令和5年6月20日

証券取引等監視委員会

証券取引等監視委員会の活動状況の公表について

証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という。)は、金融庁設置法第22条の規定に基づき、毎年、活動状況等を公表しています。今回は、その31回目として、令和4年度(令和4年4月1日~令和5年3月31日)の「証券取引等監視委員会の活動状況」を公表します。


公表内容の主な記載内容

1.令和4(2022)年度の活動概要

  • 情報提供窓口等を通じて6,713件の情報を受け付けるなど、市場全体について幅広い情報収集を行い、こうした情報等をもとに、不公正取引の疑いのある取引等について1,065件の審査を実施した。
  • 金融商品取引業者等に対するリスクベースアプローチに基づく検査を行った結果、5件の行政処分勧告に至った。
  • 不公正取引(課徴金納付命令勧告14件)や開示規制違反(同7件)へ迅速に対応しつつ、重大・悪質事案への厳正な対応(告発8件)を行った。
  • 令和4(2022)年12月に第11期が発足し、新体制の下、当期における「中期活動方針」を策定した。

2.金商業者等に対する証券モニタリング (行政処分勧告・無登録業者等)

行政処分勧告

  • 規模・業態を踏まえたリスクアセスメントを実施
  • 規模業態別の業務運営上の課題及びリスクを取りまとめ
  • リスクアセスメントに応じた検査を実施
  • 59件着手、5件の行政処分勧告
  • 実効性ある内部管理態勢の構築等を促す取組みを実施
  • 「留意すべき事項(問題は顕在化していないものの改善が必要な事項)」を検査終了通知書に記載し、問題意識をモニタリング先と共有

無登録業者等

  • 金商法違反行為に対する裁判所への禁止・停止命令発出の申立て
    • 投資者被害拡大防止のため、無登録業者等による金商法違反行為に対する裁判所への禁止・停止命令発出を求める申立てを実施
  • 関係機関との連携強化
    • 金融庁関連部局、各財務局、捜査当局及び消費者庁等との連携を強化

3.不公正取引の調査 (課徴金勧告)

  • 内部者取引規制違反
  • 勧告件数は8件
  • 金融機関の職員が職務上知った情報を悪用し、内部者取引及び取引推奨を行った事案を勧告
  • 情報伝達規制違反を1件、取引推奨規制違反を3件勧告
  • 公開買付け等事実を重要事実とする勧告件数が多い
  • 相場操縦規制違反
  • 勧告件数は6件(うち、クロスボーダー事案は1件)
  • 他人名義を含む複数の証券口座を使用し、買い板を厚くして下値を支えながら株価引上げを伴う対当売買を繰り返し行うことで第三者の取引を誘引したり、国債先物オプション取引においてオプションの原資産である長期国債先物の売買で見せ玉を行うなど、相場操縦の手口は複雑化・巧妙化

4.開示規制違反の検査 (課徴金勧告)

  • 開示規制違反の勧告件数は7件
  • 以下のような事案について勧告を実施
  • 関連当事者との取引に関する注記を記載しなかった事案
  • 連結範囲に含めるべき海外子会社に対する売上の過大計上等の不適正な会計処理が行われた事案
  • 重要事象等が存在するにもかかわらず、そのことを記載しなかった事案
将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況等
  • 開示規制違反の再発防止・未然防止の観点から、上場会社の経営陣とその背景・原因等について議論し、問題意識を共有

5.犯則事件の調査 (告発)

  • 犯則事件の告発件数は8件
  • 内部者取引事件7件、相場操縦事件1件
  • 公正・透明な市場の実現に向け、犯則調査の権限を適切に行使し、重大で悪質な不公正取引等に厳正に対応

6.市場監視を支えるインフラの整備(デジタル技術、人材の活用)

  • デジタル技術を活用した市場監視業務の高度化・効率化の推進
(例)金融機関に対する預貯金照会サービス利用開始準備(令和5年4月契約)
約100の金融機関が参加(令和5(2023)年3月時点)。照会・回答業務のデジタル化を通じて、金融機関・証券監視委双方の業務負荷を軽減。
  • 市場監視の土台となるシステム等の機能強化
  • デジタルフォレンジック技術の一層の向上及びシステムの高度化
  • OJTを通じた職員の専門性向上や高い専門的知識を有する人材の登用

7.市場規律強化に向けた取組み

  • 多様なチャネルを通じた情報発信
  • ウェブサイトや講演、寄稿など多様なチャネルを通じて、勧告事案等の意義や問題点等を発信
  • 違反行為等の再発防止・未然防止に向け、事例集やコラム(年次公表)を通じた注意喚起を実施
  • 市場環境整備への積極的な貢献 
  • 「合同会社による社員権の取得勧誘について」(令和4(2022)年6月21日)の建議を実施
  • 自主規制機関等との連携
  • 売買審査等で日常的に連携したほか、定期的な意見交換により相互の問題意識を適時に共有
  • 証券会社における売買管理に関する要請
  • 証券会社に対し、自社の売買管理態勢を自主点検し、売買管理の実効性を高めるよう要請
  • 海外当局との連携
  • 証券監督者国際機構(IOSCO)において、証券規制の課題等の議論に積極的に参加したほか、IOSCO MMoUに基づく情報交換により、クロスボーダー取引による違反行為に対して迅速な法執行を実施
IOSCO MMoU :IOSCOが策定する協議・協力及び情報交換に関する多国間覚書
  • 海外当局職員への研修の実施等により、当局間ネットワークの強化や問題意識を共有
 

「証券取引等監視委員会の活動状況」の本文へ

サイトマップ

ページの先頭に戻る