平成29年8月28日
証券取引等監視委員会
証券取引等監視委員会の活動状況の公表について
証券取引等監視委員会(以下「証券監視委」という。)は、金融庁設置法第22条の規定に基づき、毎年、活動状況等を公表しています。今回は、その25回目として、平成28年度(平成28年4月1日~同29年3月31日)の「証券取引等監視委員会の活動状況」を公表します。
なお、平成28年度の活動状況については、幅広い市場利用者に読んでもらえるよう本文編の記載はポイントを絞ったものとし、多くの図表を用いる等体裁や内容等の大幅なリニューアルを行っております。
「証券取引等監視委員会の活動状況」の主な改訂点
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公表内容の主な記載内容
1.平成28年度の活動概要
マクロ的アプローチとして、収益や為替、中国経済の動向等の影響を考慮して14セクターを選定し、企業のモニタリングを行うなど、フォワードルッキングな市場監視を行った 検査・調査においては法令違反の指摘にとどまらず、根本原因の追究に努めた
2.不公正取引の勧告・告発件数は増加
インサイダー取引の調査では、上場企業において重要事実等に関する認識・検討が不十分であるなど、内部管理体制上の問題点が見られた 相場操縦の手法は複雑化・巧妙化している
・他の投資者のアルゴリズム取引注文を誘引する事案
・発覚を避けるために複数の証券会社の口座を利用して発注を行う事案
3.開示規制違反ではコーポレート・ガバナンスに関するリスクが浮き彫りに
業績不振企業による開示規制違反の事案が依然として発生している 企業におけるガバナンスの機能不全、コンプライアンス意識の欠如、社内コミュニケーションの不足等が根本原因として見られた
4.証券検査から証券モニタリングへ
(金融商品取引業者等に対してオン・オフ一体のモニタリングを実施) 規模・業態に応じたリスク・アセスメントとともに、経営管理や内部監査等について業態横断的なモニタリングを行った
オフサイトモニタリングの結果、リスク評価に応じてオンサイト検査を行った
問題点として通知した事項の根本原因は、全体の約6割が法令遵守・投資者保護意識の欠如、次いで約2割が内部管理態勢の構築が不十分であった
5.証券監視委の新たな課題(RegTechへの取組み)
IT技術の進展に伴う市場の構造的変化を把握し、市場監視における先進的IT技術の活用(RegTech)について、検討を行っている6.関係機関との連携、情報発信の充実
自主規制機関との間では、売買審査など日頃の連携に加え、定期的な意見交換においてマクロ経済の動向を踏まえたリスクの所在など、相互の問題意識をタイムリーに共有した 個別の勧告事案等の公表のほか、課徴金事例集などについて積極的に寄稿や講演を行い、事案の意義や問題点などをわかりやすく情報発信した