しておらず、営業所における不適切な業務運営(下記(2)の点を含む。)が看過されているなど、法令等違反行為をけん制・防止する態勢が構築されていない状況であるほか、これらの根底には、髙橋代表をはじめとする当社役職員における法令等遵守意識の欠如があると認められ、金融商品取引業を適確に遂行するための人員確保及び体制整備が行われていないものと認められる。
当社における上記の状況は、金商法第29条の4第1項第1号の2に規定する「金融商品取引業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員又は使用人を確保していないと認められる者」及び同項第1号ヘに定める「金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者」に該当し、同法第52条第1項第1号に該当すると認められる。
(2) 検査忌避
営業所の臨店検査において、当局検査官らが業務に関係する資料の提出を求めるなどしたところ、当社の営業員らは、これに反発した上、検査官らによる要求にもかかわらず、一部を除き正当な理由なくその提出を拒否し、あるいは、一旦提出に応じた電子データの削除を要求するなどし、検査の執行を著しく阻害した。
上記のとおり、当社は、金商法第56条の2第1項の規定による検査の執行の妨げになる行為に及んだものであり、同法第52条第1項第7号に規定する「金融商品取引業に関し法令に違反したとき」に該当するものと認められる。
(参考条文)
〇 金融商品取引法(昭和23年法律第25号)(抄)
(登録の拒否)
第二十九条の四 内閣総理大臣は、登録申請者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は登録申請書若しくはこれに添付すべき書類若しくは電磁的記録のうちに虚偽の記載若しくは記録があり、若しくは重要な事実の記載若しくは記録が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
一 次のいずれかに該当する者
イ~ホ (略)
ヘ 金融商品取引業を適確に遂行するための必要な体制が整備されていると認められない者
一の二 法人である場合においては、登録申請の対象となる金融商品取引業に係る業務のそれぞれにつき、その執行について必要となる十分な知識及び経験を有する役員(相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、当該法人に対し取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。以下この号及び次号、第三十三条の五第一項第三号イ、第五十二条第二項、第五十二条の二第二項、第五十七条の二十第一項第一号及び第三項、第六十三条第七項第一号ハ、第六十三条の九第六項第二号ト、第六十六条の五十三第五号イ、第六十六条の六十三第二項、第六十六条の七十四第七号イ及びハ並びに第六十六条の八十五第二項において同じ。)又は使用人を確保していないと認められる者。ただし、登録申請者が投資運用関係業務を投資運用関係業務受託業者(当該投資運用関係業務を行うことにつき第六十六条の七十一の登録又は第六十六条の七十五第四項の変更登録を受けている者に限る。)に委託する場合における当該投資運用関係業務については、その業務の監督を適切に行う能力を有する役員又は使用人を確保していれば足りるものとする。
二~七 (略)
2~6 (略)
(金融商品取引業者に対する監督上の処分)
第五十二条 内閣総理大臣は、金融商品取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該金融商品取引業者の第二十九条の登録を取り消し、第三十条第一項の認可を取り消し、又は六月以内の期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
一 第二十九条の四第一項第一号から第三号までのいずれかに該当することとなつたとき。
二~六 (略)
七 金融商品取引業又はこれに付随する業務に関し法令(第四十六条の六第二項を除く。)又は法令に基づいてする行政官庁の処分に違反したとき。
八~十二 (略)
2~5 (略)
(報告の徴取及び検査)
第五十六条の二 内閣総理大臣は、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、金融商品取引業者等、これと取引をする者、当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)がその総株主等の議決権の過半数を保有する銀行等(以下この項において「子特定法人」という。)、当該金融商品取引業者等を子会社(第二十九条の四第四項に規定する子会社をいう。以下この条において同じ。)とする持株会社若しくは当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者(その者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下この項において同じ。)に対し当該金融商品取引業者等の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料(当該子特定法人にあつては、当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)の財産に関し参考となるべき報告又は資料に限る。)の提出を命じ、又は当該職員に当該金融商品取引業者等、当該子特定法人、当該金融商品取引業者等を子会社とする持株会社若しくは当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者の業務若しくは財産の状況若しくは帳簿書類その他の物件の検査(当該子特定法人にあつては当該金融商品取引業者等(登録金融機関を除く。)の財産に関し必要な検査に、当該金融商品取引業者等を子会社とする持株会社又は当該金融商品取引業者等から業務の委託を受けた者にあつては当該金融商品取引業者等の業務又は財産に関し必要な検査に限る。)をさせることができる。
2~4 (略)
