(4) |
証券検査 |
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本事務年度中に証券会社98社(うち外国証券会社10社)、登録金融機関28社、証券仲介業者1社、外国為替証拠金取引を行う金融先物取引業者13社、投信・投資顧問業者等41社及び自主規制機関2社の合計183社に対して検査に着手した。 本事務年度において検査が終了したものは、前期繰越分を含め150社となっているが、このうち93社に問題点が認められた(問題点が認められた会社の割合62%)。問題点が認められた93社中、50社において投資者保護に関する問題点が認められたほか、財産・経理等や業務運営に関する問題点も多数認められた。 検査の結果、重大な法令違反が認められた、外国為替証拠金取引を行う金融先物取引業者7社、投信・投資顧問業者等8社(うち不動産投資法人(REIT)2社)を含む29社については、内閣総理大臣及び金融庁長官に対し、行政処分等の勧告を行った(うち財務局等分19社)。 |
(検査結果の内訳) |
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検査終了 |
問題点が 認められ たもの |
問題点の内訳 |
勧 告 |
不公正 取引に 関するもの |
投資者 保護に 関するもの |
財産・ 経理に 関するもの |
その他 業務運営に 関するもの |
証券会社 (含外証) |
81社 |
51社 |
14社 |
21社 |
18社 |
35社 |
12社 |
登録金融機関 |
27社 |
10社 |
1社 |
6社 |
2社 |
4社 |
1社 |
証券仲介業者 |
1社 |
1社 |
― |
1社 |
― |
― |
1社 |
金融先物業者 |
12社 |
10社 |
3社 |
8社 |
4社 |
4社 |
7社 |
投信・ 投資顧問 業者等 |
29社 |
21社 |
― |
14社 |
1社 |
17社 |
8社 |
合計 |
150社 |
93社 |
18社 |
50社 |
25社 |
60社 |
29社 |
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(注 |
)同一会社において複数の問題点が認められる場合があるため、「問題点が認められたもの」と「問題点の内訳」の合計は一致しない場合がある。 |
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勧告事案の主な内容は次のとおり。 |
○ |
証券会社の処分に係る勧告 |
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イ |
顧客の有価証券の売買等に関する管理が不公正取引の防止上不十分な状況 被検査法人のコンプライアンス部売買審査室長は、各部店の指導・監督を十分に行わず、顧客の内部者登録が適切に行われているか否かの検証を行う等の十分な社内管理体制を構築しないことにより、内部者登録に多くの漏れを生ぜしめて、内部者取引に係る売買審査に多くの漏れが生じている状況のまま業務を営んでおり、これにより、顧客の有価証券の売買等に関する管理が不公正取引の防止上不十分な状況のまま業務を営んでいた。(SMBCフレンド証券) |
ロ |
実勢を反映しない作為的相場を形成させるべき一連の有価証券の売買取引の受託等を防止するための売買管理が十分でないと認められる状況 被検査法人の営業部長は、寄付き前に、買い板を厚くする売り株数と買い株数が不均衡な成行きによる大口クロス取引注文の受託について、担当営業員から報告を受けていたにもかかわらず、顧客の売買動機の把握や注文の規制措置の検討などの日常的な売買管理を何ら行っていない。また、内部管理統括責任者は、当該取引を売買審査システムで抽出していたにもかかわらず、取引内容の検討について部下への指示を行わず、更に、当該取引について証券取引所の調査などを受けたにもかかわらず、取引内容を十分検証しないまま取引停止等の措置を行うことなく当該取引の受託を継続した。(エイチ・エス証券) |
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○ |
金融先物取引業者の処分に係る勧告 |
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・ |
不招請勧誘 被検査法人は、本社第二営業部及び八重洲支店において、受託契約等の締結の勧誘の要請をしていない一般顧客に対し、電話をかけて受託契約等の締結の勧誘を行った。(日本エフエックス株式会社) |
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○ |
投信・投資顧問業者等の処分に係る勧告 |
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・ |
投資法人資産運用業に係る善管注意義務違反 被検査法人は、投資法人との間で締結した資産の運用に係る委託契約に基づき行っている資産の運用において、当該投資法人の運用資産に組み入れる不動産の取得時等に本来行うべき審査等の業務を適切に行っていなかった。(オリックス・アセットマネジメント株式会社) |
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(5) |
建議 |
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インターネット取引が増加する中、個人投資家によるインターネット取引を利用したいわゆる「見せ玉」による相場操縦事件が見られたこと等から、平成17年11月29日、いわゆる「見せ玉」について課徴金の対象とすること等を求める2件の建議を行った。 また、金融審議会金融分科会第一部会における投資サービス法(仮称)の議論の中で証券業等の業務範囲の見直しの検討が行われていたことから、同日、それに伴い、取引一任勘定取引契約の禁止の見直しが行われる場合にも顧客の利益を損なわないよう、必要かつ適切な措置を求める建議を行った。 更に、新株発行の事前需要調査の際に発行情報を入手した海外投資家が、当該情報の公表前に、対象企業の株式を売り付けている事例が見られたことから、平成18年4月14日、証券会社が公表前の発行情報等の外部への伝達が国内外の機関投資家による内部者取引を誘発することを防止する措置を求める建議を行った。 最後に、投資家に自己責任を問うためには、適正なディスクロージャーが確保されていることが前提であるが、カネボウ、ライブドアの虚偽有価証券報告書提出事件において、監査法人の公認会計士の犯則事件への深い関与が認められたこと等から、平成18年4月21日、刑事責任を含めた監査法人の責任のあり方について総合的な検討を求める建議を行った。 |
(6) |
市場分析審査 |
○ |
一般からの情報の受付 本事務年度中に投資者など一般から受け付けた情報は7,526件であり、前事務年度と比較すると約6割増加しており、平成4年の発足以来最高の受付件数となっている。情報の内容としては、個別銘柄に関するものが5,390件、証券会社の営業姿勢等に関するものが1,296件、その他の意見等が840件となっている。 |
○ |
取引審査の状況 本事務年度の取引審査件数は、合計875件であった。その内訳は、株価が急騰するなど不自然な動きをしたもの等の価格形成に関するもの169件、投資者の投資判断に著しい影響を及ぼす重要な事実の公表により株価が大きく変動したもの等の内部者取引に関するもの693件、その他13件となっている。 本事務年度においては、新商品や新たな取引形態の出現、金融取引のグローバル化の更なる進展、個人投資家によるインターネット取引の増加など、市場における新たな動向の中で、不公正な取引が発生していないか、市場仲介者に不正な勧誘等がないか、といった観点から、幅広く審査を行った。 |
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(7) |
監視活動・機能強化への取組み等 |
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○ |
市場監視体制の充実・強化 平成18年度の機構・定員については、有価証券報告書等の虚偽記載に係る課徴金調査体制の整備を大きな柱として増員要求を行った結果、11人の純増が認められ、平成18年度末の定員は318人となる。 また、財務局等の証券取引等監視官部門においても増員が認められ、平成18年度末の定員は246人となり、証券監視委の定員と合計すると全体で564人となる。 さらに、的確な市場監視及び職員の専門性向上を図るなどのため、証券業務等に関して専門的知識・経験のある者、弁護士及び公認会計士などの民間専門家を採用し、平成18年6月末現在において在籍している民間出身の専門家は83人となっている。 |
○ |
新たな監視機能について 金融審議会金融分科会第一部会において、平成17年12月22日に「投資サービス法(仮称)に向けて」と題する報告書がとりまとめられ、金融庁は、同報告書に基づき、「証券取引法等の一部を改正する法律案」等を取りまとめ、第164回通常国会に提出し、同法案は平成18年6月7日に成立した。 この法律は、金融・資本市場を取り巻く環境の変化に対応し、投資者保護のための横断的な法制として、証取法を改組して金融商品取引法(いわゆる投資サービス法)とする等の整備を行うことにより、利用者保護ルールの徹底と利用者利便の向上、貯蓄から投資に向けての市場機能の確保及び金融・資本市場の国際化への対応を図ることを目的としており、証券監視委による建議の内容も盛り込まれたものとなっている。 これにより、幅広い金融商品についての包括的・横断的な制度の整備が図られるとともに、公開買付制度及び大量保有報告制度その他の開示書類に関する制度に関する整備を行う等、所要の措置が講じられ、証券監視委においても、次のような権限の対象・範囲の拡大等が行われることとなっている。 |
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イ |
例えばいわゆるファンド販売業者など、金融商品取引業の担い手に対する検査対象や範囲が拡大。 |
ロ |
企業内容等の開示制度について、四半期報告制度や財務報告に係る内部統制の評価制度が整備され、これにより開示検査の対象・範囲が拡大。 |
ハ |
いわゆる「見せ玉」について、新たに課徴金の対象とされ、また、取引誘引目的で行われる証券会社の自己の計算による「見せ玉」等売買の申込みについて、新たに相場操縦行為として禁止されるとともに、刑事罰及び課徴金の対象とされ、これにより、犯則事件の調査及び課徴金調査の対象が拡大。 (なお、これらの改正については、ハは平成18年7月4日から、その他については公布の日(平成18年6月14日)から一定の期間を超えない範囲内において政令で定める日から施行される。) |
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○ |
投資家への情報提供等の取組み 講演会の開催やインターネットを通じて証券監視委の活動状況等の情報を提供することにより、個人投資家等の証券監視委に対する理解と証券市場等に対する信頼を深めてもらう工夫に取り組んでいる。また、証券監視委の活動に有用な端緒となる情報がより多く寄せられるよう、政府広報等を通じてその提供を求めている。 |
○ |
関係当局との連携 金融庁や自主規制機関と緊密な情報交換等を行うとともに、海外の証券規制当局との意見・情報交換や主要な国際会議への参加を通じて、金融庁とともに海外の証券規制当局との連携強化にも努めている。 |
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本公表については、証券監視委のホームページ上において、本日から公表。 なお、官報においては8月31日に掲載する予定。 |